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第6話「出会い」
【登場人物】
BTS:韓国の男性アイドルグループ
私:日本生まれ韓国在住の19歳大学生。
(家族構成)両親は中3の頃に離婚し、母とソウルで二人暮らし。
(身長・体重)身長164cm、体重✗kg
(推し)無し
(彼氏)無し
(夢)日本の小学校の先生になりたい。
(好きな色)紫
(趣味)料理、読書、掃除、散歩
(宝物)①両親と撮った最後の家族写真
②中学の頃好きだった男子からもらった腕時計。紫色。
(外見)眼鏡無し。黒髪で、ショートヘア(新垣結衣風)。大抵パーカーとジーン
ズとスニーカー。化粧無し、アクセサリー無し。
(性格)感情をあまり表に出さず、一人でじっくり考えることが多い。真面目 で頑固。滅多に泣かず一人で落ち込むことが多い。
*彼らが使う言葉は、表記は日本語ですが、実際は韓国語を使っています
夢をみた。
小学生のとき、母さんとふたりで図書館で借りた、北欧が舞台の大きな絵本。透明感のある挿絵が、とってもきれいな絵本だった。こんなふうに、うさぎやリスと仲良くなって、森のなかで暮らせたらいいなと思った。
そしてまさに、ここはその絵本の世界だった。
夕方の湖に、ぽつんとボートが浮かんでいる。乗っているのはわたし。子供の頃のわたし。膝の上に真っ白なノートを広げて、色鉛筆でいっしんに森の絵を描いている。ふと手が疲れたら、夕空をうつしたきれいな水面に触れてみる。透きとおった湖水はひんやりと冷たくて、ふわりと森の香りがする。いい匂い。
やっと絵を描き終わって満足感に浸っていたら、いつのまにか、あたりはすっかり闇に沈み、空には星が瞬きはじめる。少女の私は急いでボートを漕いで岸にのりあげると、慣れた手つきで桟橋に縄を掛ける。
そして軽やかにスキップしながら、母さんの待つ森の小屋へ帰っていくのだ。森の向こうで、煙突からの煙が夜空に上がっているのが見える。夕飯のいい匂いが漂ってくる…今夜はシチュー?それともグラタン?
夜は母さんとおしゃべりしながら、美味しいごはんをお腹いっぱい食べて、星の光を浴びながら、ふかふかのベッドで眠るの。母さんが隣で、優しい子守唄を歌ってくれる。なんて幸せなんだろう。ずうっとずっと、こうしていたい…。
ふと、誰かに肩をゆすられる。やさしい手だ。もう、朝なの…?でも、たった今寝たとこなのに。まだ眠い…もうちょっとだけ、このままでいたい…
「―ちょっと、もしもし」
「ちゃんと生きてる?」
「うん、寝てるだけだ」
ふっと意識が戻ってきた。急にズズッと体が重くなる。全身、特に頭がやけに痛い。
ゴトンゴトンという振動からして、電車が動いているようだ。
気を失う前の記憶が、一気に津波のように戻ってくる。そうだ私、家出したんだ。そばにいるのが母さんのわけがない。
たしか、乗客がだあれもいなくて、隣の車両に行こうとして…それで(なぜか)ふっ飛ばされた。もしかして、あれも夢だったのかな?だとしたら、なんで私は床に寝そべってる?それに、このぼそぼそした話し声は誰だ?誰か人がいるの?
うっすら薄目を開けると、真っ白な天井が見えた。視界がぼやけている。黒いのがこっちを見おろしてる。なんか化け物みたいで怖い。多分人だろうけど。いち、に、さん、し・・・何人いるの!?六人?七人?
「あ、起きた」
目を細めながら一生懸命頭の数を数えていると、誰かが叫んだ。その声はきーんと私の頭を貫通した。あまりの痛みに、思わず目をぎゅっと閉じる。
「大丈夫ですか?」
「起き上がれますか?」
次々に問われ、私はうめきながら首を横に振った。起き上がろうと腹筋に力を入れると、全身に激痛が走る。もしかして私、一度死んだのだろうか?
ともかく、誰かもわからん人物に背中を支えてもらいながら(目を固く閉じたまま)私はゆっくりと体を起こした。
ふーっとため息をつきながらようやく顔をあげると、こちらを覗き込んでいた人物と、もろに目が合ってしまった。
息が止まる。
「大丈夫ですか?」
低い声で問われて、私は人形のようにぎこちなくコクコクとうなずいた。なんて大きな瞳だろう。危ない危ない。吸い込まれるところだった。
ぼんやりした頭のまま、あたりを見回す。どうやらここにいるのは彼らだけのようだ。もう一度数えると七人だった。全員男性。皆深刻そうに何か話している。
記憶を巡らせていると、すぐに気づいた。
「あの、空港行きの電車に乗った人たちですか?」
私は背中を支えてくれた人を振り向いて、たずねた。何となく、この人が一番話しやすいような気がしたからだ。
すると、その人ではなく、鋭い目つきをした人が素早く答えた。
「そうです。あなたも?」
「はい…。でも、さっき電車が揺れて…それで…」
ああ、そうなんですよと、周りが一斉に相槌を打った。そして、口にピアスをした人が口を開いた。
「僕らも空港に行くはずだったんです。でも途中で電車が揺れて、みんな気を失って…。気がついたら、何もなかったように電車は走ってたんだけど…」
そこで彼は言葉を切り、下を向いた。周りもすっかり困り果てたように黙ってしまった。
「…それで、どうしたんですか?」
私はやっと声を絞り出した。すると背中を支えてくれた人が黙って窓を指差した。私は立ち上がって、窓を見た。
倒れそうになった。
「…さ、さばく…?」
声がかすれる。
本当に砂漠だった。写真でしか見たことがない風景。緑がない。サボテンさえも。岩と砂。ただそれだけだ。
電車は、広大な大砂漠の中を走行していたのである。
「なんで…?」
私は砂漠から目を離せずに呟いた。だって、さっきは海だったのに…本当に、なぜ!?
「誰にもわからない」
諦めたような声が返ってきた。私は全身の痛みも忘れて、勢いよく振り返った。向かいの窓からも、全く同じ眺めだった。砂漠がどこまでも広がっている。どこに向かっているのか、どの国にいるのかもわからない。そして、この電車の中には、私とこの七人の男の人達だけ。
私はあまりのショックに、その場にペタンと座り込んだ。
「あ、ちなみに自己紹介しておくと、僕はキム・テヒョンです」
さっき目が合ったイケメンが明るく言った。こんな状況でよく自己紹介なんてできるなと思いながらも、私は答える気にもなれなかった。
第六話「出会い」、お楽しみいただけましたか?🌱
はたして、btsメンバーと ”私”はどうなってしまうのでしょうか…???
まだ、極秘です🤐
どうぞお楽しみに❤
次回は、第七話「あなた誰?」です(^^)
ぜひ読んでね。