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予想だけど
あめのなし
※フィクションです。
他サイトで全然評価されなかった作品です。
とおや君に信号待ちの所を突き飛ばされた。
私は押された拍子に前に倒れた。
それでもギリギリ車は止まってくれた。
なんとか振り返ってとおや君を見た時生まれて初めて人からの殺意を感じた。
本気の目
あぁこれが本当の殺意なんだな。
その時私はこの人にとって死ぬべき人間なんだと確信した。
その後すぐ「ごめん」と一言だけ言ってとおや君は我に戻ったような顔になって走りだした。
人が集まってくる。どうしたんだろうと。
殺意を確信した私は自分で自分のアパートから飛び降りた。
そう
「バイバイ、これが正解なんだよね」
と言って。
決して飛び降りるなんて言わなかった。
ただ電話越しに珍しく
「ちょっと待って!」
大きな声で慌てるとおや君の声が聞こえた。これが私にかけられた最後の言葉になるんだと思った。
「のに…なんで生きてるんだろう…」
「なんでって3階だったから…
木がクッションになってくれたから!
本当に運が良かったんだよまほちゃん」
彼は一度私を殺そうとしたとは思えないような笑顔でそう言った。
「本当にそう思ってる?」
私は思い切って聞いた。
「当たり前だろ!
どんだけ急いで行ったと思ってんだよ!!」
とおや君にしては珍しく大きな声で言ってきた。
とおや君が大きい声を出したせいでカフェで一瞬注目を浴びた。
「ごめん…久々にその…キレた…」
そっちがキレるの?
私は思わず笑った。
「まほちゃんてやっぱり
頭おかしい?ってか情緒不安定?」
「それをとおや君にだけは言われたくない」
私はすかさず言った。
「ってか…とおや君こそなんなの
その腫れた顔は…」
とおや君の左頬は大きく腫れ上がっている。
「何ってまほちゃんを守った証なのに…」