ちょっと不思議なカフェに来てみませんか?
不思議な店主と、人々の物語。
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目次
思い出オニオンスープ
寧々「はぁ…。」
大雨の中、びしょ濡れの少女、小倉寧々はため息をついた。
今日は日曜出勤の日。会社に行く時は雨など降っていなかったのだが、帰るときに雨が降り出したのだ。傘も持っていない。
寧々「最悪、。服もカバンもびしょ濡れ……。」
スマホを見てみる。
どうやら、後数時間はやまないらしい。
寧々「こうなったら、店にでも寄って時間潰すか…。いい感じのお店ないかな?」
寧々があたりを見渡すと、小さなカフェを見つけた。
寧々「あれ、こんなところにカフェなんてあったっけ…。」
寧々はカフェの看板を見た。
『雨宿りカフェ』
寧々「雨宿りカフェ…って、まさにこの状況のためのカフェじゃん。」
寧々はカフェに入る。目の前には、黒と白のスーツを着た男性がいた。
店主「こんにちは、今日1人目のお客様。」
店主は律儀に挨拶をしてきた。
寧々「こ、こんにちは…。あの、このカフェは一体どういう場所なんでしょうか?」
私はこのカフェを見てから思ったことを聞いた。
すると店主はにこやかに笑い、ただ、雨宿りをするためのカフェだと教えてくれた。
雨の日にしか開店しないらしい。
私はメニューを開き、中をざっと見た。
そして、しばらく悩んだ末に、雨で冷えた体を温めるためオニオンスープを頼むことにした。
寧々「すみません、オニオンスープ一つお願いします!」
店主「かしこまりました。あ、お金は要りませんよ。」
店主は笑顔を崩さぬまま厨房に入って行った。
お金は要らない。という言葉が引っかかったが、一旦置いておくことにした。
スープは案外早く運ばれてきた。
もくもくと優しく立ち上る湯気に、美味しそうな玉ねぎの香り。
寧々「いただきます…。」
一口食べると口いっぱいに広がる優しい味。
実家の雰囲気を思い出す。
店主「この雨宿りカフェは、ご来店なさった皆様の大切な記憶を味に出しております。…仕事で疲れ切っていませんでしたか?実家の「味」は覚えていましたか?」
店主のその一言で、私はハッとした。
最近は仕事ばかり優先して、実家に顔を出していなかった。
食事もインスタントばかりで、実家の味など忘れていた。
そういえば、母の得意料理は…。
寧々「ありがとうございました!美味しかったです!」
私は席を立ち、急いで店の外に出た。
外に出ると、さっきまで降っていた雨は止んでいた。
私はスーパーに駆け込み、玉ねぎ、バター、コンソメを買った。
家に走って帰り、母に『今からそっち帰る』と連絡を入れた。
母は驚いていたが、すごく嬉しそうだった。
荷物をまとめてバスに乗る。
バスを3本乗り継いで実家についた。
寧々「お母さん、帰ったよ!」
玄関のチャイムを押して声を張り上げる。
すると玄関の扉が開いて母が姿を現す。
母「おかえり、寧々。急にどうしたの?」
案の定聞いてきた。
寧々「お母さんの得意料理、オニオンスープだったでしょ?一緒に作りたいなって。」
母「あらあら!そうなの、ありがとうね。なに、私のオニオンスープが恋しくなった?」
母の冗談めかした質問に、私は首を縦に振った。
2人でキッチンのあるリビングに移動すると、父も出迎えてくれた。
父「久しぶりじゃないか!どうだ、仕事は上手く行ってるか?」
寧々「…うん、上手くいってるよ。大変な事もあるけどね。」
私は父に言葉を返すと、母と一緒にオニオンスープを作った。
3人で食卓に座ってオニオンスープを口に運ぶ。
あの雨宿りカフェで食べた味。
母の味。
父「やっぱり、母さんのオニオンスープは世界一だな!」
父の声がリビングに響く。
寧々「そうだね、お母さんのオニオンスープは世界一だ。ほんとに、世界一だよ。」
私はなんだか胸が熱くなってきた。
母「あら、嬉しいじゃないの2人とも!急にどうしたのよ!」
母はびっくりしている。が、今までにないくらいの笑顔を見せていた。
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…あの事があってから数日後。
今の私は、時々実家に顔を見せるようになった。
仕事とプライベートの管理もしっかり出来るようになり、自分のペースで頑張れている。
実家での食事は、オニオンスープ。
私と母と、あの店長のオニオンスープ。
私に元気をくれてありがとう。