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月の紅(輝夜×妹紅)
私の脳内での創作衣装?をベースに物語が進みます。今回でいえば輝夜が羽衣をつけていますが、気にしないでください。
<<side |藤原 妹紅《ふじわらの もこう》
竹林の夜、冬。深夜23時ほどだっただろうか。
両手に焼き鳥を持ち、夜道を歩いていた。
伸び切った竹が月の光を隠し、風が吹き竹が揺れると月が顔をのぞかせる。
私の白い毛と熱くまだ湯気の立つ焼き鳥を月明かりが照らし、風と共に髪が運ばれるように揺蕩う。
寒いせいで、私の白い頬と細い指の先を赤に染めていく。悴んでいく。
静かだった。静かすぎた。なんだか少し怖い。
でも、何が怖いかなんてわからず、紛らわすように焼き鳥を少し口に頬張る。
タレの濃く優しい味に熱々とした肉、炭で焼かれた肉は少し焦げを作ってパリッという音と苦味を口の中に運ぶ。噛みちぎられて露呈した少し白がかったもも肉の脂。
この焼き鳥は一級品だ。
「ん〜っ、おいしいわねぇ」
声がした。手が少し軽くなった。
声のする方を振り返ると、そこには|蓬莱山 輝夜《ほうらいさん かぐや》がいた。
彼女は美しい。
風に揺れる墨のように滑らかで癖など一切ない長髪、水みたいに透き通った肌に|朱《あか》みがかった茶の瞳。
姫のような、端正な顔。
上品で余裕のある態度、襖から覗く月が描かれる扇子をいつも持っていて、暑かったり煽るようなことをする時にはいつも仰ぐ。その度にゆれる透き通る黄色の羽衣。
その時の流し目といったら____
胸がドクンとする。耳が赤くなる。
違う。彼女は憎い、憎い、憎すぎる。
そう自分に言い聞かせる、というか元から輝夜への感情はその通りだ。ただ、憎い。
この胸の高まりも赤くなった耳も頬も全部、全部、殺意だ。
--- * ---
<<side 蓬莱山 輝夜
「よ、よくも……っ」
片手には食べかけの焼き鳥の串一本。
私はわざと、彼女に見せつけるように串に残った焼き通りを頬張る。ん〜っ!と悶絶するようなオーバーリアクションを取る。
「まあまあ、そんなに怒らないで?」
しっかりと噛んで飲み込む。少しばかりの炭ほほろ苦さとタレの甘じょっぱさが混ざり合う。そして、それのタレをよく絡め、炭でじっくり焼かれたもも肉も柔らかさ。
彼女に向けて微笑んだ。余裕のある笑みを作る、これも意図的に。
「わ、私が買ったんだぞっ!それをまぁ…人の許可もとらずに…っ」
彼女は可愛い。
風に揺れる絹のように柔らかく癖など一切ない長髪、白で毛穴というものを知らない肌に炎みたいな紅色の瞳、赤の唇。少し豊かな胸。
赤白、それ以外の色が彼女にはない。
でもそれでいい。それがいい。
「まあまあ、あまり怒らないで?美味しいものは共有した方がいいでしょう?」
扇子を取り出してぱたぱた仰ぎながら微笑んでみる。片手には食べ終えた串が一本。
「人のものを食べておいて…っ」
「ごめんなさいねぇ、美味しそうだったから」
「耳赤いわよ、寒いの?」
彼女に近づいて、彼女の絹みたいな白の毛を耳にかける。彼女の赤い耳が顔を覗かせる。いわゆる、ボディータッチだ。
可愛い。思わず頬が緩む。
「なっ…なっ……」
固まっている妹紅を見て、優しく微笑む。
彼女の白い肌は赤が染まった時にそれをわかりやすく際立たせる。だから、彼女が、彼女の白と赤が好き。
隠しているつもりだろうが、私は数年前から彼女のことについて、気づいている。
私の前だけわかりやすく赤に染まる頬と耳、どくんどくんと生きているように暴れ出す鼓動。
何年先でも、私にだけその顔を見せていればいい。
「ふふっ、…まあまあ、落ち着いて。寒いんでしょう?」
わかっている。
だからこそ、こんなことを聞く。
もっと私に夢中になって、それ以外のことを考えられなくなればいいから。
「あ、あぁ!そう、そう!さ、寒いだけっ!」
真っ赤になりながらそう叫ぶ彼女を見て扇子を帯にしまい微笑む。
「はいはい。…ほら、冷めてしまうわよ」
2本の焼き鳥を見た。
そして、彼女は気づいたようにして焼き鳥を急いで頬張る。
「まあまあ、慌てないで。喉、詰まるわよ」
少しタレのつく唇。
少し背の低い彼女は、私を刹那だけ見上げながらもすぐに目を逸らして下を向きながら、焼き鳥を頬張り続けた。