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春祭り
16歳の男子中学生「壱香和 源(いちかわ げん)」は、悪魔の夢を見る。その悪魔は、自分のくしゃみは凄いと言うのだ。今日開催する春祭りの会場へ向かう時に、弟が悪魔のくしゃみでしばらく宙を浮いてしまう。そして、源は好きな人の元へ飛んでいってしまう。
悪魔(以下「悪」)「おれのくしゃみは凄いんだ!人間が空を飛ぶほどだぞ!」
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さっきまで、目の前に悪魔がいた。
|壱《いち》|香《か》|和《わ》 |源《げん》は、夢を見ていた。
源「ん……」
今は、朝8時。
スマートフォンを手に取る。
源「やべ、9時から春祭りやん」
急いで準備をする。
源「|譲《ごん》、行くよ」
弟を連れて、走って会場へ行く。
悪「へっくじょん!」
源「…………………ご、譲!」
譲「なに?…それよりみておにいちゃん!ぼく、ういてるよ!」
源「それだよ!何で浮いてんの!?」
譲「わかんない…でも、たのしい!」
源「あんた魂だったん!?!?」
譲「そんなわけないでしょ〜」
源「……あ、浮かなくなった……………」
悪「へっくじょん!」
源「やべっ、風強すぎっ、うぅあああああっ!!」
源は、ゆっくり地面に落ちていった。
怪我はなかった。
?「源くん、大丈夫?」
源「あの…………|呼《こ》|田《だ》 |舞《ま》|衣《い》さん………ですよね……?」
舞衣(以下「舞」)「そうだけど?」
舞衣は、源が思いを寄せている人。
まさか春祭りで会えるとは、夢にも思っていなかった。
舞「もしよかったら、一緒に出店巡りしない?」
源「は……はい……!」
沢山の出店が並んでいる。
焼きそばやチョコバナナに、三色団子や弁当が売ってある。
さらにはゲームコーナーもあった。
三色団子と弁当を買って、3人で花見をする。
譲「おだんごおいしい!」
舞「この子が弟くん?かわいい〜」
譲「ぼくかわいいじゃない!かっこいいもん!」
舞「フフフ………」
源「あの……舞衣さん!後で、近くの海へ行けませんか……」
譲「おにいちゃん?どうしたの?」
舞「私は良いよ」
譲「ぼくもいく!」
弁当などを食べ終わって、海へ行く。
弟は、砂で遊んでいる。
源(…………よし!告白しよう!)
舞「…………………」
源「舞衣さん!」
舞「何?」
源「あの………付き合って下さい!本当にお願いします!」
舞「あ、え……ごめん………いつまでも付きっきりって訳には行かなくて………別に嫌いって事じゃ無いよ?」
源「……まあ…………そうだよね…………」
告白は失敗した。
だんだん、「カップル」とは何かが分からなくなってきた。
ただの友達と何が違うのか。
2人は、しばらく海を眺めていた。
悪「へっくじゅん!」
源「!」
弟の体が光り出した。
白い鳩になり、空を飛んだ。
源「譲!」
舞「弟くん!」
弟は、春祭りの会場へ飛んでいった。
桜の花びらが自分の体に降り注ぐ。
その美しい姿を見て、舞衣は何かを決心した。
舞「源くん!」
源「あ……なんですか?」
舞「さっきは無理だなんて言ってごめんね!本当は、ずっと好きだったの!急だったから、混乱しちゃって…」
源「舞衣さん………!」
譲「おにいちゃん!」
源「譲、戻ってたんだ……」
舞「付き合って下さい!」
源「……はい!」
譲「つきあうってなぁに〜?」
舞「ひみつ!」
譲「え〜!」
舞「ひみつだよ〜!」
譲「なんで〜!おしえて!おしえて!おしえて!おしえて!おしえて!おしえて!おしえて!おしえて!」
舞「ごめんね〜!」
源「………」
空から、白い羽が落ちてきた。
弟のものかは分からない。
花びらを拾って、家に持ち帰った。
お守りにするつもりだった。
(原文:ラック・リック)
とある悪魔のくしゃみで弟は空を飛んでしまい、自分は好きな人と接近するチャンスがおとずれる