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駄作
結末に納得いってません。
※殺し合いをしています。グロ注意です。バッドエンドです。
俺たちは悪事を働いた人間を見つけ、被害者の意向を聞き、そいつの悪事をばら撒いたり、殺したりしていた。
八人組で、最低でも常に二人以上の人数で行動するように心がけていた。
その日もいつものように殺しを行い、拠点に戻った。全員揃っていて、次の作戦を考えていた。
そんなとき、謎のガスが窓から投げ込まれ、気づいた時には見知らぬ部屋に二人組で閉じ込められていた。
ルール
・皆さんには殺し合いを行ってもらいます
・どちらかが死ぬまで外に出ることはできません。
・両方死んだ場合、片方のみ死ぬまで繰り返します。
・自害は許されません。
・話し合ってどちらが死ぬかを決めることは可能です。
・予選の制限時間は十分です。準決勝が二十分。決勝は無制限です。
・制限時間を過ぎた場合、ランダムで殺させていただきます。
・トーナメント形式で殺し合いを行ってもらいます。
【第一試合 紅哀採VS須藤栄都】
「殺し合い...だと?」
閉じ込められた部屋の放送から聞こえたルールと思わしき内容に思わず耳を疑う。
「殺し合いか。なるほど...。」
そんな私とは対照的に紅は冷静に分析している。
「適応が早くないか?」
ツッコミを入れつつも考える。しかし、ただで狭く、窓も扉も何もない一面真っ白な部屋に閉じ込められて、外に出る方法は一つしかないように思えた。
「...。殺すしかないのか?」
それしかないことは、わかりきっていた。だが、聞くことしかできなかった。
「...........。そうだな。」
紅は俯いたまま小さく呟き、そのままナイフを強く握った。彼はグループの中でも殺しを専門にしている。私を殺すことなど造作もないだろう。あまりにも相手に分がありすぎる。そうこう考えているうちに、紅はあろうことか自分の右腕にナイフを振りかぶった。
「やめろっ!!!!!」
思わず紅の左腕を強く叩く。反動でナイフが地面に落ちる。
「...。忘れたのか?俺の右腕は義手だ。切れるわけがない。」
「だとしてもだ。ナイフを欠けさせて、攻撃手段を無くそうとしたんだろ。」
私の言葉に紅は目を見開く。こういう時、彼の表情はとてもわかりやすい。普段はわかりにくいが。
「私は、お前に死んでほしくない。それはお前も同じだろ?」
優しく諭すように伝えると、彼は小さくうなづいた。こういうところはまだ高校生の面影が出ているように思える。だからこそ、彼に死んでほしくなかった。まだ、先が長い彼が死ぬことは許せなかった。
「わかった。ではこうしよう。」
そのまま、錠剤を取り出し噛み砕く。もしもの時のために作った毒薬。30分で死に至るものだ。服用した途端に口から血が溢れる。
「栄都さん‼︎‼︎‼︎」
紅の叫び声ですら遠くに聞こえる。我ながら最高傑作だと今になって感じる。
「なぁ......紅.......。」
声が掠れている。正直発声すらも辛い。だが、このままでは自害と見做される。それだけは避けなくてはいけなかった。紅が私を殺す一言を伝えればいい。
「この毒は........効果が長い...........。早く、楽にしてくれ.........。」
私の意図を察したのか紅は顔を歪める。その間にも内臓は燃えそうなほど熱く感じ、どんどんと息がしづらくなる。紅が先ほど落としたナイフを拾い振りかぶる。鈍い水音と共に痛みが体を襲うがそのうち、そんなことも考えられなくなった。
第一試合 勝者 紅哀採
【第二試合 哀川啓人VS早乙水湊】
「まじかよ...。」
思わず声が漏れる。俺が?啓人と?殺し合う...?無理無理無理無理。ある程度の対人術は知ってるけど、啓人ほど詳しくねぇし、実践経験も啓人の方が多い。
「水湊〜。殺し合えだって。どうする?」
一方の啓人は地面にあぐらを描き、頬杖をつきながら俺を見つめている。余裕綽々というか、感情が読めない。
「そりゃあ、死にたくもねぇし殺したくもねぇよ...。けど、向こうにランダムに殺されるくらいなら...。」
そのまま口を閉ざす。ランダムに決められて生き残ってしまった時、きっと俺は優柔不断な自分を殺したくなる。決めなければならない。あと十分で。
「じゃあ、俺が殺されよっか?」
笑顔を崩さず、自身を指差し見つめてくる。言ってることと表情のギャップが恐ろしかった。
「お前...。何言ってんのか分かってんのか⁉︎」
「分かってるよ。水湊は銃持ってるだろ?それで頭撃ち抜けば終わり。簡単じゃん。」
