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1章3話 転校生
今日はクラスに五人転校生が来る。私はどうでもいい。女子は大声で騒ぐ。
朝から転校生で持ちきりのクラスはいつもより騒がしい。教室には笑い声が
響く。
「イケメンだと良いなー!」
「可愛い子が良いなー!#苗字#と違ってwww」
クラスはしれっと私の悪口を偲ばせる。私はどうでもいい。バレンタイン
だが下駄箱に入っているのは上靴に入った画鋲のみ。机の中は
「死ねよ」
「ゴミカス」
そんな攻撃的なことばっかり。もう嫌になる。私はどこにも居場所ない。
そうなのに、まだ淡い期待をしてしまう。少し桜色の期待。私の瞳は汚い。
でも、こんな私が自分で居れるのなら、好きなものを好きって言えるなら。
私は笑顔で居れるよ。でもさ、もう幸せなんてただの一欠片。この幸せが
逃げないように、歌うんだ。否定されても、自分の好きを見つけられるように。
「朝のHRだ。」
先生は挨拶をする。
「転校生が来る。」
私は教卓を見る。その人達に目を奪われる。暖かい太陽のような笑みでニコッと
笑いかける笑み。れるさん達だ。転校してきたのだろう。
「朱苺こえです!」
「一星れるでーす!」
「橙犬くにです!」
「紫芝こったろです!」
「如月ゆうです!」
女子はきゃーっと騒ぐ。皆は苦笑する。私はもう関われないんだ。私も貴方達の
ように笑えるのなら。お兄ちゃんへの愛を謳うよ。それでいつか、お兄ちゃんの
いる雲の上まで届くように。私もいつか逝けるように。
「席は阿呆山の近くな。」
阿呆山様は喜んでいる。
「よりょちくねぇ〜♡」
うわ。流石に引く。噛んでるし。まぁ、この人の裏を知ってるんだけどね。
まぁ、虐めとかも昔のことを話したし、今は大丈夫だよね?バレないように。
休み時間はれるくん達の席は囲まれる。女子の黄色い声が聞こえてくる。私は
席を立つ。そして屋上へ駆ける。屋上は基本立ち入り自由だが誰も来ない。
私は一人歌を歌う。
「この両手から零れそうなほど君に貰った愛をどこに捨てよう」
お兄ちゃんの好きな歌を。すこしお兄ちゃんの面影を感じる。それで人を
信じる。同じ繰り返しだ。馬鹿な自分を呪う。帰りに誘われる。でも断る。
偽の笑顔を貼り付ける。その笑顔で人が笑うなら。嘘の仮面でも良いんだ。
「おっそ!」
ボゴッドゴッボコッボカッドゴッボコッボカッ!
私は殴られる。血が出ても何も感じない。身体は人形のようだ。人の思い
通りに動く。「死んで」と言われたら素直に死ぬだろう。そんな自分が馬鹿だ。
ザクザクッ、シュー。血がポタポタと垂れる。私はそれを見つめる。
汚い血だ。もう、全部どうでもいいや。阿呆山様は飽きたらしい。人を駒と
して扱って馬鹿みたい。彼女たちは帰る。私は一人屋上で歌う。
「繰り返すフラッシュバック蝉の声二度とは帰らぬ君」
私はお兄ちゃんを想い歌う。
「永遠に千切れてくおそろいのキーホルダー」
お兄ちゃんと買ったおそろいの黄色のキーホルダー。黄色と赤の瞳。
私達と同じ色の瞳。そのキーホルダーを買い二人笑いあったよね。また
笑いたいよ。でも帰らなきゃ。空に「行ってきます」と呟く。私は一人
帰る。血のついた腕から滴り落ちる血を止め、笑顔を貼り付ける。完璧。
私は一人帰宅路を歩く。怪我したけど誤魔化そう。
「ただい、まニコッ」
上手く笑えてたかな?シキ兄?
「おかえり!その怪我どしたん!」
れるさんが大声で叫ぶ。皆は駆け寄る。私はサッと避ける。
「手当しよ?」
ゆうさんは言ってくれるがもうどうでもいいや。
「大丈夫だよニコッ」
「手当するよ!こっち来て!」
くにさんももう、良いんですよ。私に尽くす時間がもったいないから。
「じゃあ、家に帰るね。」
そっと鞄などを持ち玄関を立つ。私は
「さよなら。」
ただ一言をいう。ガチャ。私は扉を締める。
「これで良いんだよね?」
私はもう死にたいよ。シキ兄に会いたいから。少し涙を流しそのまま歩く。
もう、痛みは慣れたからさ。もう、見つけないで。探さないで。このまま
一人でいいから。一人がいいからさぁ。幸せだよ。
「はぁ。」
私は大切な人を殺したんだ。
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あれはある夏だ。おそろいのキーホルダーを買い踏切を渡る。
私は線路に立ち止まった。
「シキ兄?」
シキ兄は何も言わずに突き飛ばす。その直後にシキ兄は電車に轢かれた。
「大好きだよ」
その一言を私に呟く。逝って欲しくなかったよ。最後にキーホルダーを渡す。
シキ兄は笑顔で私に渡す。
「嫌だっ!逝かないでよ…。」
私は大声で泣いた。「シキ兄、シキ兄」と繰り返す。私は遺体を抱きしめる。
私はそれで人殺しになった。大切なものは全部失った。
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私は踏切を渡るときは思い出す。すたぽらとして活動してたのに、私が
幸せを壊したんだ。もう逝こうかな。失いたくないからさ。
「#名前#っ!」
れるさんは私を呼ぶ。もう見つけないでよ。むやみに差し伸べられる手。
私は振り払う。もう、だれも要らないよ。私は家に帰る。母親や父親は殴って
くる。
ボゴッドゴッボコッボカッドゴッボコッボカッボゴッドゴッボコッボカッ!
私がシキ兄を殺しちゃったんだ。血で汚しちゃったんだ。もうだれも
放っておいてよ。
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れるは必死に一人の少女を探す。血まみれで、踏切の前で立っている。そこは
シキが死んだところだ。少し俯いた少女に手を差し伸べる。でもその手を
振り払う。
「放っておいてくださいよ。」
その一言が聞こえる。彼女はスタスタと歩く。まるでなにも要らないと
いうように。
2274文字!
日記で報告した通り、アニメイトデビューしました!
日記に詳細なう✌(PEACE)