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レミリアとムーン②
「あ、お嬢様、おかえりなさいませ」
蒼いドレスを身にまとったムーンが来た。隣には姫の家系とは思えないラフな格好__まあ姫を拒み吟遊詩人となったので当たり前なのだが___の妹・サニーがいた。
「レミリア、久しぶり!元気にしてた?」
「ええ、そうよ」
「何お土産に持ってく?」
「お土産って…話が早いわね」
月1くらいで会うわたしたちの関係は結構良好だ。この前は彼女の能力でミニプラネタリウムをもらった。本当の星空の輝きが美しく、パチェも気に入ってる。
「じゃあさ、姉さん。この前わたしがいなかったから、ウェザーボールはどう?」
「え、スペル?あ、間違えた、秘技の?」
わたしたちの世界のスペルカードは、彼女らの世界の秘技にあたるという。
「そんなわけないよ。ウェザーボールを応用して、天気のアクセサリーを作るの。ウェザーアクセサリーの方がいいかな?」
「そうなのね、素敵だわ。フラン、もらう?」
「もらう!」
話を聞くと、どんな天気でも専用のガラス玉に閉じ込めることができ、いつでもその中の天気を取り出すことができる。
フランとわたしは、曇りのウェザーアクセサリーをお願いした。日光も流水も苦手だし。
わたしはネックレスを、フランはブレスレットを作ってもらった。銀色のビーズとともに、白銀に輝く曇り空がガラス玉に閉じ込められている。そのガラス玉をひとつ、あとはいろんなビーズを魔法テグスに通して、できあがりらしい。
作れると思ったけど、相当な技術が必要らしかった。
「わたしからのお土産はどうする?」
「じゃあ、今度はお姉様がブレスレット、わたしがネックレスがいい」
「わかったわ」
久しぶりに会うサニーに、フランは喜んでいた。同じ妹同士、気が合うのだろう。
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「星羅さん」
「あ、えーと…レミリアさんのメイドの咲夜さんですよね」
|わたし《空踏星羅》は、いきなり咲夜さんに話しかけられた。
「ここのお掃除とか、家事とか、大変ですか?」
「そんなにですね。普通の家を、お嬢様が勝手にお屋敷って呼んでいるだけなので。紅魔館さんの方こそ、すっごく広くて豪華だから、大変じゃないですか?」
「まあ、妖精メイドがいるとはいえ、大変よ。このあたりでメイドになりそうな人はいるかしら」
うーん、そうだなあ…
由有さんところはお金をチラつかせたらやりそうだけど…
アスメル姉妹さんは?あ、でもメロさんがちょっと怖いな…でも、普通に力仕事はできると思う。
「メロ・アスメルさんと、メル・アスメルさんがいいと思います。メロさんは手足を自由に動かせるので、力仕事がおすすめです。メルさんは器用なので家事とかもできると思います。あと、高額な給料を払えば何でも屋のところの由有さんも短期メイドになれると思います。
アスメルさんたちは森にいます。はなねクリニックというところで森の管理をしているので、行けば呼んでもらえると思います。もしいなければ草花さんとかに話しかければいいかな、彼女は森育ちだから」
「ありがとうございます」
アスメルさんたちも、退屈だーとか言ってそうだしね。