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優しい悪夢
闇AUのアジトに扉が開く音が響く。寂れて寒々としたその建物のベランダに、彼等の“ボス”である、それはいた。
「……遅かったな」
「頼まれてたAU下見してきました」
25時、クロスはベランダにいたナイトメアに任務完了を伝える。
「ここにいたら冷えますよ」
「そんなことなど分かっている」
それなら、と次の瞬間ナイトメアが揶揄うように発した言葉はクロスの想像を超えたものだった。
「それならお前がこっちに来て俺を温めればいいだろう」
「…は…?」
衝撃で思わず立ち尽くしてしまうクロスを見下すようにナイトメアは嗤う。
「仕事も遅いのに、そんな事も出来ないのか?」
「…っ……」
苦虫を噛み潰したような表情でクロスはナイトメアの隣へ歩む。ナイトメアの左隣りへ来ると、クロスは腰に手を回し抱き寄せる。よくできました、と言わんばかりにナイトメアはクロスの瞳を見据え笑う。
少なからず想っているナイトメアと傍から見れば抱き合っているのだ。実際はナイトメアにこき使われているだけだが、すこぶる気まずい。クロスは自分に落ち着けと言い聞かせる。
居心地が悪そうなクロスを横目に、ナイトメアは物思いに耽っていた。
自分はネガティブな感情そのものだから。隣にいる愛しい人と共に幸せになることが出来ない。心の底から笑顔になる事も出来ない。そんなことが分かっていてもクロスはこんな自分に、|悪夢《ナイトメア》について来ているのだ。
ナイトメアは一つ溜息を吐き、空を見上げ呟いた。
「なんて優しい悪夢なんだろうな」
*おまけ*
継続組inリビング
(リビングからベランダに出れて2階はリビングです)
「あ、クロス帰って来たよ」
3人でババ抜きをしていたキラーが闇AUに響いた扉が開く音に気付く。
「…そうか」
マーダーが軽く反応し、クロスが3人の横を通り、ベランダのナイトメアの元へ向かう。
窓際にいるホラーがナイトメアのいるベランダを見る。
「次ホラーが取る番だよ〜?」
ベランダを見ていたホラーを急かすようにキラーは言う。ホラーは振り向かず、「おい、まじかよ」と驚きを零していた。
「クロスとナイトメアって付き合ってたっけ。」
ようやく振り向いたホラーは、2人に疑問を投げかける。
「なんか2人がベランダでくっついてんだが」
「「え?」」
驚きを隠せない3人の瞳に映ったのは、クロスとナイトメアが抱き合い、手すりにもたれかかっている姿だった。