公開中
【怪物カフェ】 ~ 憩いと問題発生
[本日のメニュー]
1.怪物たちの憩いの場
2.クレーマー
[お食事の際の注意事項]
・この物語に登場する人物、場所などの大部分はフィクションです。
ただし、道中で出ている「〇〇の作り方」のレシピ等はノンフィクションであり、実在しているものが殆どです(もしかしたら稀に、異界の料理があるかもしれません)
・ファンレターは常時受付しています。
誤字脱字、レシピの間違いの発見、お食事の感想/質問/リクエスト、など…沢山のファンレターをお待ちしております。
ただし、お食事/人物などのクレームは一切受け付けていませんので、礼儀正しくコチラをお楽しみ頂けるよう、送られたものがそういった部類の文だと判断した場合は一度忠告し、その上で繰り返された場合は入店拒否といった処置をさせていただきます。
・元の「怪物カフェ」とは全くの別物ですので、知っている人物の名が出ても、それは別人です。並行世界のようなものだとでも思い、気にせずお楽しみ下さい。
・募集した店の従業員や、お客様のご要望等に沿えず、どこかを勝手に調整するかもしれませんが、「どうしても」という場合を除き、出来る限りその件に関しての連絡はしないで下さい。
こちらもあまり変更等はせず、行う場合は元の要望から変わらないよう善処致します。
【オープン】
---
[怪物たちの憩いの場]
---
--- ピピピピ…__ピピ__っ ---
「‥っ〜‥。
…__ぁぁ…__もう朝か‥朝は、なんだか苦手だなぁ…チラ」
『✖️月 ◾️◾️日
今日は仕事があるから絶対起きろ』
「…そっか、今日は《《あの日》》だったか‥。
ってなったら、ぱぱっと支度して、短くなってしまうけど、朝のミニライブ、やってしまおう」
--- “|unknown《アンノウン》” ---
--- それは未知を意味する言葉 ---
--- 彼女は|謎《未知》に包まれている。 ---
--- 自身を知らず~~生~~死んでいる__ ---
--- *屍* だ ---
---
side{神宮寺 朧}
time{|AM《午前》6:32}
朧「…なぁ」
「何?」
朧「…‥クッッソ眠i」
「超興味ねぇわ」
うわぁすんげぇ食い気味で言うんじゃん…おぼろさん、悲しい……。
__あー‥で、__野菜ジュース片手にスマホ弄ってるコイツの名前は“|西春 桜花《にしはる おうか》”、この店の住み込み従業員の一人だ。主にキッチンで働いてもらってる。ま、時々接客してもらうこともある。_が、口が悪くて手も出やすい子だから基本やらせないようにしてる。__つか、うん、やらせたくない。__
んで、時たま、ほんっと時ど〜き、殺し屋の仕事を手伝ってもらってる。昔っからの大親友だし、殺し屋やってるっていう事情もきっちり話してる。そのうえ本人の合意の上で手伝ってもらってるから問題はない。__法律はガン無視してるけどな!!!__
それと、桜花には姉貴がいる。__桜花からは「兄貴」って呼ばれてるんだが、立派な女性だ。__
名前は|西春 雪葉《にしはる せつは》。桜花はめちゃくちゃ苦手意識持ってる。どんくらいかって言うと、会ったら「げ」って自然と出ちゃうくらい。可哀想だよなぁ…__俺、あんまり言えねぇけどさ__
ちなみに桜花は、『|吉弔《きっちょう》』と呼ばれる…まぁ分かりやすく言えば、竜の角と尻尾がある亀だな。頭には黄色い角が生えてて、背中にはデケェ亀の甲羅があって、尻には深緑色の竜の尻尾を生やしてるかなり珍しい種族。
なんでも、竜が生む卵の二つのうち一つが、吉弔になるんだっけな?ママ竜ビックリしてるよ、「うちの子亀だわ!?」って(笑)
言い忘れてたけど俺は『龍人』。ま、簡単に説明したら〜、龍にも人にもなれちゃう、めちゃ強くて珍しい人外ってことだな!!