彼は自分の命を何とも思ってないのだろうか。そう思ってしまうほど、淡々と俺に近づき、拳銃を取り出してみせた。
「...。いや、無理だ。」
「ふ〜ん。じゃあどうするの?」
拳銃をクルクルと指で回している彼を見て、ふととある作戦を思いつく。うまくいくかはわからない。先に気づかれたら終わりだ。でも、これしか自分にかけられるものはなかった。
「なら、賭けだ。俺は今、壊れた拳銃と壊れてねぇ拳銃を持ってる。見た目じゃわかんねぇからお前が先に選べ。」
啓人の前にもう一個の拳銃を投げる。これでどちらも撃たれて殺されたらそれまでだ。二つを見て、俺が投げた方の拳銃を持ち上げる。
「じゃあ、こっちにするよ。さっきの拳銃は返すね。」
そのまま、俺から盗った拳銃を投げ返す。
「同時に一発。頭を狙って打て。で、生き残った方が勝ちだ。」
「分かったよ。合図をよろしく。」
そのまま、お互いの眉間に銃口を当てる。この距離なら外すはずはない。嫌な汗がほおを伝う。
「いくぞ、3、2、1。」
その合図とともに銃声が響いた。弾が出たのは啓人の拳銃だけだったようだ。そのまま視界がぐらりと揺れ、拳銃を持ったまま倒れ込む。俺の手から落ちた拳銃を啓人が拾いあげ、表情が歪む。
「なんで、引き金....引いてねぇの?」
唯一機能してる耳が啓人の嘆きを拾う。そのまま、膝をつく音も聞こえる。
騙したことは悪いと思っている。けど、俺はどうしても彼を生かしたかった。
第二試合 勝者 哀川啓人
【第三試合 白羽根杏翔VS錦莉刀】
放送が終わった瞬間に、私はそのまま錦さんの首に手をかけた。錦さんの苦しそうな声が聞こえて思わず目を閉じる。
「申し訳...ございません...。あなたに、罪悪感を感じてほしくないんです......。」
私を殺したことによって、錦さんが罪悪感を感じてしまうなら、殺してしまった方が彼のためになるのではないのだろうか。そう感じてしまった。でも、話を聞いてしまったらきっと、殺すことはできなくなる。だから、すぐに手をかけたのだ。
「はな....して.......。」
「無理です........。」
ここまでしてもまだ彼は抵抗しなかった。きっと彼は自分の運命を受け入れているのだ。だから抵抗しない。その様子ですら胸を締め付けた。だが、そんな彼でも生存本能には抗えないようだ。私の手を握る力が強くなる。しかしそれもだんだん力がなくなっていく。完全に力が抜けたのを見計らい手を離す。
「申し訳ございません....。本当に....。」
彼の首から手を離し、近くに座り込む。大切な親友をこの手で殺した。それだけで自責の念に苛まれるが自分が選んだ道だ。振り返り扉を探す。
「...。扉が、ない...?」
そう呟くと咳き込む声が聞こえて思わず振り返る。ゆっくりと錦さんが体を起こし、座り込む。
「まだ、話し合ってないでしょ...?」
そう、小さく笑う彼を見て目頭が熱くなる。彼は本当にどこまでも優しい。殺そうとした私に対して笑いかけている。その優しさが私の醜さを引き立てているようだった。
「私は......なんてことを........。」
「大丈夫だよ。杏翔くんがわけもなくこういうことする人じゃないことは知ってるから。」
彼はそのまま私に優しく近づき、目線を合わせるためかしゃがみ込む。
「まずはしっかり話し合お?」
そう言って手を差し伸べてくる。少し悩んで手を伸ばした時、無情にもブザーが鳴り響いた
『時間切れです。ランダムで殺させていただきます。』
ジャキっという音が聞こえ、後ろから発砲される。心臓を貫かれ、鮮血が舞う。
「杏翔くん‼︎‼︎」
錦さんが私に駆け寄る。口から血が出て、意識が朦朧としてくる。抱きかかえてくる彼を見ることもできないまま目を閉じる。
第三試合 勝者 錦莉刀
【第四試合】橘晴兎VS國守弓疾
「な、なんやて⁉︎殺し合い⁉︎⁉︎」
「殺し合い...と言ったな。」
冷静に反応する國守と対照的に俺はものすごくテンパっていた。そもそも、いきなり見知らぬ空間に連れて行かれたと思ったら殺し合えと言われて冷静でいられる方がおかしいのではあるが。
そもそも、殺しやさまざまなことをしていた自分たちにとって、殺し合えというのは驚く方がおかしいのか?と自問自答を繰り返す。もう何が何だかわからない。
そうこうしている間に國守がスラリと刀を抜く。彼の武器だった。
「これで俺を殺せ。お前の武器は遠距離用だろう?」
カランと音を立てて刀が地面に落ちる。彼が刀を投げるなんて滅多にあり得ないことだった。
「な、何言っとるんや‼︎殺せるわけないやろ‼︎‼︎」
「だが、殺さない限りここからは出られないだろう?」
