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目次
秘密の8組 始まりの章
私の名前は高橋優華。小学2年生。と言っても、あと少しで小学3年生。
今は3月の平日、午前10時。本当だと学校で授業を受けているのだが今はダンボールがある車の中。
そう。私は転校する。緑が丘西小学校から海香東小学校に転校するのだ。
緑が丘小学校は山の中にあって、空気が美味しく、自慢の学校だった。
転校する海香東小学校は海沿いにあって、プールの授業を海でやるらしい。私はそれに強く引かれた。
窓から見える景色が変わってきた。緑ばかりの森だったのが、きれいな海に変わった。
「きれい・・・。」私は思わず声を出した。今、小学1年生の妹、麗華もうっとりしている。
「お姉ちゃん、きれいだね!これから麗華、ここで過ごすんだね!」と、嬉しそう。
お母さんは「そうよ、麗華と優華。ここで暮らすのよ。家まであと少しだから、楽しみにしておくのよ。」と言った。お母さんの声は弾んでいた。お父さんもにこにこしている。
みんなで雑談をしていると、新しい家が見えてきた。
「到着!さあ、ここだよ。」お父さんが優しい声で言った。
お母さんは「じゃあ、お父さんと一緒に家の支度するから。2人は自分の部屋をやってね。」と言った。
私は部屋の中に入るとまず最初に、緑が丘小学校のみんなからもらった寄せ書きを壁に飾った。支度を終わらせると私はおにぎりをほおばって、ベッドに寝転んだ。
そして朝まで寝ていた。
アラームを止めて飛び起きた。今日から新しい生活が始まる。そう思うと胸が弾む。「行ってきます!」
元気な声を出して走った。全力で走って行った。
学校に着いた時間は午前10時。授業はもう始まっている時間だ。校門には校長先生がいた。
にこにこしながら迎えてくれた。「初めまして。校長の植田結月です。みんなからは『ゆずちー』って呼ばれています。気軽に呼んでね。改めて、ようこそ!海香小学校へ!今、表彰朝礼やってるから、そこで優華ちゃんのことを紹介するね。」
「はい。ありがとうございます。」
「大人の方は?」
「今日は仕事です。」
「分かった!ありがとう!」そんな話をしていると体育館に着いた。結月先生は「今日だけ、ここの裏口から入って良いよ。タイミング計って入って来てねー。」と言い残して体育館の中に入って行った。体育館の中から結月先生の声が聞こえる。「今日からこの学校に転校生が入ります。」
体育館内がザワつく。「出てきてもらいましょう!中澤優華さん、どうぞ!」今だ!
「初めまして。緑が丘小学校から、お父さんの仕事の都合で転校してきました。中澤優華です。みんなと仲良くなれるように頑張ります。前は『ゆうかっち』って呼ばれてました。みんなも気軽に呼んでくれたらありがたいです。これからよろしくお願いします!」
挨拶が終わると結月先生が続ける。
「優華ちゃんは2年8組に入ります。他のクラスの子も仲良くしてあげてね。」「はーい!」元気な声が体育館中に響く。
「そうそう。優華ちゃんには妹もいるんだった。」と言って、私に目配せをする。
「私の1年生の妹、麗華は今日は来ていないけど、みんな仲良くしてあげてください。麗華は恥ずかしがり屋さんなので、自分から話すのがちょっと苦手です。なので、みんなの方から話しかけてあげたら麗華も喜ぶと思います。麗華はマイペースですが仲良くしてやってください。お願いします。」
紹介を終えると大きな拍手が起こり、朝礼は終わった。
8組の先生らしき人に連れられて教室まで来た。ドアのガラスから中を見てみると、人数はあまりいないようだ。
先生が「注目!転校生が来たよー」と言った。
すると教室がドッとわいた。
「入ってもらおう! 優華ちゃーん!」
「はーい!」無意識に声を出す。何でだろうか・・・?まぁ、いいか。
「中澤優華です!よろしくお願いします!」「よろしくーー!」みんなが大きな声を出す。顔は笑っている。でも、目の奥は笑っていない。
「自己紹介しようか。じゃあ まず、担任の石井葵です!」
「学級委員の柄山陽菜です。」「同じく学級委員の青山遥斗だ。」
次々に自己紹介をしてくれる。自己紹介が終わると、私の席に柄山陽菜が来てくれた。
「ゆうかっち、私のこと、覚えてる?陽菜だよー。ほら、緑が丘にいた時に引っ越した陽菜!」
「あー!陽菜!?覚えてるよ!ひさしぶり!」陽菜は周りをキョロキョロ見る。
周りは雑談をしていて、私達の方は見ていない。
