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出会い
この学校には、『特待生』という人たちがいる。何人かしか持っていない『特殊魔法』を使う人たちのこと。『特待生』きっと響きは、いいだろう。
けれど、全然よくない…!
だって、その人たちは、『裏生徒会』いわゆる先生の駒づかい員会に入らないといけないから。
結構めんどうくさいらしい…!噂によると…。
これは、それに選ばれてしまった女の子の物語。
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「これから第一回、裏生徒会、一年生会議を始める!」
前に立っている女の先生。長い髪を団子にして、上で止めている。多分、裏生徒会を仕切ってくれる先生。
日桜のまわりには、13人の生徒、今年の『特待生』がそれぞれ指定された席に座っている。
「君たちの資料は見させてもらった!みな、おもしろい魔法を持っているな!」
目をきらきらさせる先生。
「私は|奏月《かなづき》だ。これからよろしく頼む!」
奏月先生は、背を向けて黒板に文字を書き始めた。
それを黙って見つめる日桜たち『特待生』。けれど、中には興味なさそうに本を読んでいたり、爪をいじったりしている生徒もいる。
しばらく待っても、先生はこっちを向かない。ずっと書き続けている。
日桜は、なにを書いているのか読もうとする。
けれど、先生が書き始めたときから思っていたことがあった。
文字、小さくない!?
なにか書いてるはずなのに、全部小指くらいのサイズで、読めないのだ。
隣の生徒はあきらめたのか、机に突っ伏した。
これ、文字小さいって言わないの?
日桜は、まわりのようすをちらっと見てみた。けれど、誰も言い出す様子はない。真面目に見ている生徒が数人と、もうあきらめたのか、別のことをしている生徒が多数。
あれ…?…まあ、いっか…。
迷った末に何も言わないようにした。元々、目立つのは苦手なのだ。
「よし、今ここに書いたのが、裏生徒会の主な仕事内容だ」
自信満々に言う先生。けれど、文字は見えないうえに書くのにかかった時間は、2時間。
書き終わるころには、日桜はうとうとし始めていた。昨日は今日の入学式が心配で、あまりよく眠れなかったのだ。
「みなの最初の仕事は、これだ!」
奏月先生は、黒板の一か所を勢いよく指さした。
けれど、日桜はそこに何が書いてあるのか全く分からない。
「まず、みなで先日逃げたうさぎを捕まえること!以上だ!」
そう言って教室を出ていった。
え…?出ていった…。これで解散…?
しばらく続いた沈黙の中、ポニーテールの女子生徒が声を上げた。
「よし!作戦会議しよ!」
その女子生徒は立ち上がって、先ほど先生がいたところに立った。
にこっと笑う。
「私は|近藤 流美《こんどう るみ》よ!」
リーダーシップがあって、いつもみんなの先頭に立つような子なのだろう。
生徒たちの前に出ても、少しも緊張した様子はない。
「私の特殊魔法は、物理的にものを消すことができる魔法だよ」
日桜は、驚いたように目を見開く。
笑顔ですごいこと言ったよこの子…!
消えろって思ったらなんでも消せちゃうんでしょ?え、すごい。
「でも、形がないものはだめ、お茶とか」
ん…?それって、若干不便。でもまあ、そのくらいの弱点はあるよね。
日桜は、認識を少々改めた。
水だったら、火が弱点。すごい魔法は、生命力を吸われる、というように弱点がない魔法はほとんどないのだ。
「あとね、小指の先ぐらいまでのものじゃないと無理」
めっちゃ、不便じゃん!?その魔法だけしか持ってないってことでしょ?
特殊魔法の所有者は、その魔法以外の魔法は使えないのだ。もちろん、日桜も。
「ザコじゃん」
いつの間に顔を上げたのだろう。隣で机に突っ伏していたはずの男子生徒が、バカにしたように笑って、言い放っていた。
日桜は、その言葉に目を見開く。
けれど、流美はまったく気にしていないようで、最初と同じ笑みを男子生徒に向けた。
「うん!まあね」
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~ 生徒資料 ~
近藤 流美(特待生)
特殊魔法:小指の先ぐらいのものを消し去る。