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彼/彼女が死んだ夏。🌈🍑
なおきり「はぁ…『スノードロップ』の花言葉ですか…?」
まぁ!いじめの花として!人気&定番ですけれど!
『希望』って意味もあるんですからね⁉
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のあ「…また、『スノードロップと白いユリ一本』ですか…」
私は、花には詳しくないけれど…同じシェアハウスの仲間の、
なおきりさんに教えてもらった。確か…
のあ「スノードロップは『希望』、『あなたの死を望みます』でしたっけ…」
確か、白ユリ一本は…
のあ「『死者への捧げもの』ですね…まぁ、可愛いからいいんですけど!(ニコ」
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ある日
モブ「おい、お前、今日放課後屋上来い。来なかったら…w」
モブ「クスクスっ…」
のあ「…」
私には、好きな人がいる。それが、なおきりさんだ。
でも、私は知っている。なおきりさんはるなさんが好きで、るなさんも
なおきりさんが好きなことを。私は…知っているのに…とにかく、
今私をいじめている人は元親友で、なおきりさんのことも相談してた。
だから…
モブ「お前の好きな人、屋上から突き落とすからw」
のあ「__…はい、絶対に行きます…。__」
まぁ、こうなりますよね。
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放課後
のあ「…来ました…よ……えッ」
なおきり「…痛ッ…というか、ここどこですか…?…声的にのあさんですかね?」
のあ「なおきり…さッ…⁉」
呆然と立つ私に向けて、モブさんたちが言う。
モブ「あんたの、この宝物ってやつと?こいつの命、どっちか選べよw」
そして、私の…誕生日にみんなにもらったキーホルダーを指さし、次に…
--- なおきりさんを、フェンスの向こう…一歩踏み出せば落ちるところに…立たせた。 ---
訳も分からず震えているなおきりさんを見て、私は言った。
のあ「キーホルダー…をッ…!」
後で…後で回収すればッッッッッッ!
でも、次の瞬間、モブさんが放った言葉は、私を絶望の淵に追いやった。
モブ「あ、こんなの気持ち悪い!要らない!っていって粉々にして投げてねww」
…は?
モブ「録音してカラピチ様達にも見せるから♡」
え…?…って、いや!迷うなんてサイテーだぞ私!
…私のみんなからの評価がどうなろうと…なおきりさんを助けないとッッッッッッ!
のあ「…やり、ますッッッッッッ!」
モブ「へぇ…wはいどーぞ♡」
のあ「スゥゥ…)」
本当は、こんなこと、言いたくない。でも…
なおきりさんを助けて…私はどうなろうと、なおきりさんは…
絶対にカラピチに必要だから…ッ…!
意を決して、靴でキーホルダーを…仲間がくれた大切な物を粉々に、
踏みにじっていく。
ガチャンッ
のあ「ッ…こんなッ…こんな気持ち悪いキーホルダーなんてッッッッッッ、!要らないッッッ!」
ガチャンッ
がシャンっ
パリンッ
のあ「あんなッッッ、偽善者しかいないグループなんてッッッ、楽しくない!!(ポロポロ」
パリンッ
ガチャンッ
蹴りながら、涙が出てくる。
ああ、勝手だな、私。みんなの大切な心を壊しておきながら…まだ、
--- 嫌われたくないとか考えて。 ---
のあ「うぁッッッ、うぅぅ…ッ…や…ッ…ぁああッッッ、!(ポロポロ」
ブンッ
最後の力を振り絞って、粉々になったキーホルダーを誰もいない校庭に投げる。
嗚呼。…終わりだ。私。諦めかけて、足の力が抜けて、フェンスに持たれかかると…
ガシャンっ
凄い音を立てて、フェンスが外れた。ああ、あんなことするから、罰が当たっだけ。
良いよ、もう。なおきりさんは、助けれたし。そんなことを考えていると…
なおきり「のあさんッッッ、!」
もうすぐ意識を手放す…ってときに、都合のいい幻聴が聞こえた。そう…
都合のいい、幻聴だよ。
こぼした涙は、宙に浮き、地面にはつかない。
…私の気持ちみたいに、中途半端に漂って、やがて地面に落ちる。
…死ぬ間際まで、勝手だな。私。最低だ。
ドンッ
凄い音がして、私の視界は、真っ赤に染まって…プツンと、途切れた。
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…次に目を覚ましたのは、白い天井。
ピッピッピッピ…という規則正しい音が聞こえる。
のあ「…__私、生き、て…__」
…あれ、あんまり声が出せないや。もう、どうでもいいですけどね。
なおきりさん、は__?
