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『歪んだ世界の治し方。』
boar1222
ここは東京「怪異退治組織」本部。
20年前に突如として現れた「怪異」を捕獲し、保護をする政府公認組織。
怪異退治組織には主に戦闘員、研究員、事務員に分かれている。
そしてその公認組織に拾われたのは「フハキ」。
目が覚めたら知らない場所で知らない自分だったフハキは、推定17歳にして組織に拾われ、6年戦闘員として組織で生きてきた。
そしてフハキは、今日も生きる。
──カーテンの隙間から陽が差してくる。
陽が顔に差し掛かってきた。フハキの緑色の髪と青白い肌が照らされる。
それと同時に目覚ましもチリリと鳴る。
うるさい、とてもうるさい。そして眩しい、瞼を閉じているはずなのにその光は瞼も無いものかと錯覚させる。
なかなか起きれず自分の気持ちと悪戦苦闘をしていた矢先、突然部屋の扉が開いた。
「フハキ、早く起きてください。」
そんな声が聞こえ、目を開けるとそこには金色の髪に狐耳、ふわふわなしっぽをゆらゆらとさせながら呆れた表情でこちらを見る姿が見えた。
「…レアン?」
彼の名前は*レアン*。
人間と怪異の血が混ざった彼は人間に化けれる能力を所有しており、まさに「化け狐」と言えるだろう。
「なんでここに…」
「あなたが全然起きてこないからでしょう。」
「別にいつものことじゃん。なんで今日に限ってわざわざ…」
「いつものことと自覚しているのなら直す努力くらいしてください。そして、今日は新しい戦闘員が入る日ですよ。」
「あぇ、そうだっけ?」
「とりあえず、早く下の事務室に来てくださいね。僕はもう挨拶は済ましたから先に外出てます。」
それだけ言い残し、彼は部屋から出ていった。パタリと音を鳴らした後、部屋にはフハキ1人だけ。
「…5分くらいなら寝ても大丈夫かな…」
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10分後、急いで支度を終わらせ事務室に行くと、そこには少女がいた。
「どうも!今日から戦闘員として働くアディです!」
彼女…*アディ*はどこかの高校の制服を着ており、顔立ちもかなり幼かった。
「今年で19歳の未熟者ですがよろしくお願いします!ということで高校行ってきます!!」
そう言い放ったアディは事務室をバタバタと出ていき、取り残されたフハキはそこにぼけっと立っていた。
今年で19歳、ここで働ける年齢ではないはずだ。最低でも20以上…あと1年は必要なはずなのに、どうしてここにいるのか。
「……成人してないのに…」
ぼそっと呟いたその言葉は、誰かの耳に届いていたらしい。後ろから返答をもらった。
「今起きてきたのかい?もっと早起きしなさいよ。健康に。」
──いや、返答ではなかったかもしれない。ただ単にお節介を焼かれただけだ。
「!?…びっくりした…」
ビクリと体を跳ねさせた。声の方向を見ると、そこには美意識のびの字もなく、髪はぼさぼさ隈は出来まくりの事務員…|*被光*《*ひこう*》がいた。
「……なんで入れたの?」
改めて聞いた。あの子はどう見ても普通…だったはず。少なくとも寝起きの目には普通に見えた。
「怪異だから。」
予想外の返答だった。怪異…とてもそうには見えない見た目をしていた少女が怪異だと言うのだ。
「……怪異?あの女の子が?」
「普通に見えるだろうが、案外そんなこともないぞ。あの子の瞳を見たらわかる。」
確かに、ぼやけたフハキの目には遠くにいたアディの瞳は見えていなかった。
「瞳がなんだ?」
「あの子の瞳は、」
被光が話している最中、突然フハキの業務用スマホから通知の音が鳴った。
「「あ」」
2人して一言声を上げた。
スマホを取り出し、画面を見るとそこには「出動要請」と現在地からの方角・距離などの詳細が書かれたメッセージが飛んできていた。どうもタイミングが悪い。
「怪異出現か。ほれ、早く行ってらっしゃいな。」
「わーってるよおっさん。後でまたアディちゃんのこと教えてー!」
そのままフハキは扉を開け、外に出ていった。
「はいはい、お兄さん待ってるから。
…あと、扉は閉めてね。」
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「おいおい、最近の怪異はなんか弱っちぃな〜。」
どこかつまんなそうに手を後頭部に回す。
「いいことじゃないですか。命を落とすリスクなんか少なければ少ないほどいいんですから。」
淡々と正論を言う。彼、レアンはいつもこんな態度だ。
「……ほんっとお前って面白みがねーよな。真面目くんさぁ〜〜。」
唇をとんがらせて軽い口調で文句を垂れ流す。
「あなたが不真面目なだけですよ。」
ため息をつきながらそう言うが、実際彼はかなりの真面目くんだ。まぁ、フハキもフハキで不真面目だが。
「早く帰りますよ。この隙に怪異が逃げたら怒られちゃいます。」
「へーへー。」
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物語はここから動き出す。
趣味で書いている小説のため、更新頻度はかなり気まぐれです。
たまたま更新しているところを見かけたらラッキー程度に思っていてください。