公開中
ある夜の夢から
ハイリスクレッド
ショート・ショートストーリー✍ 0
ある夜に見た夢から…物語
その①
逃げている。逃げ惑っている。
旧知の女性とその娘と俺が、逃げ惑っている。
何から逃げているのかは定かでは無かった。
たどり着いたと言うよりは偶然に目の前にあった建物へ逃げ込み潜り込み身を伏せ身を隠した。
何から逃げ身を隠しているのかは定かでは無かった。
息を殺して時を待つ。しばらくすると静寂が訪れた。
声を低く旧知の女性が言葉を吐いた。
「久しぶりね」
おぅ、とだけ俺は頷いた。
「ママ、知り合い?」旧知の女性の娘が、問いかける。
うん、と頷き旧知の女性は娘に視線を向けていた視線を俺に向け直した。
「16歳、高校生になったわ」
その言葉に俺は、うん、と頷いた。
辺りの静けさを確認すると旧知の女性が伏せていた身体を起こし建物内の気配を探り静かに中腰の姿勢になり俺に視線を向けた。
「外、見てて、建物の中を物色してくるから」
うん、と頷いた俺を確認すると旧知の女性はソロリソロリと建物内の物色を始めた。
俺はソロリソロリとほふく前進するといちばん近い窓から建物の外を覗いてみた。
もっとも窓と言ってもガラスも窓枠を破壊されてただ壁に穴が空いているだけのモノなのだけれど。
建物の外は静かだった、誰もいない、何も無い荒れ果て乾いた地面が見えているだけだった。
ふぅ~、となんとなく安堵の息を吐く。ふっと気がつくといつの間にか隣で顔を窓の外に向けていた旧知の女性の娘も、ふぅ~、と同じタイミングで安堵の息を吐いていた。
俺が顔を彼女(娘)へと向けなおすと彼女(娘)も顔を俺に向け直し、見つめ合いホッと互いに頬の緊張を緩めた。
刹那、互いの顔が近づき唇が瞬間的に触れ合い、離れ、次は少し長めに唇を触れ合わせあった。
足音が、気配が近づいてきた。
「水とクッキーが少しあったわ」
旧知の女性の声がして姿が見えた。
「何してるの?」
その声に床に腰を下ろしていた娘が顔を上げ手にしていた研いていたサバイバルナイフを煌めかせ自慢気に返事をした。
「牙を、牙を研いでるの!」
「どうしたのそれ?」
「そこの隅に落ちてたわ」
「で、彼は?」
「寝てる、オジサンなら高鼾よ」
「もう、呑気だね」
旧知の女性はそう言うと手にしていた水とクッキーを娘に手渡しさらなる物色へとその場を離れて行った。
娘は手渡された、水とクッキーを脇に置くと素早く狸寝入りしていた俺の身体を跨ぎ馬乗りになると手にしていたサバイバルナイフの先端を俺の胸に当て声を低く詰問してきた。
「ママとKissしたことあるの?」
あ、あぁ、と俺は頷いた。
ふぅ~んとしたり顔で娘は次の詰問をしてくる。
「せっくすは、Sexはしたことあるの?」
あ、あぁ、と俺はまた頷いた。
ふぅ~んと思考を巡らした娘は3つ目の詰問をしてきた。
「もしかして、オジサン、ワタシのパパ?」
あ、いや、それは違うと俺は顔を左右に振った。
そもそも俺と旧知の女性とが出会い身体を重ね合う仲になった時には娘はもう生を受け2年程が経っていた。
そして同じ時期に旧知の女性の夫、娘の父親は自動車事故で命を落としたのだ。
夫が亡くなり葬儀を終えると旧知の女性は俺の前から姿を消した。
もちろん娘を連れ消えてしまった。
それから、14年が経ちなんの偶然か、神の巡り合わせか、今ここに身を隠し身を寄せ合っている。
はぁ〜。天を仰いだため息で夢から覚めた。
その②
新築、新店舗の焼肉屋のオープニングパーティーの真っ最中である。
俺は、我が御主人様でありライフパートナーであるステディに、ご用事の要件を伝え終えその場から引き上げようとしていた。
そんな俺を目ざとくみとめた連中からヤンヤヤンヤの歓声と冷やかしの声が高鳴った。
俺はそんな高鳴った声に適当に手を振り愛想笑いを振りまきながら店舗の出口へと向かう。
と、目の前に一人の女性が立ちはだかり俺の行く手を阻み両手で俺の肩を掴み、グィっと顔を近づけてきた。
「もぉ、帰るのぉ〜?」
あれ、ガッキーやん?どうしたの?
「ここ、ウチの店よ」
マジか?!
「マジ、マジ!」
ならまた次、来るから。そう言うと俺は両手を拝む様に自分の顔の前で合わせペコペコと頭を振った。
「約束よぉ〜?」
うん、うん、と頭を前後に振りながら再び店舗の出口へと向かいドアの取手に手が掛かった時、背中をグィっと引かれ無理矢理身体を回転させられた。
回転し向き直った目の前に女性の顔がグィっと迫ってきて呟きが聞こえた。
「出て、外、出て」
うん、うん、と頷き頭を前後に振りながら俺と女性は店舗の外へ出た。
改めて俺と女性の顔が間近で向き合った。
愛未ちゃん…?
「ねぇねぇ、ユー・エス・ジェイ、行こよ、一緒にぃ〜」
そう言う言葉を発しながらニコニコと満面の笑みが迫ってくる。
おぉ、うぅ、うん、うん、と曖昧に俺は角度をやや斜めした頭を前後に振った。
っと言うか、この店舗に来てからずっと刺さる様な殺気さえ感じる視線を俺は感じていた。
すると、いきなり店舗のドアが打ち破る様に開けられ鬼の形相でドス黒いオーラを放つ女性が飛び出してきて仁王立ちで俺達、俺と愛未ちゃんに向け刺殺線を放ちながら奇声の様に何かを叫び散らかしている。
そんな鬼の形相の女性さえもドス黒いオーラさえも無視して愛未ちゃんは俺に約束を取り付けようと更に迫ってきていた。
そう言えば以前、愛未ちゃんに結婚しょ〜の約束を迫られた夢も見たなぁ…
はぁ〜。とため息で夢から覚めた。
To-BeContinueかも?