…んま…“今は”龍の姿になんてなることほぼありえねぇんだけど。
朧「うわー、ひッでぇ。__話聞くぐらいいいじゃねぇかよ〜‥__
は〜ぁ〜…‥」
桜花「つか、仕込みは?やンないの?」
朧「4時くらいに目が覚めちまったから一人でやっておいた」
桜花「はぁ?ったく、無理すンなっていっつも言ってんだろぉ…?__それに、昨日遅くまでシゴト行ってたんだし‥__」
朧「まぁまぁ。そのお陰で今、モーニングティー楽しめてるわけですしぃ?__気にしなぁい気にしない__」
桜花「…別に楽しんじゃいねぇんだよ。__そも、私が飲んでるのティーじゃなくて野菜ジュースだし__」
朧「えぇ…別に良くね野菜ジュースでも。」
桜花「じゃあモーニング野菜ジュースになるな」
朧「うぇぇなんか不味そう…」
桜花「はっw だよな」
桜花は鼻笑いをして残ったジュースを飲み干した。
あ、俺が飲んでんのはブラックコーヒーな。
……あれ?じゃあ尚更モーニング“ティー”じゃねぇのか?あれ、そもそもモーニングティーってなんだっけ…??
そんな馬鹿みたいな話を二人でしていると、店の中にある、上の階へと続く階段から「ミシ…」っと音が鳴った。
朧「ん、」
「ぁ、もう人いる…__ってそりゃそうか__」
朧「おはよー、アン」
無意識に笑って、降りてきた人物に挨拶をする。桜花も、横でひらりと手だけ振った。降りてきた人物は独り言を呟きながら自分の首筋に手を当てている。
桜花「珍しいな、“Unknown”がちゃんと時間通りに降りて来るなんて」
Unknown「桜花、アンタちょいと酷くないかい?」
朧「w んま、いーじゃねぇの」
コイツは“|Unknown《アンノウン》”。フルで言うのめんどいから、俺とかは「アン」って略させてもらってる。
で、桜花と同じく住み込みで働く従業員の一人。主に接客をやってもらってる。この仕事以外にも別で、配信サイトでゲーム配信とかを中心に実況とかをしてるんだよな。__流石に顔出しはしてない。__もちろん俺も拝見させてもらってるが…まあ、普通にゲーム上手いし見てて楽しい。きっと向いてるんだろうなぁ…。
んで、コイツは『キョンシー』っていう種族…種族っつって良いのか?…まぁ、簡単に説明すると、儀式とかによって意図的に作られた札付きゾンビって感じだな。アンは、死んで符呪師によって蘇させられて、そん時に記憶も失っちまったらしい。Unknownっていう名前は、符呪師から貰ったのを適当に使ってるだとか…体自体は一度死んでるから、一時的に生き返った今でも、関節が上手く曲がらねぇらしい。すげー不便そうだ。
……ここまでの説明で分かってる人もいるだろうが、ここはちょいと特殊な場だ。|俺《店主》も、店員も、お客も、9.9割が“人外”。お客の場合は、時々人間が来る。__んま、来たとしても怖がって逃げるんだけどな。__
人間は人外の倍以上の数がいる。多種多様な種族が生息していて、敵対している奴らもいれば俺らみたいに友好的な奴もいる。それなのに人外たちは、人間から*怪物* と呼ばれ、迫害される者が殆どだ。
ここは、そんなこんなで色々と訳アリな|人外《怪物》が住み込みで働いたり、副業にしていたりするおもしろ〜いカフェ!
森の少し奥でひっそり佇む人外たちの憩いの場。
そんなこのカフェの名は__
朧「さてと…あと、アイツが来たら“*怪物カフェ* ”、オープンさせますかぁ〜!」
--- **怪物カフェ** ---
---
---
[クレーマー]
---
side{第三者}
time{|PM《午後》12:46}
「なぁアンノウンちゃん、知ってたか?」
ガヤガヤと賑わう昼のカフェの中。今は絶賛、昼食ラッシュだ。客の数も増え、八十人近く入れるよう作られている店内は少々混み合っている。カウンターも窓際の席も、どの席もほぼ埋まっていて、従業員たちは忙しなく動き、額には多少の汗が滲んでいた。
そんな中、カウンターに座る一人の男性が、接客をしていたUnknownに向かって話しかける。男は、真昼間からテキーラを飲みにくる常連客の一人だ。今は、テキーラが半分ほど入ったコップを片手に持ち、もう片方にの手は紙タバコを挟んでいる。
この客はよくUnknownに絡むため、Unknownとはわりと仲がいい。特に問題を起こしているわけでもないため、神宮寺 朧もUnknownも、それを許している。
