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第4話:修行
日が過ぎるのは、早いものだ…。
一度目を閉じ瞬き感覚で目を開ければすでに一日が経っていた。
時間に干渉する魔法でもかけられているんじゃないか?と思ったが…体の疲れもすべて取れているので良しとしよう。正直なところ、考えるのがつらそうな気がした…。
「まずはこれから半年のスケジュールを発表していきます。」
そんなこんなで、仙凪さんが朝食中に今日からのスケジュールを提示してきた。
そこには、二日おきの訓練が書かれており案外ハードじゃないと感じれる。
まだ、奴隷時代のほうがきつかった…。
あれは、今思い出しても苦痛だ…。
寒い中、服もなしに洗濯させられその後は…
よそう、あれは悪夢だ。
「棗にしては、案外軽いものを提示したな」
「…?フミ様は私の事をなんだと思ってるのですか?」
「っと、今日のパンは美味しいなー」
「あ、それ私が焼いたんだよ!」
「どおりで美味しいと思った、ありがとなつむぎ!」
「私の料理はおいしくないと…。ふむふむ。」
次々と地雷を踏み抜いていくフミさんを横目に私も仙凪さんに質問をした。
「空白が多いのはどうしてですか?」
「それは、今から説明します。まず、このは様にこちらのメイド服を着てもらいます。流石に、その布切れ一枚では寒いでしょうし…ちゃんと寒暖差にも耐えれる優れものです。」
それはありがたい…。正直、奴隷の時に着せられていた布一枚だとここは少し寒い…。
「で、これに汚れが付くごとに修行量が倍増します」
へーそれは、きつそう…。
「え?」
「ぜひ、汚さないように頑張ってください」
仙凪さんは万遍の笑みでそう言い放った。
私を含め、仙凪さん以外はすごく引きつった顔をしていた。
もしかしなくても、このメイドさん頭のねじ数本吹き飛んでるんじゃ…。
「では、食事も終えましたし…。修業を始めましょう。着替えはすでに済ませておりますので」
「え…」
知らない間に、私の着替えが終わっており強制的に修行が開始したのだった。
ちなみにだが、メイド服はすごく軽い。
「まずは、魔力上昇訓練とあと体力上昇訓練…。つまり、基礎運動からだな」
ここからは、ダイジェストでお届けしよう。
…メタいこと言うと、この修行期間殆どやる事一緒だったから書くことが…。
っと、そんなことは置いておいて一つ全員に知ってほしいことがある。
このメイドさんがどれほど鬼畜なことをしているのかを…。
まず、この空間は現実世界での1時間で1日が過ぎるようになっている。
つまり、現実世界の1日ではこの空間内で24日過ぎることになる。
ここからは、単純計算なのであんまり参考にはならないと思うけど…半年(23×7)×24=3864これで、初日から半年間の大体の日数が求まった。
それを、1年単位に直すと…。
3864÷365=10.5
つまり、私はこの半年間で約10年間修行したことになる。
週に直すと、約552週間と言う事になる。
ちなみに、これを知ったのは最終日の2日前だ。
それを踏まえたうえで、修行内容をダイジェストに流していこう。
〈体力上昇訓練(初日)〉
1、服を汚さないように、1.5kmを1週走る。
2、服を汚さないように、腕立て、腹筋、背筋それぞれ20回ずつ
初日のため、この2つだけだったが…。
1.5kmを走る間に罠がしかけられたり、地面が沼地のようになっていたため全身を汚してしまった。
2個目の腕立て伏せ、腹筋、背筋は少しでも休めば首なんか即消し飛ぶであろう魔法が設置されており死ぬか生きるかの瀬戸際運動となった。
初日と言う事もあり、汚れの換算は軽めになったが…それでも修行量は3倍になった。
〈魔力上昇訓練(初日)〉
魔力を感じるところからスタート
元奴隷と言う事もあり、魔力に一切触れてこなかった私は最初に魔力という存在を認識することから始まった。
正直に言おう。
全くわからなかった…。才能がないのか、それとももっと別の問題があるのか。
だが、幸いにも魔力感知が出来なくても魔力量を増やすことはできるらしいのでそれを少し行い初日は終了した。
魔力上昇訓練では、汚れが付くことがないので正直言って安心だった。
それからだいぶ飛び…1週間後
〈体力上昇訓練(8日目)〉
1、12kmのランニング+魔力による身体強化の維持
2、腕立て、腹筋、背筋をしながら防御魔法の維持
その日から、絶望の幕開けだった。
四六時中どんな時でも魔力を纏い続けてどんな攻撃にも対応できるようにすることを目的に体力上昇訓練中に死なない程度(フミさん基準のため私が受けたら即死)の攻撃をつむぎちゃんが放ってきたり…寝てる間に、腕が無くなる攻撃が与えられたり…。
そのおかげなのか、魔力をある程度感じる事ができるようになり…更に、無自覚の内に回復魔法も習得していた。
〈魔力上昇訓練(10日目)〉
つむぎちゃんと魔法のぶつけ合い
魔力上限を伸ばすには、ギリギリまで魔力を使用したり本能的に死を感じることがとっても近道らしい…。
私はそうは思わないけど…。
結果としては、つむぎちゃんの1万分の1の魔力程度なら打ち合えるようになった。
これは、凄いことらしい…。
初日から10週間経った。
先に言っておこう。これは、書くのがめんどくさくなったとかではない!
