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魔法戦記クオーレ・イクイノックス 第六話
ねの麦餅
セルフレーティングは念のためです。 前回、第六守護天使を討伐した。
ユキマが、こっちに来てから数日の時が過ぎた。彼女はかなり話し上手で、すぐにクラスに溶け込んでいった。
僕も、初日よりはかなり学校に慣れてきていた。
その時、警報が鳴り響く。
教室の扉が勢いよく開いて、里美さんが入ってきた。
「ユキマ、信吾君、秋香!早く、こっちに来て!!」
その時、避難勧告が鳴り響いて、みんなが避難する。そんな中、僕たちは話を聞く。
「第二発進地点で事故ぉ?!じゃあ、守護天使じゃないの?」
「そうよ、民間が作ったイクイノックス、イクイノックス・ゲシュヴィンディヒカイト……略称、|GG《ダブルG》イクイノックス。それの覚醒よ。今回のは通常の覚醒とは違って、人為的な覚醒プログラムによって発動した覚醒よ。覚醒時のパワーを利用して、高速機動を目的とする機体だったらしいけど、制御システムに問題が発生、暴走してるわ。何としても止めなくてはいけないわ。」
その常葉を聞いてみんな頷く。
「GGイクイノックスを止めるためには、どんなことをしてもいいわ。パイロットの生死も厭わないわ。」
由美さんの言葉に少し、震える。
「やらなきゃ、やられるってことか……。」
その後、パイロットたちは、コクピットに乗り、発進する。
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ダンッ!!
その音と共に宙に放り出され、着地する。そういえば、随分コントロールに慣れてきた。
そして、目の前には……
黒い装甲、赤く輝く瞳、通常のイクイノックスの1.5倍はある。
「なによ、あれ、聞いてた話と全然違う!!」
ユキマからの通信を聞いて、僕も頷く。
「ああ、あんなの聞いてないよ…」
その瞬間、GGイクイノックスが背中の斧を持って、地面を滑るようにして高速で近づいて来る!
僕の2番号機は、マシンガンを連射する。それでも止まらない、加速するッ!!
その瞬間に、1番号機の肩のミサイルサイロを破壊、その流れで、こっちに斧を振り込む。
咄嗟にガードするが、GGイクイノックスのその足が片方が90度上がって、コクピットを狙って備え付けのドリルで攻撃してくる。咄嗟に腕でガードするが、バリバリと、装甲を傷つける音が聞こえる。そのままイクイノックス1番号機は腕を流血する。
そこにユキマの操る2番号機がGGイクイノックスにタックルを仕掛けるが、一瞬で避けられて、踵落としをして仰向けにさせて、そのまま踏んで、ドリルで首の装甲を抉る。
「くぅああああ!!」
ユキマの叫び声と共に3番号機の首から飛び散る鮮血。
それを見計らったかのように、1番号機が刀で上から奇襲する。それを難なく避けて、尻尾で弾いて、ビルに叩きつけられた1番号機に追撃で小型ミサイルを撃つ。
それを、2番号機で防ぐが、それを知っていたかのようにミサイルの煙幕の中からGGイクイノックスが現れて、膝蹴りで軽く持ち上げられ、片腕で一気に地面に叩きつけられる。
その瞬間に、3番号機が斧を投擲。それが振り向いたGGイクイノックスの胸部に強く叩きつけられる。しかし、それをなんともないかのように引き抜いて、そのまま逆手持ちにして、3番号機を下から上へ切り込み、その後、持ち替えて、上から頭に叩きつける。
その瞬間に、1番号機が飛び込むが回し蹴りを食らって簡単にあしらわれる。
「キャッ!」
小さい悲鳴と共に1番号機は地面を転がって、ビルにぶつかって制止する。
その後、2番号機で大剣を持って突っ込むが、相手はそれを待ち構えるかのように上から一瞬で押さえつけ、腕のドリルが展開して上から装甲をゴリゴリ削られる。
「ぬぅぅぅ!!ぐはあ!!」
僕は痛みに悶絶しながら暴れるが、抜け出せない。そして、1番号機はビルに叩きつけられた後静止、3番号機は頭部を大破して動けない状況にある。誰からも助けられない。嫌だ。死にたくない。こんなところで。そう考えていると、みんなの顔が思い浮かぶ、痛すぎて、涙と共に走馬灯じみたエンドロールが頭の中に浮かぶ。そして、そのまま……
違う。気が付いたら、2番号機が勝手に動いている。青い眼が黄色く染まる。それを確認して、僕は気絶した。
覚醒。
その瞬間に、弾かれたかのように2番号機は後ろに引く。その瞬間に、GGイクイノックスはすぐ後ろで、大きく斧を振りかぶろうとしている、が。
その瞬間には2番号機の拳がGGイクイノックスの頭部に直撃、仰け反っている間に上から飛び込んでねじ抑える。そのままGGイクイノックスの首を絞めていく。しかし、GGイクイノックスも負けじと、首を絞めている2番号機の腕を掴んでゴリゴリドリルで削る。
意に介せずそのまま首を絞める。そのままGGイクイノックスの首が、折れた。
GGイクイノックスはそこで停止するが、覚醒した2番号機は止まらない。
何度も何度も、執拗に殴りつけ、GGイクイノックスの腹から鮮血が飛び、そのままGGイクイノックスの内臓を、嚙み千切る。
そのまま中を抉り、剝がすようにして装甲が飛ぶ。民家に突き刺さり、山を抉り、壊した分だけの装甲と鮮血と、肉が宙を舞う。雨のように降り注ぐ燃料と血。
そのまま、コクピットを握る。ミシミシ、と音を立てて、どんどんへこんでいく。
そしてそのまま、握りつぶした。少女の悲鳴と共に、潰れたコクピットからは赤い液体が飛び散り、肉の拉げる嫌な音が響く。
そして、取り外されたコクピットの奥にある、GGイクイノックスのコアを、潰したコアで突き刺す。
GGイクイノックスのコアは崩壊して、瞳から光が消えた。
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目が覚めた後の、凄惨とした風景に、吐き気が催した。飛び散るGGイクイノックスの内臓、鮮血、装甲、そして、自身の2番号機の手にべったりとついている人の血。そして、ほとんど破壊されたGGイクイノックスのコアに突き刺さってる潰したコクピット。
「なんだよ、これ、なんなんだよ、これ…………!!!」
うわああああああああ!!
--- 第六話、完 ---