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地球
これは、私の空想の世界の話。
太陽は静かに死んでいき、月はいつも真っ赤に燃えている。
植物は泣き、落ち葉はいつも真っ青に凍っている。
大地は疲れ果て、空はいつもどす黒い紫に染まっている。
そんな|世界《ところ》に私は1人たたずむ。
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あなたは想像できるだろうか。こんな世界を。
昼とか、夜とか、そんなの関係ない。
ただ、普通なら太陽と月は交互にやってくるものなのに、この世界は太陽と月が同時にある。いつでも。
奇跡のツーショットとでも言おうか。
植物は、何があると思う?
サボテンか?
バカを言うな。
気色悪い形状で蛇みたいなニョロニョロした見た目の植物しかいない。
もし、カメラでそれらを撮ったら消すか、モザイクかけるか、大抵の人はそういう対処をするだろう。
いや、そもそもカメラなんかこの世界に存在しないし、あったとしても写真など撮らないだろう。
いや、おおもとをたどろう。ここには私しかいない。"大抵の人は"なんて言ったけど、誰もいない。
食料なんてない。
だけどここはあくまでも空想の世界。
そんな現実的なことは考えなくても心配はない。
水なんてこれっぽっちもない。
空は不気味な色をしていて、この世界では影がない。
いくら月が燃えても、元気だった頃の太陽には遠く及ばない。
雲はない。
それはそうだ。
雲のできる仕組みを知っている人は分かるだろうが、水がなければ雲はできない。
風はない。
漂うのは、何かが腐ったような、そんな刺激臭。どこから漂っているのか分からない。
なにが腐っているのか、そもそも腐ってる訳じゃない可能性もある。
空気は重く、ネトネトしている。
どんよりと何かにとりつかれているような、重っ苦しい気持ちになる。
息をする度に、肺が気持ち悪くなる。
「助けて」
そんな言葉も忘れてしまうくらいの孤独。
寂しいよりも、もっと残酷な。
時間?そんなの知らない。
ずっと同じ景色。
雲が流れていき、小川の水が流れる。
そんな平穏な景色は影も形もない。
たった1秒でさえ、ひどく長く感じる。
1分なんてもう絶望でしかない。
先程私は、この世界を空想の世界と言ったが、実際は私の夢の中の世界だ。
最近よく、この世界へ降り立つ夢を見る。
それも、不気味なほどに何も起きずに、朝を迎える。
最初の頃は訳が分からなかった。
けどもう何百回とこの夢を見続けてきた。
ただの偶然とは考えがたい。
きっとこの世界は、夢は、いつか現実になるのではないか。
そう、思ったりもする。
この世界が地球であることは間違いないのだ。
酸素はある。
重力も、慣れた感覚がする。
太陽と月の距離感も変わらない。見慣れた大きさ。
水こそないが、水があった形跡はそこらじゅうにある。
つまり、川の形が残っているということ。
私が思うに、この世界は、百年後の地球なのではないか。
もう、2度とこんな夢は見たくない。
なのに、夢は意識とは別に出来上がってしまうから、止めようがない。
先程、"何も起きずに朝を迎える"と言ったが、ごく稀に、大きな隕石がやってきて、地球がバラバラになり、朝を迎えることもある。
これが指すのはきっと、いずれにしろ地球の滅亡。
まあ予言者でもなんでもないので正確なことは言えないが、滅亡する可能性は決して低くないと思う。
だって、恐竜が絶滅したみたいに、人間が絶滅するなんて違和感はないだろう。
百年後の地球。それはどんな世界をしているのだろうか。
この目で確かめてみたいものだ。
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こんにちは。若かりし頃、地球滅亡の夢を見ていた者だ。
当時、百年後の地球は滅亡すると考えてた私だが、今、その百年後を迎えた。
今、地球がどうなってるかって?それは皆が気になるところ。
ふふふ。
無事、終わりを告げようとしているよ、この地球は。
最近ニュースではこの話題ばかり。
ニュースと言っても昔当たり前だったテレビなんかないが。
"巨大隕石接近中"
これが世界を困惑させている。
私自身はこうなることを予想していたので驚きはないが、当時いなかった夫と子供と孫。
この大切な人たちも被害を受けなければいけないのは苦痛でしかない。
今更どうにかできることでもない。
ただ祈ることしかできない。
祈れば叶う。現実はそんなに甘いはずがない。
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地球は忽然と姿を消した。
まるで、最初からなかったかのように。
今まで人類が築いてきた歴史なんてもうどこにも残っていない。確かめようにも確かめられない。
でもこれが、人類の行き着く先なのだ。
それは今も昔も変わらない事実。
それに気付く人が私じゃなかったら、何か変わっていたのかもしれない。
読んでくれてありがとうございます
なんか変な話ですね
こんなにオチも考えずに書いたの始めてです