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【曲パロ】ヨルシカ「晴る」
星屑様、リクエストありがとうございましたm(_ _)m
おかしかったらごめんなさい…。
初めてなので、大目に見てくださると嬉しいです。
目を開けると、真っ先に飛び込んできたのは夕焼けだった。
かなりの間寝てしまっていたらしい。いつの間にか、あたりは夕暮れ時に様変わりしていた。
何度か瞬きをする。
最近、春の訪れを感じさせる|匂い《・・》が、漂うようになってきていた。
特に今日のような晴れの日は。
ぞくり。と、背筋が寒くなる。
心臓の音が、急に大きく聴こえた。
(早く帰ろう。)
僕は家の方向へと歩きだす。
さっき感じた不快感は、更に増している。
思わず空を見上げ、あっ。となった。
先程まで晴れ渡り、美しいグラデーションを作っていた空は、今では厚く、黒い雲の層の中に隠れている。
僕の額の真ん中に、ポツリ、と雨粒が落ちてきた。
雨粒はアスファルトを濡らし、また道行く人々の背広を濡らした。
「うわぁ〜ん。」
突然子供の泣き声が聞こえてきた。
声の方を見やると、目を閉じて地面に座り込む少女がいた。
歳は6、7歳といったところか。
(何がそんなに悲しいんだい?)
僕は少女に問いかける。
少女は僕の方を見もせず、また泣き始める。
震えるその肩に手を伸ばし、そっと擦った。
(泣きたいなら、泣けばいい。)
僕は彼女に語りかける。
(空も泣いているよ。でもね、空の上は笑ってるんだ。)
彼女の震えがおさまっていく。
(空の上では、晴れているんだよ。)
降りたいなら、降ればいい。泣きたいなら、泣けばいい。
土を打つ音よ、鳴れ。
春を前に、鳴れ。
通り雨だったらしい。
彼女が泣き止む頃には、空はもとに戻っていた。
そよ風は草をなびかせ、空には羊雲が浮かんでいる。
みんな"晴る"を待っているんだ。
少女は立ち上がった。
そして僕の方を見て微笑んだ。「もう大丈夫だよ。」と。
晴れに晴れ、花よ咲け
咲いて春のせい
僕は心のなかでそう繰り返す。
少女は母親らしき女性のところへ、駆けていく。
彼女の人生は、どんどん進んでいくのだろう。
遠く、まだ遠くまで。
僕は晴るの匂いを胸いっぱいに吸い込んで、『ニャー』と一鳴きした。
桜の花びらが、ひらりと舞った。ように見えた。
どうでしょうか…?