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澄衣の初配信?
「」…澄衣
『』…コメ欄の方
“|@Hakkyouma《藍染 澄衣》が配信を開始しました”
夢にまで見た、この舞台。
短編チューバーとしてこれから頑張るぞぉ!
──ということもなく。
澄衣「酒だ酒!!!!!!テ◯ーラ持ってこい!!!!!」
まさかの張本人──|藍染 澄衣《あいぞめ すい》が大荒れ。
酒をよこせと騒いでいるが、もちろん彼女は未成年だ。そして当たり前だが酒を飲んだことはない。
『未成年…だよね?』
『酒ダァぁぁぁ!!!!!』
『ビールもう一つ開けるわ』
荒れるどころかところどころ酔っ払いがいるコメント欄を放っておき、澄衣はジンジャーエールだと思しき液体を喉に流し込む。
澄衣「ゲホッ…ガガァ…!?」
流し込んだジンジャーエールのせいで喉に炭酸が染みてむせ始めた。
もはや心配の声すら上がらないコメント欄。この配信を見ている人がかわいそうになってくる。
時は戻って数十分前──
澄衣「わっしょぉぉぉい!!!!!!!!!」
澄衣の奇声により、この配信は始まった。
『え?え?』
『えっと、わっしょい?』
突然の奇声に驚いて反応できていない視聴者を置いておきながら、彼女は自己紹介を始めた。
澄衣「こんにちは!藍染澄衣です!New Stars.の0期生、Colorful flower fields.としてこれから活動していきます。多分。」
『多分!?』
『0奇声の間違いじゃね?』
『↑うまい』
言いたい放題言われているコメント欄を総スルー、澄衣は自己紹介を始めた。
澄衣「にゅ〜すたの沸き頭枠、藍染澄衣です!名前の通り藍色担当、ピッチピチかは知らんけど中学生よ!」
『沸き頭枠なんてあったっけ?』
『脇頭と見間違えた』
澄衣「脇頭なわけあるか!わたしゃ、お釈迦様みたいに神々しくないよ!」
『どういうこと?』
『お釈迦様はお母さんの脇から生まれたらしい』
『こいつにネタにされるお釈迦様がすごく可哀想』
開始早々、こいつ呼ばわりされる澄衣だがあまり気にしていない様子。
だが、こんな上機嫌澄衣の元へ魔の手が降る──。
『こいつバカじゃん』
澄衣「おだまりそこのクソガキ。あ、クソガキは私か。」
一つのコメントに突っ込むものの、そこまで気にしてはない様子だ。ただ、この後の発言が詰んでいた。
『こんなバカの配信見てるお前らがアホ』
澄衣はフリーズした。コメント欄は、一瞬にして戦場と化す。
増え続けるアンチ、応戦する大半の視聴者、何もできず固まっている一部の視聴者。
澄衣は立ち上がり、ジンジャーエールの瓶とコップを持ってきた。
澄衣「よっし、酒盛りしよう。未成年は水またはお茶またはジュース!」
『はい?』
『やっぱ頭おかしかったわ、アンチとか言ってごめんなさい。』
『私焼酎入れてくる』
『俺弟からコーラパクってくる』
『↑弟かわいそう』
と、いうわけで無事澄衣の初配信は酔っ払いたちの園となった。
澄衣「誰かテ◯ーラ飲んでる人いる?」
『テ◯ーラ好きすぎだろ』
『は〜い!』
『↑すげぇ』
澄衣「じゃあ私の名前の元になったジン◯ーダ翠は?」
『ここにいます!』
『そうだったの!?』
『名前の由来が酒…?やっぱり、成人済み?』
澄衣の年齢の真偽が問われるようになった頃、彼女は配信を終了した。
まさか、初配信が酔っ払いの園になるとは誰も想定していなかっただろう。