公開中
しゅうりやさん
moon
これはある小道の古いお店のお話
「いらっしゃい」
そう言われたような気がしたので、軽くお辞儀し僕は店の中を見渡した。
「久し振りにここに来たけど…何も変わらないな…」
僕は今、この店の解体工事にあたっている。
この店は僕が子供の頃によく来ていたお店だ。
「玩具が壊れたときよくここにきて直してもらってたっけ?」
そう思いつつ、僕は解体工事に取り掛かる。
「…ん?」
僕は落ちていた一つのおもちゃを拾い上げる。
「これは…」
その玩具は僕が子供の時に持ってきたが直せないと言われたものだった。
**思い出**
「おじーちゃん!このおもちゃなおして!」
そう僕は言いながらお店のなかに飛び込んだ。
「はいよ。…ん~、これはかなり壊れているね。直すのは難しいか…新しいものを買ってもらい?」
「やだやだ!このおもちゃがいいの!」
そう僕はごねた。なぜならこの玩具は昔お小遣いで貯めて初めて買ったものだったからだ。
「そう言われてもねぇ…」
「やだやだ!直して!」
「でも…」
「…うぅ…もう嫌い!」
そういい、僕は店を飛び出し、家へ帰った。
あんなこともあったっけ?でもこれはあの時の物だな。直ってる。ずっと直していたのだろうか。
あの時以降、僕は店に行ってなかった。
僕がまた来る日まで待ってくれていたのだろうか?
そう思うと胸が温かくなった。
そのとき、解体工事の監督が言った。
「なにしてる!早く中のものを取り出してこい!」
そう言われた僕はこの店は壊したくないと思った。一体どうしよう…
店を解体する/店を受け継ぐ
店を解体するの場合
店は壊れた。
でも僕は幾つかの玩具を持って帰った。
これは恐らく一生の宝物となるだろう。
そして僕の思い出は残るだろう。
そう思い、僕はまた仕事に出かけた。
店を受け継ぐの場合
あのとき僕は監督に言い、おじさんの遺族の方とも交渉し、店を引き継がせてもらうことになった。
今では昔の僕ににた一人の子供が通ってくれている。
「おじさん!このおもちゃ、なおせる?」
「…」
僕はあの頃のことを思い出しながら言った。
「ああ。直せるよ。」