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新しい家
私は、家族で田舎に引っ越してきた。
ただ、引っ越し、といっても実家を継いだだけだ。
私達家族は、前から田舎暮らしに憧れていたこともあって実家を継ぐのは大歓迎だった。なので、私が高校に入るタイミングでちょうど田舎に移ろう、という話になった。
実家は相当古くて、リフォームはされているものの、築100年をそろそろ迎えるとか。何にせよ、趣のある民家で、窓からは近くの田んぼが見えたりした。
田んぼだけではなく、もちろんスーパーもコンビニもある。が、とてもではないが歩いていく気にはなれない距離だ。なので、私達一家は、週末の夜に車で買い出しに行くようになった。
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夏とは言えスーパーから戻ってくるともう時間は遅く、都会の灯りのない我が家周辺はとても暗く見えた。
車のヘッドライトが少し前の道を照らしてくれていなければ、とてもではないけれど近づきたくないような雰囲気。いや、むしろ半端にヘッドライトがついているせいで余計恐ろしく感じられた。
「!」
ガレージに駐車するため、車の向きが変わったその瞬間、家の一階の窓がヘッドライトに照らされて私は信じられないものを見てしまった。
青白い顔が、窓に張り付いている。
しかも、あれは内側からだ。家の、内側。
「きゃあああああっ!」
思わず車内で叫び声を上げる。驚いたお父さんとお母さんが車を停車させた。見れば、もうそこに顔は見当たらなかったが、私の心臓はまだばくばくと鳴っていた。
「どうしたの、何があったの!?」
心配そうにお母さんが尋ねる。私は今しがた見たものをお父さんとお母さんに説明した。
「だから、家に入りたくない……」
「……ちょっと、お父さんが見てくるな。
母さんは警察に連絡できるようにしておいてくれ。不審者だったら大変だ。車から出るなよ。」
そう言って,お父さんは一人で家に入って行った。私は固唾を飲んでそれを見つめるしかなかった。
やがて、真っ暗だった家の窓に橙色の明かりが灯され、10分もした頃お父さんが家から出てきた。
「大丈夫だったの!?」
勢いよく私とお母さんが尋ねると、お父さんは頭を掻きながら、「押し入れまで見たけど、誰もいなかったんだよな……」と言った。「本当に?」と思わず尋ねると、「本当本当」と返された。
「……怖いなあ」
だとすると、私が見たのって幽霊なんだろうか。
あの虚ろな表情の青い顔、確かに人間だとは信じたくなかった。
(見間違いでありますように……)
お母さんに私の懸念が伝わったのか、「大丈夫よ、何もないからね」と落ち着かせるよう声をかけてくれた。
「明るいし、あんまり怖くないわね。」
そういって、家族で買い物の荷物を持って家に入る。明るい照明。引っ越してきてから段々と薄れてきた埃の匂い。いつもの我が家で、顔なんてどこにもない。
「……うん、そうだね。大丈夫みたい。」
私はそう安心することができた。
「な、大丈夫だよな」
玄関に立つお父さんは、虚ろで真っ青な顔をして、私にそう語りかけた。
久しぶりです!
この季節柄をマジで無視して、ホラー読み切りを書きました!寒気を感じてくださいましたか……?
あんまり上手くないことは百も承知なんですが、今ゴーストハントのアニメが期間限定公開されてるんです。見るしかないですよ!本当ゴーストハントいいですよ。小説もアニメも漫画もありますし!知ってる人がいたら是非語り合いたい……✨
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!ばいびる〜