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天使たちのラスト・ミール 〜路地裏シェフと匂い立つ秘密〜
夜の路地裏に、店があった。
その名も、【サポール・アンゲルス】
スープ専門店だ。
その店奥の小さな厨房に、『今日も』一人、静かにスープを煮込んでいた。
彼の名前は琉生。
この店の店主兼シェフである。
さぁ、今夜はどんな客が来るのだろうか━━━━━━
**孤独なシェフと、翼のある客**
夜の路地裏にポツンとある小さな店、【サポール・アンゲルス】
彼の名前は琉生。
この店の店主兼シェフである。
彼には、他人の強い感情を「味」として自分の口内に感知してしまう、という能力がある。
「人の悪意はどす黒い苦味がする。悲しみは喉を焼く塩辛さだ。」
彼は他人の感情に疲れ果て、人間関係を断ち切るために、会話のいらないこのスープ屋を開いた。
食材である純粋な味だけが、彼の心を落ち着かせる唯一の救いだった。
---
閉店間際の店は今日も静か。
外は土砂降りで、音がすると言ったら時計と雨の音くらいだろうか。
そんなとき、余りにも大きすぎるコートを不自然に羽織った一人の少女、溶が来た。
彼女が店に入った途端に、琉生の鼻は、
「ひんやりとした冷たさを孕む、透き通った白い百合のような香り」
を感じるとともに、彼の口内は
「心臓が凍りつくような、圧倒的な孤独の苦味」
で満たされた。
(なんだ、この女の子は……!?)
琉生は息を呑んで溶を見ていた。
だが、そんな琉生の様子も知らずに、溶は
「あの、まだ大丈夫ですか……?」
と、寒さに震えながら言った。
「え、えぇ。まだ大丈夫ですよ。」
琉生は戸惑いつつあったが、試作として作っていた
【カブとインゲンのポタージュ】
を溶に差し出した。
「ありがとうございます……」
溶がスープを一口飲むと、ぱっと笑顔になり
「おいしい……! 体の奥の冷たくなった芯が、じんわり溶けていくみたい……」
といって感動していた。
溶の心が温まった瞬間、琉生の口の中に広がっていた強烈な苦味が、
「優しいミルクのような甘み」
へと変化する。
他人の感情が「美味しく変わる」経験など初めての琉生は、とても衝撃を受ける。
---数時間後---
スープを飲み干し、お腹だけでなく、心も満たされた溶は、安心したのか、うとうとし始める。
その時、溶の肩からコートが落ちてしまう。
琉生がコートを掛け直そうとした瞬間、目に飛び込んできたのは、溶の背中から生えている、
小さいが、本物の、白い柔らかな羽だった。
琉生は、彼女が世間で噂される奇病「天使病」の患者であることを初めて知る。
驚く類に気づいた溶は、慌てて翼を隠す。
が、後に覚悟を決めたように
「見ちゃいましたね……」
と苦笑する。
---閉店後の店内---
溶は、
「天使病になると身体が冷えて味覚もなくなっていくのに、
琉生さんのスープを食べたら、久しぶりに身体が熱くなって、味が分かったんです」
と涙ぐむ。
溶は琉生の料理の腕(と自分の感情を無意識に汲み取ってくれた優しさ)を見抜き、
まっすぐな、真剣な瞳でこう告げた。
**「琉生さん、お願いです。私の知り合いには味を失いかけている仲間たちがたくさんいるんです。その仲間たちに、もう一度、食べる喜びを思い出させてあげたいんです!」**
と。
他者と関わることを恐れていた琉生。
だが、ミオの真っ直ぐな瞳と、先ほどスープが起こした「味の変化」が忘れられず、
戸惑いながらもその手を取ることを決意した。
第一話です!!!!
新たな連載!!!ドキドキしながらも楽しみだな〜ってなりながら描いてました!!
第二話もお楽しみに!!!