Unknown「?何がだい?」
「生姜って、英語で“ジンジャー”って言うんだぜ…スペルは…ぁー?なんだっけなあ…。
Unknownちゃんって、確かジンジャーエール好きだったよなあ…?」
しゃっくりをして、男はヘラリと笑いながらそう言った。言いたいことが終わったのか、男はコップに残ったテキーラを一気に飲み干す。
Unknown「へぇ、初めて知ったよ」
Unknownは、この前聞いた気がする、と記憶を探りながらそう返事をすると、接客の仕事へと戻って行った。
男はカウンターに顔だけ突っ伏してしゃっくりをする。
朧「飲み過ぎだぜ〜|高屋《たかや》さぁん。__ほれ水__」
カウンターで飲み物の準備をしていた神宮寺 朧が見かねて、男の名字を呼び肩を摩りながら水の入ったコップを差し出した。
「あ〜?ンだこれぇ、酒ぇ?」
ゴニョゴニョと呟きながら、男は水を飲み干す。酔いがひどいのか、男は飲んだ今でも水を酒だと誤認している。神宮寺 朧は、その様子を見て、ため息を吐いた。
朧「もー…」
「朧、注文を……って、また高屋さん酔ってるの?」
注文票を片手に、ふわふわとした狐の尻尾を揺らしながら近づいてくる人物の名は、|胡蝶蘭 銀葉《こちょうらん ぎんは》。この店の従業員の一人である。主に注文の受付や会計を担当しており、冷静に物事を判断し必要に応じて接客も行っている。
また、朧のシゴト仲間でもある。彼女はとても優秀な“情報屋”なのだ。その優れた情報網でありとあらゆる情報を入手し、朧やそれ以外の人間と交渉する。対価はもちろん金だ。
彼女は妖狐という種族だ。人間からは、“化け|狐《ギツネ》”などと言った呼ばれ方をしている。妖狐とは、分けられた階級によって強さの異なる他の種族とは違う少し特殊な種族だ。胡蝶蘭 銀葉の場合、千年以上生きた妖狐のため、天狐、もしくは空狐という階級に当たる。彼女が一体どちらの階級に属するのかは。本人しか分からない。
また、闇市等の裏社会では、妖狐に生える尻尾の毛を取り引きする場所もある。妖狐の毛には再生力を上げる力があり、神経が集まる尻尾には、特にその力が強い。高値の取引なんてざらだ。また、妖狐の耳は飾りとしてよく流通している。一時期、人間たちが妖狐や龍人の乱獲を行なっているため、数は減っていく一方だ。
銀葉「どうするの?高屋さん。今日は連れがいないんでしょ?」
胡蝶蘭 銀葉は、注文票を朧に渡し、カウンターに突っ伏す男を見下げた。時折り、指で男の頬を突いているが、男は全く反応しない。どうやら眠ってしまっているらしい。
朧「どうするっつたってなぁ。今みんな手ェ離せねぇし、しばらくは置いとくしかないだろ。__そのうち起きるだろうしな。__」
朧は、注文票を見ながら自身の首筋に手を当て、慣れたようにそう言う。そして、厨房へと消えて行ってしまった。胡蝶蘭 銀葉は、少し心配そうにしながらも、注文受付の作業へと戻る。
男は未だ夢の中。随分と楽しそうに笑っていた。
そんな、どこか平和ボケていた店内に、突然女の怒声が響き渡る。
その怒声は厨房にまで響き渡り、少し慌てた様子で厨房にいた神宮寺 朧と西春 桜花が顔をチラリと覗かせた。
「ちょっと、どういうこと!!!?」
どこかわざとらしく、耳に響く金切り声を上げているこの女性は、先日も問題を起こした迷惑客だ。
「私の料理、周りの客より量が少ないし、何より髪の毛が入ってるんだけどッ?!!!」
どこかで聞いたことのあるクレームを入れる女性は、厨房から顔を覗かせていた神宮寺 朧の存在に気がつくと、効果音が付きそうなほど苛立った様子でカウンターの方にやってくる。神宮寺 朧は、西春 桜花に背中を押されてしまい、嫌々出てきた。
「どういうことなのよ、コレッ」
バンッと音を出し、カウンターに料理の乗った皿を出す。よくあるクリームパスタだ。見たところ、量に問題はないように見える。
人によって感覚なんて違うんだから、そう言うクレームは勘弁してほしいなぁ、と思いながら、神宮寺 朧は女の顔を見る。彼の表情は、面倒臭さと苛立ちが混ざり、それを無理やり押し殺している何とも言えない表情だ。
「量も少ないし、ほら見てコレ…髪の毛が入ってたわ!!気持ち悪い…どうしてくれるの?!」
猿のように喚く女を、胡蝶蘭 銀葉・Unknown・西春 桜花・神宮寺 朧は軽蔑するかのような目で一瞬睨んでしまう。特に、クレーマー嫌いな西春 桜花は、今にも女に殴りかかってしまいそうだ。
