公開中
黄金色の境界線
⚠️ちびまる子ちゃんたちの未来捏造。まるちゃんは夜の仕事してる(直接的な描写はない)。
あと私はちびまる子ちゃんあまり詳しくないので最初に謝っておきますがごめんなさい😢
2026/04/26 黄金色の境界線
久々に会ったまるちゃんは、当然だけれど小学生の時よリモずっと大人びていた。輪郭はシュッとしていたし、瞳は鋭くなってた。白い肌に真っ赤な口紅がよく映えていた。
「たまちゃん久しぶり。元気?」
彼女は騒がしい居酒屋の中では不自然なほどの、無邪気とは程遠い笑みで私に問うた。彼女が艶やかな黒の髪の毛を耳にかける動作を見つめてから、頷く。
「うん、元気…小学生ぶりだよね。」
「そうだね。小6の冬に、たまちゃんが引っ越してからだから。」
「そっか…。まるちゃんは今なにしてるの?」
「え?あたしはまあ…。」
彼女はすこし言い淀んでから色っぽく口角をあげ私に視線をさだめた。「普通だよ。」それ以上追求してはいけないことを察して私はそっかとだけ答えた。視線は自然と下に落ちていった。
10年以上ぶりに彼女に会えて嬉しいはずに、彼女の何もかもが変わってしまっていることに寂しさが沈澱していく。そのとき注文していたビールが届き、まるちゃんは早速それを口元に運んだ。彼女が飲みこむたびにその目立たない喉仏が上下していた。私も控えめにビールを飲むと、苦いような味が舌の上に広がって、やっぱりこれ苦手だな、と思う。
「たまちゃんはお酒苦手?」
ビールを卓上に置きながら彼女はわずかに首を傾げた。
「うん、好きではないかな。…まるちゃんは結構飲むの?」
「そうだね。特別好きなわけじゃないけど。」
好きじゃないのにどうして飲むんだろう……一瞬よぎった疑問はけれど訊けずに過ぎ去っていく。
それから私たちはぽつぽつ話をした。今の話はほとんどなくて、仲が良かった小学生の頃の思い出を語った。私が当時のクラスメイトのばかみたいな出来事を口にすると、彼女は「ああ、確かにそんなことあったね。」とやわらかく笑った。そこで初めて私は、彼女がまるちゃんであることを知ったような気がする。初めて、彼女の全てが変わったわけではないのだと思えた気がする。
「じゃあね、まるちゃん。」
そろそろ帰ろうかという時間になり、私たちはお会計を済ませて居酒屋を出た。ようやくまた仲良くなれそうだったのに、という未練のようなものを抱えながら彼女にそう言った。立っているまるちゃんを見ると、かなりすらりとしていて驚いた。身長は私より少し高いくらいなのに、細身なのだろうか、なんて考える。
「うん、たまちゃん、また。」
彼女は切れ長の目をゆるめ、真っ赤なくちびるを動かした。会った時よりもずっと自然体のように見えるけれど、隙はどうにも感じられなくて、出しかけていた言葉が喉に詰まってしまった。結局言葉が口から吐き出されることはなくて、下にさがっていくだけだった。
最後に私に手を振ってから踵を返し歩き出す彼女の背中に、数秒視線を奪われてしまった。
あのときとは違う体のラインと、それに沿ってできるシワ。歩くたびにそのスカートに彼女の足の輪郭が浮かび上がる。
ああ、変わってしまった。全部じゃなくても、確かに、あの時とは違うんだ。
私は丸メガネを押し上げて彼女とは反対方向に歩を進めた。
二次創作はじめてかいた。