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もう一つのかぐや姫
これは、「かぐや姫」が、昔の出来事ではなく、現代の出来事だったらを考えて作りました!ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
とある田舎の遺品整理の仕事をしているおじいさんは、ある古い屋敷の庭で不思議な輝きを放つ「銀色のカプセル」を見つけました。おじいさんがそれを開けると、中には小さな女の子が眠っています。おじいさんはその子を、カプセルごと家に持ち帰りおばあさんに見せました。子供のいなかったおじいさんとおばあさんは、その子を「かぐや」と名付けて育てることにしました。かぐやは驚くべきスピードで成長し、高校生になる頃には街ですれ違う人が全員振り返るほどの美少女になりました。おじいさんとおばあさんは、
「こんなに美しいのにこんなちっぽけな田舎で暮らすなんてもったいない。」
と、かぐやを都会で育てようと思い引っ越しを始めました。
引っ越しが終わり、平和な日々を過ごしていたある日、かぐやが何気なくSNSに写真をアップすると、その美しさは一気に世界中へ拡散されました。かぐやは、自分のSNSのフォロワーが、急激に増えていくのを見て驚きました。ついには、「会いたい」というファンが家に押し寄せるようになり、中には有名なIT企業の社長や、若き億万長者たちもプロポーズに現れました。
興味がなく、困ったかぐやは、彼らにスマホで「ミッション(条件)」を送りました。
「北極の氷の底にあると言われる、幻のブルーダイヤを自撮りしてきて」
「私のフォロワーを、偽アカウントなしで一晩で10億人増やして」
どれも現代の技術やお金では不可能なことばかり。結局、誰一人として成功する者は現れませんでした。やがて、かぐや二十歳になりました。家に押し掛けたファンも、かぐやと会うのはあきらめていました。
そんなかぐやは、最近、夜空の月を見上げては、タブレットで謎の文字を打ち込み、涙を流すようになります。心配したおばあさんは、
「かぐや、何か、困ったことがあれば、いつでも相談してねぇ?」
そう言い、優しくかぐやの頭をなでると、かぐやは、涙をこらえながらこう言いました。
「私は、高度な文明を持つ月の民です。調査のために送られたのですが、明日の夜には迎えが来ます。」
それを聞いたおばあさんは、驚いた表情をし、少しの間沈黙が流れました。かぐやが眠った後、おばあさんが、お茶を飲みながらかぐやの話をおじいさんにもしました。
「かぐやが、もういなくなってしまうのか。寂しくなるのう。」
「そうですねじいさん。せめて、明日だけでもゆっくりしてほしいものだねぇ。」
おじいさんとおばさんは、お茶を飲み干すと、眠りにつきました。
そして、ついにその明日が来てしまいました。満月がきれいな夜、家の周りには、かぐやを連れ去らせまいと、かぐやにフラれてしまった者や、かぐやのファンたちが、警察や野次馬を連れて集まりました。すると突然、街中の電気が消え、すべてのスマホの画面に「お迎えに上がりました」という文字が表示されました。皆は戸惑い、スマホをタップしたりして、文字を消そうとしましたが、全然消えません。スマホに気を取られた者たちを素通りし、空から静かに宇宙船が降りてきました。降りてきた透明な宇宙船にかぐやが吸い込まれていくとき、かぐやはおじいさんたちにVRゴーグルを渡しました。
「これをつければ、いつでも私のいる月の景色が見られますよ」
光とともにかぐやが消えた後、街の電気は戻りましたが、かぐやのSNSアカウントはすべて「消去」されていました。ただ、おじいさんたちのゴーグルの中にだけ、彼女の笑顔が残っていました。
--- END ---
(以下の内容は自主企画応募の時に使用したテンプレです。)
題名:もう一つのかぐや姫
元ネタ題名:竹取物語(かぐや姫)
元ネタ作者:不明
自分の作品のこだわり・解説等:このお話は、プロローグで書いたように、昔の風景で描いた作品です。私は、それを現代風に書いたら面白いのでは?と思い、これを書きました。
元ネタ作品を選んだ理由・こだわり等:私にとって一番考えやすかったお話だったから選びました。
眠り姫へ一言:自主企画参加、させてもらいます!
眠り姫の好きな作品:『幸福論』
昔 かぐや姫=現代 かぐや姫