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唐突に始まる終末世界(1)
いつも通り唐突に始まる謎設定の小説の開幕です〜
最初に確認されたのは、或る豪華客船の航海中だった。
大西洋を渡る船に現れた“動く死体”は老若男女関係なく人々を襲い、一瞬にして生存者を1%まで減らした。
救命ボートで逃げる人もいたが、“動く死体”は船から飛び降りて襲う。
海で溺れることもなく、一時的に機能停止はするが流れ着いた先で活動を再開した。
もちろん、人を襲うという活動を。
<“動く死体”確認から数日後>
「──次の方」
或る避難所の入口。
其処は検問所となっていた。
“動く死体”は知能が低いのか爪で傷つけるか噛む以外の攻撃手段を持たず、傷口から入ったウイルスによって感染する。
傷を負った人も“動く死体”となる可能性が高いのだ。
検問所では避難者を受け入れるか処分するかを判別し、時には研究もした。
(症状、傷、共になし。気になる点もないかな)
男は指示を出して、避難者が奥に案内されるのを見送った。
「ルイスさん、交代の時間です」
「……もうそんな時間か」
んー、と背伸びをしたかと思えば、ルイスは手に持っていた拳銃を机に置いた。
覚醒した感染者が突然襲ってくることもあり、検問する人たちは全員常備している。
残りの武器も限られてきた世界。
武器は基本的には最前線へ回されており、検問所では使い回していた。
「てか、次って太宰くんじゃ?」
「太宰さんなら──今日こそ何かの手違いで感染する気がする──なんて云って武器も持たずに外へ……」
「相変わらずだなぁ、彼は」
ウイルスとは言ったものの、その正体は異能力らしい。
故に“異能無効化”をもつ太宰治はどれだけ噛まれようが、“動く死体”に変異しなかった。
耐性があり、すぐ覚醒しない可能性もある。
しかし、肌の変色も腐敗も何も起こらず、異能の可能性で探偵社は検問所の手伝いと共に調査を進めていた。
「太宰さんの分は僕が入るので大丈夫です。ルイスさんはゆっくり休んでてください」
「それじゃあお言葉に甘えて」
頑張れ、と敦の肩を叩くとルイスは自室へ向かった。
と言っても相部屋で仕切りもなく、周りを気にせずに休むことはできないが。
「ただいま帰りました」
「あ、国木田さん!」
「相変わらず動きが遅いおかげで囲まれずに済んでいるが、まるで地獄のようだな。谷崎の異能が効かないのが痛い」
「目で追っているわけではないようだからね、|動く死体《彼ら》は」
「すみません、役に立てなくて……」
「それで国木田、今回は何か分かったか?」
いえ、と乱歩の問いに目を伏せる。
生存者の保護と同時に進めていた調査だが、まだ何も成果は得られていない。
「異能を解除させるにも、異能者がどこにいるか分からないと何もできませんね」
「手がかりを探すのも一苦労だからな」
「ルイスは何かないの?」
「……連絡は取ってるけど、特にコレという情報はない。ただ、もう少し研究が進めば特効薬とか作れるかもね」
特効薬、と繰り返す国木田。
異能力によるものだから、と対策は半ば諦めていた。
だが、これからの被害を減らせるかもしれない。
「……まっ、コナンさんが挑戦はしてるみたいだから。僕らは自分たちの出来ることをするしかないよ」
続く…かもしれいない……!