朧「んぇーっと…量に関しては、皆様同じ量のパスタを計量し、それをそのまま調理してお出ししているため、少ないと言うはずはないと思われます…。
髪の毛の混入については」
「この髪の長さ、そこのキッチンにいる女のでしょ、間違い無いわよ!!!」
桜花「…はァ?」
女は神宮寺 朧の言葉を遮り、西春 桜花を指差した。
桜花「ちょ…待てよ。私の髪?ふざんけな、そんなわけないだろ」
「客に対しての態度悪いのね、この店ッ!!自分が悪いのに認めないなんて、失礼にも程があるんじゃ無いの?!」
桜花「アァ?!!」
二人の口調はドンドン荒々しくなっていき、内容はヒートアップしてゆく。その様子に見かねたUnknownと胡蝶蘭 銀葉は、慌てて仲裁に入った。
神宮寺 朧はと言うと、女が主張する髪を摘み、観察していた。
朧「…」
確かに長さは、髪ゴムを下ろした西春 桜花とほぼ一致する。しかし、よくよく見てみると、髪の色が違うでは無いか。西春 桜花は、深緑から黄色の若干のグラデーションになっているのに対し、女が言っていた髪は茶色一色。
神宮寺 朧は、チラリとクレームを入れた女の髪を見る。…茶色だ。長さも、女は西春 桜花の下ろした長さと合致する。つまり、コレは……。
朧「_お客様」
朧は、ニッコリ笑顔で女を呼んだ。
「何よ、謝る気になったかしら!!?」
女はキッと目尻を釣り上げ、神宮寺 朧へと怒鳴りつける。
朧「こちらの髪は、お客様の物でございます」
「…は?」
少し首を傾けさせて、目までニッコリと笑った笑みを、神宮寺 朧は女に向ける。しかし、額には青筋がいくつか浮かんでおり、本気で怒っていることは見て分かった。
その青筋を見た従業員の面々は、女に哀れみの視線を送ったり、ヒュっと息を飲んだりする。
「…なに?今度は言いがかり?
見っともないわね。自分たちのミスくらい認めなさいよ!!!!?店主がこんなんじゃ、このカフェも終わりねッ。
大体、私の髪だっていう証拠はどこにあるのよ!!?」
女は、神宮寺 朧の表情に一瞬戸惑ったが、すぐに表情を元に戻してさらに怒鳴りつけた。しかし、それに負けじと食いつく。
朧「それならば、お客様がうちの従業員の髪と主張する根拠、証拠はなんでしょうか?」
「何でも言ってるじゃない、長さよ!私、そんなに短くないもの」
桜花「だからって私になるのはおか」
朧「そうですかァ…ですが、お客様は少し高い位置に髪をお結びになられていますよねぇ。解いたら、うちの従業員と同等の長さなのではないでしょうか」
桜花「お、朧…?」
「なッ…?!貴方、私が言いがかりをつけてるとでも思っ」
朧「思っておりますよ。うちの従業員は、そう言った面には細心の注意を払ってくれるのでね。
ああそれと…この髪の毛の色、どう考えたって茶髪なんですよ」
神宮寺 朧はクスリと笑い声を上げながら、一歩、女に近づいた。表情は、影になってしまい見ることはできない。
「っ…それが、何だって言うの!!!!」
女は、一歩後ろに下がった。
朧「__今ここに出てるうちの従業員に、茶色の髪なんていねェんだよ」
女の手を強く掴み、カウンターに無理矢理引っ張った。女は痛みに顔を歪め、額に汗を浮かべている。
「いた…ッ!!!」
朧「俺に文句言うのは別に良いけど、客と従業員にはわざわざ文句言うんじゃねェ…コ_」
桜花「朧!!」
銀葉「朧」
その言葉を言いかけたその時、西春 桜花と胡蝶蘭 銀葉は彼の名を呼び止めた。
神宮寺 朧はその声にハッとなり、額に手を当て首を振りながら、女から手を離す。女は、強く握られほんのりと赤くなってしまった箇所を摩りながら、神宮寺 朧を睨んだ。
「…何すんのよ‥!!」
朧「…すみません。頭に血が上り、お客様に対して失礼なことをしてしまいました。お詫びいたします」
深々と礼をして、彼は非礼を女に詫びる。だが、神宮寺 朧の内心は、女への怒りと自分のプライドに傷をつけたことに対する暗い気持ちでいっぱいであった。
「ッ_!!!!」
しかし、女は彼のそんな態度が気に食わなかったのか、神宮寺 朧に向かって手を振りかざす。Unknownは、慌てて手を伸ばし止めようとした。
その時だ。
「__っ、ちょっと、離して!!!触らないでよ、気持ち悪いッ!!!」
