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寄り道~梅雨終わりの晴れ間~
梅雨の終わりごろ
降り続いていた雨が止み、今日は思いっきり晴れた。でも湿気がすごい。スゴく蒸し暑い。
「暑い~、ねぇ~、|春音《はると》~暑いんだけど~」
「僕にどうしろと言うのさ」
目の前でグダグダと何かぼさいているのは僕の親友。|谷城 照《やつぎ てる》。
ちなみに僕は|有瀬 春音《あるせ はると》。
ごく普通の高校生である。
「下敷きででも仰いでおけばいーんじゃね? 」
「そっかー」
照は下敷きをそそくさと取り出しパタパタと仰ぎ始めた。
「なんか微妙~」
「そっか」
「なんか春音さ辛辣じゃない? 」
「くそ暑いからだよ、多分? 」
「多分ってさぁ~」
今は昼休み、教室はクーラーがついているが何だか効いていない気がする。
てか、クーラーつけているのに換気のために窓を開けないといけないのが不満なのだ。クーラーの意味ないじゃん。
弁当についてる保冷剤もぬるくなったし。
水筒の麦茶もなくなってしまったし。
校則でハンディファンを持って来たら没収だし。
いくら何でも不快、不愉快な暑さなのだ。
「あっそうだ! 春音! 帰りにアイス買いに行こーよ! 外めっちゃ暑いけどさ」
突然何言い出したんだと思ったらナイスアイディアじゃん。
「いーんじゃね? どこで買う? 」
「ん~放課後に考えればいっか! そろそろ呼鈴なるし。じゃあまたあとで! 」
「そうだね~こっちでも考えておくよ。」
タイミングよく予鈴が鳴った。
アイス屋に行ってもいいけど少し遠いし、スーパー行ってお安いアイスでもいいよな~
久しぶりにスーパーでアイス買おっかな。
ちなみに5時間目は数学。6時間目は現国。
くそ暑いしちょっとだるかった。でもアイスのためだからいつもより少し頑張る事にした。
そんなこんなで放課後。
「春音! どーする? 決めた? 」
「スーパーでアイス買おっかなって思うんだけど」
「同じ事考えるじゃん。おれもこっからスーパーって近いしスーパーで買おっかな~って思ってたとこ」
「そうしようか」
と、いうわけで高校の近くにあるスーパーへ向かうことにする。
教室から1歩、廊下に出るとムシッとしたぬる~い空気が全身を覆う。
「ぬる~い」
「暑い……教室に戻りたい」
「そんなこと言わずにさぁ~行こーよ!暑いのは誰も一緒でしょ? 」
「そりゃそうか」
のそのそと靴を履き替えて外にでる。
直射日光とぬるい風のダブルパンチでどうにかなりそうだ。暑い。まだ梅雨明けしていなかったはずなのに、どうしてこんなに暑いのだろう。どうして夏の暑さってフライングしてくるの? なぜ? フライングしてこなくていいのに。
そんなことを考えながら校門を出て3分程歩く。
「暑い。溶けそう。ところで春音はアイス、何買うの? 」
「まだ決めてない。おこづかいと相談中~んで? 照は? 」
「おれは『プノ』にしようかな~って考えてるとこ」
「そっか~いいじゃん」
目的地のスーパーマーケット『テンクス・サークル』の看板が見えてきた。
自動ドアが開き、中に入った。
クーラーが効いているらしくスゴく涼しい。
「涼しい」
「涼し~」
アイスのある冷凍庫の場所へ向かう。
おこづかいとの相談? の結果、『シャリシャリさん』のリンゴ味とペットボトルの麦茶を買うことにした。
照はさっき言ってた通り『プノ』と紙パックのレモンティーを買っていた。
会計を済ませ、近くの公園で溶けないうちにアイスを食べて帰ることにする。
影のあるベンチに座りアイスの袋を開ける。スッとアイスを取り出して大きく1口、「シャリっ」と大きな音を立ててガブリ。
「めっちゃ冷たいけどスゴくおいし~」
清々しいリンゴの味がする。シャリシャリと食べていると、だんだんとお腹の辺りが冷えてきた気がする。ちょこっとだけ涼しくなった。
ふと、隣に座った照の方を見ると、照、なんだか嬉しそう?
「どうした? 」
「あ~ね、プノ開けるじゃん、ピック見るじゃん、たま~にピックってレアなのが入っててさ、まさにそれが当たった訳。めっちゃ嬉しい! 」
「よかったじゃん」
レアが当たってよろこんでたわけね~。
てか、容赦なくプノに刺していいのかよ…
まぁ早く食べないと溶けるから仕方ないけど。
「あ~プノおいし~久しぶりに食べるとめっちゃおいしいなこれ。春音もいる? 」
「いらないかな。シャリシャリさんあるし」
やっぱり暑いからだんだんとアイスが溶けてきた。急いで食べる。
シャリシャリ。シャリシャリ。
こぼれ落ちそうなところで何とかたべきった。
「あ、アタリだ」
「よかったねぇ~」
「何か今日はツイてるね~2人とも」
「確かに。暑い中アイスを買って正解だったかもしれないね」
水道でアイスの棒を洗って持って帰ることにした。
そろそろ帰って宿題をしないとな~とペットボトルの麦茶を飲みながら考えているところだ。照も食べきったっぽいし、ゴミをまとめてゴミ箱に捨て、家に帰ることにする。
「そ~いえば、今日の宿題って何か言われたっけ? 」
「数学のワークと英語のプリント2枚」
「そうだったっけ? まぁいいや。分かんないとこあったら教えてよ」
「はいはい。じゃあまた明日。宿題、忘れるなよ」
「おけおけ、じゃ~バイバイ~」
お互いそれぞれの帰路につき、家にかえった。数時間後、宿題についてのチャットが来たので教えてあげた。
なんだかんだでいろいろあったけど楽しかったな。明日もがんばろうか。
親友との寄り道、そして買い食い。
青春の1ページって感じを目指しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。