ほんとに…。
〈体力上昇訓練(73日目)〉
ランニング120㎞+身体強化魔法維持+並列処理を目的とした魔法陣の構築
玄破師匠との剣術トレーニング
いじけたフミの対処…。
このころになると、今になってもおかしいことをしていると思う。
1日にどれだけ訓練するんだよ!!って思ってたけど、案外やればできるもんらしい…。
人間、鍛え方によって違うんだねー(棒)
〈魔力上昇訓練(89日目)〉
やることが思いつかなかったのか、魔法講座が始まった。
なんとなく頑張れ!って前言ってたけど、流石に怒られたのか少ししょんぼりとした顔をしながらつむぎちゃんが教えてくれた。
〈体力上昇訓練最終日兼剣術並列思考トレーニング初日(150日目)〉
73日目から70日強、メイド服を汚さずに過ごす事ができたので1段階上にグレードアップした。
メイド服に、重りを約50kgつけ玄破師匠とフミの剣術トレーニング、そして同時に後方支援課のように飛んでくる魔法をブレイクすることを目的に修行がスタートした。
正直、絶望の始まりだ。
ここからは、あんまり記憶に無い。
〈剣術トレーニング(248日目)〉
メイド服に、重りを340kg付けた状態での剣術トレーニングが始まった。
魔法訓練は、身体に勝手にしみついており無意識の間に身体強化魔法を自在に操る事ができたためかしばらくは剣術トレーニングになりそうだ。
玄破師匠もフミも、お互いに我流のためどんな流派が来ても大丈夫なように様々な流派の対処法を叩き込まれた。
ここまで来ると、内心は疲れた、諦めたい…。
などでいっぱいだったが、逃げようとしても棗には全てお見通しだったらしく次の日の棗担当の訓練(学園に通うため歴史や言語などの基礎知識授業)が10倍になったことからもう逃げようとは考えなくなった。
あとは、3週と1日経った次の2日は休みで完全フリーだったためそれを目指して常に頑張るようにした。
ただの狂気である。
〈剣術トレーニング(598日目)〉
重りが2000kgを超えてきた。
動きがだんだんと鈍くなり、魔力も枯渇状態なのか身体強化魔法が上手く使えず倒れた。
魔力枯渇と疲労による軽い熱だったが、師匠たちが修行のペースを少し落としてくれたからか、1週間全部修行だったのが今では4日まで落とされた。
〈剣術トレーニング(788日目)〉
師匠たちに休めと言われたが、身体を動かしてないと妙に落ち着かづ師匠たちの目を盗みながら素振りや少し前に習った型を復習した。
〈剣術トレーニング(903日目)〉
今日は、自主トレーニングと言われたので剣の修行を半日、もし剣が無くなった時用に師匠が言っていた空手というものをイメージしながら練習した。
〈拳術トレーニング(36日目)〉
師匠が、護身術にはいいだろうと言う事で空手も教えてくれた。
意外に空手も奥が深い…。
ひぃ、ひぃ、あの鬼メイドめ!
修行で書けないほどの内容やらせやがって!
「このは様~まだ今日の課題終わってませんよー」
やばっっっ
逃げないと…
「さぁ、やりましょうね?」
いやだぁ!!!