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    3.僕の杖がいちばんかわいいが?
    
    
        3話目!いろいろ飛ばしてホグワーツへの準備です。
    
    
    トムをフォークナー家で引き取ってから五年が経った。
トムの性格は相変わらず捻れているしお父様お母様も奔放主義。でも、僕ととにかくたくさん遊んで勉強したトムは結構家に馴染んでいた。というか、トムめっちゃ頭よかったんだね。僕のことすぐ追い抜かしちゃった。ついでに背も。そんな感じで僕らの関係性は変わらないまま10歳になった。
ある朝、眠い目を開けると僕らの部屋にホグワーツへの入学許可証が届いていた。
「父様母様、僕らに入学許可証がきたよー!」
そう言って父様に飛び付くとがっしりとした体で受け止めてくれた。父様の筋肉、レベチ。母様はにこにこと笑っていた。美人!親だけど!
走り出した僕を追いかけてトムが部屋に入ってきた。
トムもめっちゃかわいいまんま。これ以上成長しなくてもいいけどね。
「ノア!急に走るな!…おはようございます。」
トムは堅いな。二人とも“もうフォークナー家の一員だ”って言ってんのに。
「トム、おはよう。ノアから聞いたよ。おめでとう。」
父様がトムの方を向いて言った。
「今日は二人の入学準備のため、ダイアゴン横丁に行きましょう!」
と母様が言った。賛成!と返すと嬉しそうに笑った。
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「着いた!ここがダイアゴン横丁。トムは初めてだよね?」
と聞くとトムは頷いた。
いろいろなものを買わなきゃいけないから手際よくまわらなきゃ。このままだと周りが人だらけになっちゃうしね。
フォークナー家は父様も母様も素晴らしく美人だから周りが勝手に埋まってしまう。だからダイアゴン横丁にはあんまり来ない。今回もみんなに気づかれる前にぱぱっと移動しなきゃ!
「トム、メモ見せて!」
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一年生は次の物が必要です
制服
普段着のローブ三着(黒)
普段着の三角帽(黒)一個 昼用
安全手袋(ドラゴンの革またはそれに類するもの)一組
冬用マント一着(黒、銀ボタン)
衣類には名前をつけておくこと
教科書
全生徒は次の教科書を各一冊準備すること
「基本呪文集(一学年用)」 ミランダ・ゴスホーク著
「魔法史」 バチルダ・バグショット著
「魔法論」 アドルバード・ワフリング著
「変身術入門」 エメリック・スィッチ著
「薬草ときのこ千種」 フィリダ・スポア著
「魔法薬調合法」 アージニウス・ジガー著
「幻の動物とその生息地」 ニュート・スキャマンダー著
「闇の力―護身術入門」 クエンティン・トリンブル著
その他学用品
杖(一)
大鍋(錫製、標準、2型)
ガラス製またはクリスタル製の薬瓶(一組)
望遠鏡(一)
真鍮製はかり(一組)
ふくろう、または猫、またはヒキガエルを持ってきてもよい
一年生は個人用箒の持参は許されないことを、保護者はご確認ください
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うーん…。多すぎ!
「ノア、杖が見たい。」
「まあまあ。とりあえず順番にいこう。最初は…マダム・マルキンの洋装店だよ。」
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「こんにちはー!」
「いらっしゃいませ。…あら、フォークナーさんのところの!」
「ああ、今日は二人分の制服を頼みたいんだ。」
父様がにこやかに言うと、
「承知しました!もしかして、その黒髪の子は引き取られた子ですか?」
「一緒にホグワーツに行くんです!」
元気いっぱいに答えるとそうなのね、と言って採寸の準備を始めた。
採寸は30分程で終わった。父様がお金を払っていると、
トムが買ったものにピッと線をいれた。買い忘れが無いようにするためだと言った。
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いろいろな物を買って、時には握手を求められることもあったけれど無事に最後のオリバンダーの店までやってくる事が出来た。
「杖下さい!」
僕が扉を開けて間髪入れずに言うとオリバンダーは笑った。
「そんなに急がなくても良い。さあ、どちらから選ぶ?」
「じゃあ僕から。」
「ずるいぞ。トム!ここは公平にじゃんけんだろ!」
まあまあと父様になだめられ、トムの杖選びを見た。
何度か杖の山が壊れたがこれだ!というものが見つかった。よかったね。
「お願いします!」
「杖腕は?」
「左ー!」
と腕を前に出す。これかな?と言ってオリバンダーが僕に杖を持たせた。杖を振ると窓がガタガタと揺れ、置物が落ちた。
何度かやってもなかなか決まらない。そろそろ手が痛いな。
「これじゃろ!レッドオークの木とジャッカロープの枝角の芯で硬直、34㎝」
僕がふわっと振ると、店の中には花びらが舞い、ふわりと春の香りがした。壊れた物も崩れた杖の山も直っていた。
「おお!これじゃこれじゃ。この杖は主導者を選ぶ。きっと良いリーダーになる。」
とにかく嬉しかった。これからよろしくね!杖くん!
その日は杖を抱いて帰った。