女は、自分の手を止めるために掴んだ人物へ睨みを効かせた。その人物は、何も動じず女を睨む。酒が入っているのか、少々顔は赤い。
朧「__た、高屋さん…??!」
女の手を止めたのは、一席開けて隣のカウンター席に座り、眠りこけてきた常連の男だった。彼は女の怒鳴り声に目が覚めてしまい、かなりキレている。
男は女の手首をさらに強く握り、怒りを露わにした。
「うるせェよ、黙れガキが」
「ガ…ッ
何よ!?アンタだってそう大きく変わんないでしょうが、偉そうに…!!!」
「アァ?俺はもう100歳超えてんだよ。俺から見りゃ、テメェみたいな女、ただのガキだ阿保。
せっかく良い気分で酔って寝てたのによォ‥最悪の目覚めだぜ。__ったく__」
男はため息を吐きながら女から手を離すと、のそのそと歩き深くカウンター席に座った。
「……もういいわ。こんな店、二度と来ない…__ッ__」
ハッとして、女は他の客からの視線を思い出し、恥ずかしさと怒りで女の顔は真っ赤になった。席に置いてあったカバンを手に取り、財布から現金をカウンターに叩きつけると、ヒールの音を鳴らしなが足早に帰ってしまう。
朧「…あれ?ちょ、コレじゃ500円分多くな」
「そんなはした金、もう要らないわよッ!!!」
女はどこかで聞くようなセリフを吐き店を出て行ってしまった。朧は少々呆気に取られた顔をするが、しばらくすると、思わぬ収穫だ、とホクホク顔をする。
みな、各自の作業に戻った。西春 桜花は厨房へ、Unknownは接客や出来上がった食事を運ぶ仕事へ、胡蝶蘭 銀葉は注文の受付や会計の仕事へと。
何事もなかったかのように
普段と同じように
彼らは今日も、怪物カフェで小さな幸せを噛み締める。問題の起こった後だからこそ感じる幸せだってあるのだ。
このカフェに来た客、“不幸だ”などと、思うことは絶対にない__。
その一件から数時間経ち…『神宮寺 朧が、胡蝶蘭 銀葉に、|思わぬちょっとした収穫《500円》で何時間も嬉しそうに笑顔を浮かべるのを注意され、しょんぼりとしていた。』という話は、|明日《あす》の怪物カフェに来る客たちの間で、良い笑い話のネタとなるのだろう…。
[カロリー量]
7577kcal(文字)
[登場人物]
No.1 西春 桜花
https://tanpen.net/novel/340831db-ad36-4385-815b-361e93788b12/
十姉妹 ピピ#SECOND様ご提供
No.2 Unknown
https://tanpen.net/novel/aa9e8dc5-d8bc-4b60-a953-ad27ee0bde9a/
蝶蘭 萩様ご提供
No.3 胡蝶蘭 銀葉
https://tanpen.net/novel/5ed68c32-d772-4354-94fb-53a4cb6cf828/
ミニ海月@(低浮上)様ご提供
☆ご提供、ありがとうございます!!!
ご本人がこの小説を読んでくださっていることを願い、感謝を申し上げます。
[裏メニュー]
最初の注意事項に追加した文が、世界観維持のためにとんでもない文章になったのでここで改めて。
・“自主企画で”募集した従業員やお客さんの“設定”に、どこかを勝手に“追加/変更”などをするかもしれませんが、「どうしても」という場合を除き、出来る限りその件に関しての連絡はしないで下さい。
こちらもあまり変更等はせず、行う場合は元の“設定”から変わらないよう善処致します。
※“”で囲ってるところが変化したところ
が、伝えていことです。まぁ、参加者様の大半が小説を見てくれていない気が致しますが…(ヤメロ)
さて、今回は三人のキャラクターが出てきましたね!!桜花ちゃん、銀葉ちゃん、アンノウンちゃん…この三人は、お察しの通り自主企画に参加して下さった方の子です。とっても素敵ですよね。もう、名前がこう…美しい……(?)
桜花ちゃんは、自分の意思がハッキリした男っぽい女の子、銀葉ちゃんは冷静なおねぇさん、アンノウンちゃんは気怠さを隠さない年上さん(?)をイメージしてセリフを書いています。実際のところはちょっと違うんですが、イメージで一番描きやすいんですよね、コレ。
確か三人とも、前のシリーズ怪物カフェに出ているんですよね。特に桜花ちゃん。桜花ちゃん、書きやすくってとってもありがたい。そのせいで出番回数がおかしいことになってました()
今回はみんなおんなじくらいになるよう、頑張ります!!