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15.イゴール
目を閉じた罪木蜜柑は、深い眠りへと落ちていった。
夢の中は、漆黒の闇に包まれていた。
まるで、『ペルソナ3』のタルタロスのようだ。
その闇の空間に、突然、眩い光が灯る。
光の中心には、一人の老人が椅子に座っていた。
「ま、まさか…イゴールさん…?」
『ペルソナ』シリーズに登場する、ベルベットルームの主。
なにやら優しそうな顔をしていた。
「ふむ、ペルソナへの愛、見届けさせてもらいました…愛は、まさしく真実…」
にこやかに微笑むと、手のひらから一つのカードを取り出した。
それは、『愚者』のアルカナが描かれたタロットカードだった。
「この希望ヶ峰学園という名のタルタロスで、孤独な戦いを続けてきた。
そして、自らの力でコミュニティを築き、ペルソナを召喚しようとさえした。
その健気な心に、私は力を貸そう」
老人の言葉に、罪木は戸惑った。
「え、えっと…一体、どういうこと、でしょうか…?」
「君の愛する『ペルソナ』の世界で、この学園をやり直すチャンスを授けます。
今日、八月の夜から、すべてが始まる四月に。
君は『ペルソナ』使いとして、この学園を救う、もう一人の主人公となるのです。」
光が罪木の体を包み込み、視界が真っ白に染まっていく。
その瞬間、老人の声が聞こえた。
「ただし、忘れてはならない。
君と同じ『ペルソナ』への愛を持つ、もう一人の人物、狛枝凪斗…
彼の記憶は、そのままにしておいた。彼を頼り、そして、共に歩むのだ」
意識が遠のき、罪木は再び深い眠りに落ちていった。
_________続く。
最終回です!
薄っぺらい前日譚でしたね…
ここからは完全オリジナル設定のダンジョン、コミュニティ。
たくさんのものが出てきますよ、お楽しみに!