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ココガラと、ちいさな灯台のともしび
できれば読んでください!
第一章:風の通る森と、ひとりぼっちの灯台
みどりが深く茂る「サザナミの森」の最果てに、古い実のなる大樹がありました。
その大樹のてっぺんには、くり抜かれた幹の中に、きらきらと光るめずらしい「ひかりのいし」が置かれています。森のポケモンたちは、そこを「ちいさな灯台」と呼んでいました。
夜になると、その石はやさしい琥珀色の光を放ち、暗い森で迷子になったポケモンたちの足元を照らすのです。
この灯台を守っているのは、小さな体を震わせながら暮らす一匹のココガラでした。
「よし、今夜もきれいに磨けたぞ」
ココガラは自分の羽を使って、ひかりのいしを丁寧に拭いました。
彼は生まれつき羽が少し小さく、長い距離を飛ぶのが苦手です。仲間のココガラたちが広い世界へ旅立っていく中、彼はこの静かな大樹に残り、灯台守になることを選びました。
「みんな、今ごろ遠い空を飛んでいるのかな……」
夜風が吹くと、ココガラは少しだけ寂しくなり、きゅっと身を縮めます。それでも、自分が灯す光が誰かの役に立っていると信じて、毎日まいにち、石を磨き続けていました。
第二章:大きなお客さまと、こぼれた涙
ある嵐の夜のことです。
激しい雨が葉を叩き、ものすごい地鳴りのような風が森を吹き抜けていました。ココガラは小さな体でひかりのいしを抱きかかえ、風で飛ばされないように必死で耐えていました。
そのとき、大樹の根元から「ズシン……ズシン……」と、重い足音が聞こえてきました。
恐る恐る下をのぞき込むと、そこにはずぶ濡れになった大きなカビゴンが座り込んでいました。カビゴンはいつもならのんきに居眠りをしているはずのポケモンですが、今はなんだか元気がなく、お腹を抱えてしくしくと泣いています。
「どうしたの? こんな嵐の夜に」
ココガラは風に煽られながらも、カビゴンの目の前まで降りていきました。カビゴンは小さなココガラに気づくと、涙を拭いながら消え入るような声で言いました。
「……お気に入りの、きのみの場所がわからなくなっちゃったんだ。嵐でまわりが真っ暗で、お腹がすいて、おうちにも帰れなくて……」
大きなカビゴンが、小さな子供のように震えています。
ココガラは胸が痛みました。カビゴンのような大きなポケモンでも、暗闇と嵐の中ではこんなに心細いのだと知ったからです。
「大丈夫だよ。僕の灯台の光を見て。あれが見える限り、君は迷子じゃないから」
ココガラはそう言うと、再び大樹のてっぺんへと駆け上がりました。
第三章:あたたかい光の輪
ココガラはひかりのいしの前に立ち、精一杯に羽を広げました。そして、石の光がもっと遠くまで届くように、自分の体で風を遮りました。
「もっと光れ、もっと届け……!」
小さなココガラの願いに応えるように、ひかりのいしはいつもより一層強く、あたたかい山吹色の光を放ちました。その光は激しい雨を透き通り、暗い森の奥深くまでまっすぐに伸びていきました。
「あ……見えた!」
カビゴンが声を上げました。光の先には、嵐で折れた木の向こうに、カビゴンが探していた「オボンの実」がたくさん実った茂みがあったのです。
カビゴンは嬉しそうに実をいくつか収穫すると、それを大切そうに抱えて大樹の根元に戻ってきました。
「ココガラちゃん、ありがとう。これ、いっしょに食べよう」
嵐が少しずつ弱まる中、大樹のうろ(空洞)の中で、小さなココガラと大きなカビゴンは並んで座りました。カビゴンが分けてくれたオボンの実は、驚くほど甘くて、冷えたココガラの体を芯から温めてくれました。
「おいしいね」
「うん、おいしいね」
カビゴンはお腹がいっぱいになると、いつもの幸せそうな顔で、すーすーと寝息を立て始めました。その大きくて温かい体の隣で、ココガラも心地よい眠気に包まれていきました。
第四章:ひとりぼっちじゃない空
翌朝、嵐はすっかり去り、抜けるような青空が広がっていました。
目が覚めると、カビゴンはもう出発したあとでしたが、大樹の根元には、ココガラが何日も食べられそうなほどのたくさんのきのみと、綺麗な丸い小石が置かれていました。小石には、カビゴンの爪で、不器用な「ありがとう」のマークが彫られていました。
ココガラが嬉しくて胸をいっぱいにしていると、上空から「ピー!」と賑やかな声が聞こえてきました。
見上げると、森の仲間たち――ポッポやムックル、そして遠くへ旅立っていたはずのココガラの仲間たちが、たくさん飛んできたのです。
「ココガラ! 昨日の夜の光、すごかったぞ!」
「遠い丘の上からも、お前の灯台が見えたんだ!」
みんながココガラのまわりに集まり、口々に彼を褒め称えました。
遠くへ行けなくても、羽が小さくても、ここで光を守り続けるココガラは、森のみんなにとってなくてはならない「道しるべ」だったのです。
ココガラは、自分の小さな羽をぎゅっと握りしめました。
もう、風が吹いても寂しくはありません。
大樹のてっぺんで、ひかりのいしは今日も朝日に照らされて、キラキラと優しく輝いていました。
(おわり)
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