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十階編③
翠巒は舞に飛びかかった。まず、最初に狙ったのは目だった。舞は交わす、毛の先が灰とかした。舞は素早く、翠巒の足に蹴りを入れて、倒そうとするが、翠巒は飛び跳ねてそれを交わした。一進一退の攻防戦が繰り広げられているのを、香澄と紫乃は物陰に隠れて見ていた。なぜかって?だって怖いんだもーん!
「おぉー!流石ファイアサラマンダー翠巒ちゃん!」
「ファイアサラマンダーの正式名称はマダラサラマンドラです。水仮さん。」
「えっ!??ファイアサラマンダーが正式名称じゃないの!?(実際作者もそう思っていた)」
「いえ、マダラサラマンドラです。黒と黄色のトカゲみたいな見た目です。」
「知ってる!なんか見たことある!可愛いよね!(作者も可愛いと思う)」
謎のファイアサラマンダーもとい、マダラサラマンドラの話題で盛り上がる二人をよそに、翠巒達は戦っていた。しかし、そこに思わぬ敵が現れた。
「こりゃあどうなってんだろう?香澄さん。」
「湊さん!どうしてここに!?」
湊の登場に驚く香澄。
「ほい、弁当。」
床に置かれる弁当。わぁー今日はハンバーグ!
「じゃなくて!」
自分で自分にツッコミを入れる香澄。漫才のようになってしまった。
「これ、どういう状況?」
湊の瞳孔が更に細くなり、刀に手をかける。それを見て、香澄は青ざめた。翠巒は舞の相手をしている。ならば、自分が湊の相手をしなければならない、と。しかし、難しかった。なぜならば、湊の能力「生」は他者の能力を無効化するという、チートみたいな能力だったからだ。香澄はチラッと紫乃を見る。紫乃の能力はさっき使ったし、極力使いたくない。となると、自分が素手で刀と戦わなければならないと。脳内に流れる曲のサビを口ずさんだ。
「お亡くなりー………。」
となると、すべき事は一つ!
「にっげろー☆」
香澄は紫乃を連れて逃げ出そうとした、その時だった。湊が凍ったように固まった。
『逃げろ逃げろ。翠巒を連れて今のうちに』
脳内に直接響く声に香澄は耳を塞ぎ、うずくまる。香澄の異変に気づいた紫乃が駆け寄ってきた。
「水仮さん?」
ぼわんとたわんで聞こえる紫乃の声。目をギュッと瞑る。現実から遠のき、そしてまた現実に戻ってきた。
「今のは……?」
香澄は振り返った。そして、大きく目を見開いた。ゲヘナの色々なところがボロボロになってるのだ。そうだ……翠巒。
「翠巒ちゃん!撤退!」
しかし、翠巒は止まらない。香澄はなにかに突き動かされ、翠巒の元へ音もなく近寄った。
「翠巒。私の目的は看守の皆殺しではなく、脱獄だ。」
自分の口から発せられたとは思えないほど、ぞっとする声で、香澄は囁いた。それから、香澄は舞と湊を鋭く睨んだ。
「動くな。」
誰もが、その命令に従うしかなかった。誰もが思い出した。圧倒的な力の差を持つ被験体No.1は香澄であると。
「翠巒ちゃん!行くよ!」
いつもの調子に戻った香澄は翠巒と紫乃を連れて、階段を目指した。
「驚いた。僕が少し《《憑いた》》だけで僕の能力を使うなんて。」
男性は顎を撫でた。それから、笑って、思った。
`**この子は自分の血筋じゃないかと**`
次回予告(のふりをした違うもの)
雷「宋さん!舞さん!戦うから手伝って!」
香澄「階段までたどり着く!鬼ごっこ開始だ!」
十階編最終ラウンド!香澄達は逃げきれるか!?
あとがき(のふりをした違うもの)
作者「よしよし!うまーく伏線ができたぜ!」
香澄「ですねー!」
作者「彼は○○編での登場です!お楽しみに~!」
香澄「(彼って誰なんだ?)」