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狼と百獣の王
ちょこ🍫
この学校には、狼と百獣の王がいた。
狼と呼ばれる狼 冷音(ろう れお)は長く綺麗な黒い髪に透き通るような肌、そして何より狼のような赤い目の、超美人。
百獣の王と呼ばれる神王 獣也(かみおう じゅうや)は大富豪の息子でイケメンだった。一度も笑ったことのないと言う。
ここ、聖ナーガ学園は、高、大一貫校だ。その高校1年の春、1-C組には、百獣の王と、狼がいた。
狼は、たくさんの人をいじめてて、怪我をさせたことが何回もあるという、噂が流れていた。でも本当はいじめてるのではなかった。
百獣の王は、大富豪の息子で、常に人に囲まれ、優、京、奏太の3人を引き連れていた。
ある日の放課後、狼、冷音は百獣の王の手下の彼女達、3人に裏庭に呼び出されていた。
するとひとりが話しかけた。
結衣)あんたさぁ、まじイラつくんだよね。死んで?
最初に話しかけたのは、百獣の王の手下、優の彼女だった。何に使うかはわからないが、手にはほうきを持っていた。
それに続いてもう一人も言い出した。
美香)そーそー。感じ悪いしさ。
冷音はただ黙って立ってるままだった。1分くらいが過ぎた。
すると、とうとう冷音が話し出した。
冷音)勝手にイラついてろよ。こっち関係ねぇし。
冷音が冷めた目で言った。とうとう本気でキレたのか、結衣がほうきを振り下ろした。
ドカッ!
ほうきは冷音の頭に直撃した。冷音の頭から血が流れてきた。
冷音)ったぁ〜
冷音は傷口を抑えながら3人を睨んだ。
3人の内一人、奏太の彼女、蘭がわざとらしく叫んだ。
蘭)きゃああ〜♡怖ぁい♡
その声に誰かが気付いたのか、走って来る音が聞こえた。複数人だった。
結衣はわざと転び、血を流し、手に持ってたほうきを冷音に渡した。
奏太)大丈夫か?
奏太達と百獣の王が現れた。蘭はまだ芝居を続けていた。
蘭)奏太っ!
蘭は奏太の胸に飛び込んだ。
美香)助けて!今、狼にいじめられて、結衣が!!
美香はそういう芝居をすると結衣の傷と冷音のほうきを指差してた。芝居をしている時の3人は、まるで別人だった。
結衣の彼氏、優が、結衣の元まで走っていくと、心配そうな顔をして、
優)結衣!大丈夫か?
結衣を心配した後、優は冷音をひどく睨みつけ、
優)お前最っ低な女だな!狼!!
と言った。冷音は静かに言い返した。
冷音)別にあなた達なんかに「最高」なんて思われたくないんで。
さすがに奏太は怒りが込み上がってきて、冷音を殴ろうとした。それを見てる百獣の王は、冷静だった。百獣の王は奏太に話しかけた。
獣也)落ち着け、優。俺が狼を保健室へ連れて行く。ついでに事情聴取もする。お前らはそいつらから話を聞け。
百獣の王の手下達は、3人と共にどこかへ向かった。それを確認した百獣の王は、冷音を保健室まで連れて行った。
保健室までの道のりで、百獣の王が通りかかると皆、「百獣の王様だ!みなのもの、道を開けろ!」「なぜ狼と?」と話していた。
保健室につくと、放課後だからか、先生はいなくなっていた。すると百獣の王が、冷音を椅子へと押した。
冷音がすかさず百獣の王を睨んだ。
百獣の王は恐がる動作もなく、冷音に近づいて来た。
獣也)出血がひどい。応急処置だけする。
百獣の王は、そう言うと、冷音の傷口に触れようとした。でも人に触られるのが嫌いな冷音は、百獣の王の顔を叩いた。冷音は怒られるのを覚悟していた。でも百獣の王は冷音の手を掴み、優しく言った。
獣也)別に殺したりなんてしない。ただ傷を治すだけだ。それくらいいいだろ。
百獣の王は優しい目で言った。冷音は、治すだけならと、触れるのを許可した。
百獣の王は、傷口周りを優しく触れた。神秘的なひとときだった。
冷音の心の声)百獣の王も意外な一面もあるんだな。
冷音は心の中で、そう思った。
百獣の王の手当てが終わると、冷音の頭の周りは包帯で巻かれていた。手当てが終わると百獣の王、獣也の目は、変わっていた。
獣也は真剣な顔で、質問した。
獣也)で?何をしていた?
冷音は黙ったままだった。獣也が話しを続ける。
獣也)お前のいじめで不登校になったヤツもいると言うが、今回もまたいじめか?
冷音はやはり黙ったままうつむいた。獣也の目はは質問を重ねるたび、目が暗くなっていくような気がした。
最後に獣也は、冷音を恐く、暗い目で見ながら言った。
獣也)じゃあ、おめぇがあの3人をいじめてたって事でいいな?
冷音はまだ黙ったままだった。
獣也)お前、今日あとで屋上に来い。
獣也は冷音を鋭い目で見ながら行った。
15分後、冷音は言われた通り、屋上へ来た。そこには怒った奏太、優、京がいた。
獣也は前に出てきて言った。
獣也)これから狼が誰もいじめないよう、俺が見張っておく。決定事項だ。
獣也は真剣な顔をしながら3人に話した。3人もその意見に賛成した。獣也は振り向いて冷音に言った。
獣也)オイ、狼、荷造りしろ。今日から俺の家に住め。
冷音)え…?
冷音は驚きを隠しきれなかった。
獣也)あ?一人暮らしじゃねぇのか?
冷音は、なぜ獣也がそのことを知っているのか理解が追いつかなかった。
要を済ませた獣也は屋上から出て行った。残った3人が冷音に言葉を投げかけた。
奏太)百獣の王に監視されるとかやばいな。死んだも同然だろ。
そう言うと3人は屋上から出て行った。
冷音はフェンスに寄りかかって
冷音)「死んだも同然」か。
と言ったあとに苦笑いをし、屋上から出て行った。
家に帰ると冷音は荷造りを始めた。両親を幼い頃に亡くした冷音は一人で暮らしていた。荷造りをしている途中、冷音は写真を見つけた。家族の写真だった。冷音が写真を入れたのと同時に家のチャイムが鳴った。そこには黒い服を着た執事が立っていた。
執事)迎えに上がりました。狼冷音様。
黒い服の執事がそう言うのを見ると、冷音は、バックのチャックを締め、家を出た。
家を出るとそこにはでっかいリムジンがあった。そしてあの黒服執事が車のドアを開け、冷音を乗せると車を発進させた。
続く
百獣の王に見張られることになった冷音の運命は?
次回も楽しみにしていてくださいー😊