そして陽菜は私の耳元でささやく。
「8組の放課後は気をつけて・・・。」私はその時、陽菜が何を言っているかがわからなかった。
そして迎えた放課後。私は陽菜と話していて教室内で下校時刻を少し過ぎてしまった。教室には、青山遥斗くんしかいない。
「陽菜、そろそろ帰ろうか。」
「ゆうかっち。帰っちゃだめ。魔を倒さないと・・・。」
「魔?」魔って、悪魔の魔?分からないことがたくさん。
そんな私を察したのか、陽菜が説明をしてくれた。
「優華。8組は、通称『秘密の8組』って呼ばれてるの。放課後になって、下校時刻を過ぎると、悪魔が現れるの。悪魔は倒さないといけなくて、毎日当番が決まっている。今日は私と遥斗。じゃあ、優華も混ざって。」
秘密の8組・・・? 何が秘密なの・・・? 私、普通の平凡な量産型女子だよ・・・? それに・・・。
「悪魔って・・・。 異世界じゃないんだから・・・。」 クスッと苦笑いをした。
すると遥斗くんがため息をついた。
「はぁ。だから転校生は・・・。まったく・・・。 こんな事してられない。あと少しで魔が来るぞ。」
「分かった。優華。行くよ。」 陽菜がまたわけの分からない言葉を発した。
「行くって、どこに・・・?」 分からないことがたくさんありすぎて何から聞けばいいか分からない。
「見物者として来ればいいよ! 着いてきて!」と言って、陽菜は走り出した。
私も着いていった。
廊下の突き当りまで来ると陽菜は立ち止まった。
「陽菜? どこにも『魔』はいないよ?』
聞いても陽菜は無視。そして壁に向かって
「アケ アケ トオレルー厶 悪魔を倒すと 誓いますー」と、陽菜のあったかい声と違う、冷たい声で、不思議な呪文を唱えた。
遊びなの? と一瞬思ったけど、少し経って廊下の壁が上に持ち上がり、先の通路が見えた。
「行くよ。」陽菜はあったかい声で言う。
私は声もあげられないくらい、びっくりしていた。
でも、頑張って足を上げて走り出した。
陽菜は突き当りの教室の中に入った。私も入ると、中には魔がいた。なんと説明すればいいかわからない、魔。
陽菜はホッとした顔で「良かった。今日は小さい魔だ・・・。」と言った。小さいといっても高さ1mはある。
そして陽菜は私の方を見て、「任せて。」というような顔をした。私はコクリとうなずいた。
陽菜はクルリと一回転した。すると陽菜と私の足元には丸い台座のような物が出来た。
そして陽菜は私の方を見た。そしてこう言った。
「優華、8組の生徒は全員魔法が使えるの。この事はみんなにはないしょ。他のクラスの子には言っちゃだめ。家族にもだめ。だから『秘密の8組』なんだよ。私が見た所、優華には風の属性があるみたい・・・。なんとなく言葉を言ってみて!トライ!」と言って、私を前に出す。
風の属性かぁ・・・。 なんだろう。 なんて言えばいいんだろう。もう、なんとなくだ!
「スーパー ハリケーン ブリーズ ライトニング エイム!」 思ったよりも適当すぎて笑いそうになった。すると
魔が痛そうな顔をした。
陽菜が「陽菜、出来たね! すごい! あとは任せておいて!」と言ってくれた。
次は 多分 魔の攻撃だ。
魔の見た目は水色だから、水属性?そんな事考えてたら、
「ウォーター ウォーキング!」と太い声がした。翻訳したら 歩く、水?
名前の通り、水が空中を漂って、歩いているみたい。私達の方に向かってきている。
すると私の脳内にメッセージが来た。(ゆうかさん きこえますかー わたしは せんとうなび です いきなりですが その みずは こうげきりょく たかいです きけんです いますぐ ひなさんに このことを いってください)
これって、アニメとかでしか 見たことない!脳内テレパシー!? かっこいい!
(はやく つたえないと おそわれます)
戦闘ナビに言われて、私は陽菜にさっき言われたことを早口で伝える。すると陽菜は、
「ブリザード ガード!!!」と叫び、水を跳ね返した。跳ね返った水は魔に直撃し、魔は砕けて散った。
「ふー。 勝てたわ・・・。」 陽菜は言った。
勝ったんだ・・・。
陽菜は続ける。「あのね。魔を倒さないと、学校が乗っ取られるの。だから、学校の平和は8組にかかっているの。」
それって、
「これからも やんないと いけないってことぉーーーー!?」
「そうだよ!」
トホホ・・・。
だが、今は私の8組ライフが始まったにすぎない。
これから待ち受ける8組での生活がもっと過酷だったことを今の私は知らなかった。
① 〜転校したクラスは秘密のクラス〜 終わり