あ、ナースコール…
…しばらくして、看護師さんがやってきた。
るな「ぁッ…」
あれ…るなさんですかね?ここの看護師さんだったんですね…
でも、あっちは気まずげに目をそらし、一言もしゃべることなく点滴を付け替える。
のあ「__ぁ”ッ…ぁ”りがとござ…ッ__ゲホゴホッ」
るな「あ…のどが潰れてるので、声は出さない方がいいです。では…」
そそくさと出て行ったるなさんを呼び止め、一瞬だけ紙に書いて聞く。
のあ『あの…なおきりさんは…』
そういうと、るなさんの顔がくしゃりと歪む。
るな「…お亡くなりになられました。…あなたが死ねばよかったのに。」
パタン…
という小さな音を残して、るなさんは去っていった。
放心状態の私は、そのあとのお医者様の説明も、なんにも聞こえなかった。
--- なおきりさんが…亡くなった…? ---
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翌日。私は外出許可をもらい、ひとりで学校の校庭に来ていた。
車いすで。今日は平日なので不通に学校はやっているが、私は授業には参加せず、
ずっと校庭でキーホルダーの破片を集めて過ごした。
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何日か経ち、キーホルダーの破片が足りなければ行って捜しに行き、
ボンドで少しずつ直していく。いつまでに終わるかな。終わったときは__。
ちょくちょく皆さんがいらっしゃって、何か言って帰っていきます。
「ひどい…ッ…」
「がんばって作ったのに…!」
皆さんそんな反応をなさいます。正直、私はがっかりしていました。
カラピチの絆は、他者が何か吹き込んだだけで、一瞬で壊れるようなものだったんだ、
と。
頑張って作ったのは知っています。私が誰よりも理解しています。なのに___
きっともう、私は心が壊れちゃったんですね。
明日にはキーホルダーも治りそうです。
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次の日。いつも通り、外出許可をもらって…
花屋に行く。
そして、何本か花を買うと、次はなおきりさんのお墓に向かう。
そこに、
ポピー
青い薔薇を七本。
タツナミソウ
をおいて、静かに、何もせずに去る。
そして、私の病室には、
黒いチューリップ、
ストック、
桃色のバラ、
紫のヒヤシンス
そして、なおした、大切なキーホルダーと手紙
を置いてきた。私は、そして静かに、学校へと向かう。
今日は休みだから案の定誰もいない。
そして静かに、学校の裏の、なおきりさんと私の秘密の場所、
ポピーの咲く湖に辿り着く。
そして…水中に身をなげた。
なおきりさん、なぜ私を助けたんですか。…どうして?
息が続かない。苦しい。必死にもがくけどもう遅い。
だんだん頭がぼうっとしてきて…楽になる前に…
右手を、水面に向かって伸ばす。
届くわけもなく、ただそのまま沈んでいく。…せめて最後に、
と声にならない声を出す。
--- のあ『さようなら』 ---
聞こえるはずもないのに…そして、私は意識を闇へと手放した。
ふと、なおきりさんの声が聞こえた気がした。
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手紙
カラフルピーチの皆さんへ
今までありがとうございました。私は、もう消えようと思います。
皆さんに迷惑にしかならない存在なのでねw…だから、この
花言葉は、皆さんが調べてみてくださいね。…ああ、キーホルダー、
直しておきましたよ。私なんかが持っておくのはもったいないので…
皆さんが苦労して作ってくれたんですから、もっておいてくださいね。
では。
のあ__改め、元カラフルピーチメンバー、のあより
ポピーは、 『恋の予感』
青い薔薇七本は、 『密かな愛』・『片思い』
タツミナソウは、 『私の命を捧げます』
黒いチューリップは『私のことは忘れてください』
ストックは、 『愛情の絆』
桃色の薔薇は、 『幸福』・『感謝』
紫のヒヤシンスは、『許してください』___
後日、カラフルピーチは二人の副リーダー的存在の脱退を、静かに発表した。
その後もカラフルピーチは力をつけ、ついに武道館でライブをしたりなど、
様々な活動を続ける中で、常にカラフルピーチは言っていた。
『仲間二人の思いも背負って、頑張りたいと思います』
カラフルピーチの事務所には盾やトロフィーに交じって、一番豪華な額縁には…
カラフルピーチ皆が作ったらしき、ぼろぼろのキーホルダーがさも大事そうに飾られていた。
end