隻眼の彼の瞳が俺を射抜く。けど、正直殺す殺さないなんて全然実感がわかなかった。視線から逃れるために床に落ちている刀を見つめる。
どうする?この刀を使って自分を刺すか?けど、自殺は禁止だ。なら、殺す?國守を?そんなことできるわけがない。思考がまとまらない。
だんだんと息が荒くなり、地面に膝をつく。それを見て國守は刀をしまい、膝をつく
「...すまない。混乱させたな。」
その言葉に安心して、だんだんと息が戻ってくる。だがもう時間も少ない。早く決めないとランダムで殺されてしまうのだ。何とか頭を働かせて考える。しかし、結論は一つしか出なかった。
「國守...。俺を殺すんや。もし、俺に殺せ言うならそのあと何度だってあと追ってやる‼︎」
まだ酸欠でふらつく足をなんとか立たせて胸に手を当てる。正直震えが止まらない。けど、彼を残して生き残ることは絶対にできなかった。それが考えた中ででた最善の策だった。
「何を...言っているんだ」
「俺は本気やで。さぁ、早く殺すんや...。」
俺の覚悟を理解したようで珍しく顔が歪む。國守も刀を持つ手が震えていた。しかし、鞘から引き抜き、地面と平行に刃を向ける。
「楽に、逝かせてやる」
そのまま胸に刃が刺さる。肺か、心臓か。そんなことはもうわからなかった。燃えるような痛みに國守に寄りかかるように倒れ込む。彼はそれを支えて刀を抜く。
彼が何かをつぶやいた気がしたが聞こえることはなく、そのままゆっくりと床に横たえられた。
第四試合 勝者 國守弓疾
予選 終了
【第五試合 紅哀採VS哀川啓人】
「あー、哀採が勝ち残った系?これ。」
片手に先ほどの拳銃を持ったまま哀採を見つめる。次の部屋にいたということは哀採が勝ち残ったのは紛れもない事実だろう。
「哀川...。お前の相手は誰だった?」
「ひどいね。これが見えていて聞くなんて...。」
わざとらしく拳銃を回して見せると分かりやすく顔を顰めた。俺とあいつの仲を案じているのかもしれない。だが、殺したことに変わりはないのだ。
「それより、そっちの相手も教えてよ。フェアじゃないだろ?」
「.........栄都さんだ。」
思いがけない言葉に思わず口を閉ざす。哀採と栄都さんは複雑な関係だ。殺し合いとなれど一筋縄では行かなかっただろう。抵抗した跡がないことと、返り血を見るに栄都さんが自ら殺されに行ったことになる。
「栄都さんが........。そうか。」
彼はメンバーの中でも一番理性的で、グループにとって欠かせない存在だった。そんな彼が自ら命を投げうったのだ。そうと決まればやることは一つのみ。
水湊の拳銃をそのまま哀採に向ける。
「それじゃあ、殺し合おうぜ?”殺し屋”さん。」
その言葉を聞き、彼は無言でナイフを構える。俺と彼が出会ったとき。その時はただの”殺し屋”と”何でも屋”だった。その時、俺もまた彼に目をつけられた”悪事を働くもの”だった。
「さぁ、初心に戻って殺り合おうぜ?」
その瞬間、発砲。こっちは遠距離、相手は近距離。こちらにだいぶ有利だ。だが、一つだけ懸念点があった。
「哀川。俺は、お前をずっと殺そうと思っていた。」
「うん。知ってる。」
ナイフが頬を掠める。血が滴るのがわかる。間一髪かわせたが、次はわからない。二発目。発砲。紅の右腕に直撃するが、改良を重ねた義手に軽い傷をつけただけだった。
「けど、救う対象でもあった。」
ナイフを振り下ろそうと覆い被さってくる。同時にこめかみに銃口を突きつける。
「...........。銃とナイフ。どっちが早いかな。」
動きが止まった彼を見て、小さく微笑む。彼はまだ、殺す気なんてない。まだ迷いがあるのだ。それがどうにも歪で、不思議と心地よかった。
「撃てよ.......。そのつもりだろ?」
「ああ。なら、お前もしっかり急所を刺せよ?」
俺の言葉を深く考えるまもなく、引き金に指をかける。向こうが再びナイフを振りかぶったと同時に引き金を引く。カチリという音だけが響き、弾は出てこなかった。そのまま喉元にナイフが刺さる。
口から血が噴き出る。声帯をやられたから声も出せない。息もできずに血を吐き出すことしかできない。ようやく現状を理解した哀採が銃を見る。
「.........。弾切れか..........。」
その声は冷たくて、けど確実にそれ以外の感情も渦巻いているかのような声だった。最後にあいつに何か言ってやりたかったが、声を発することもできず、ただ部屋から出ていく彼の足音を聞くことしかできなかった。
第五試合 勝者 紅哀採
【第六試合 錦莉刀VS國守弓疾】
正直、俺が勝ち進んでしまったのはただの運だと思う。だって、あの時俺は杏翔くんを殺すっていう選択肢を取ることができなかったし、殺されるという選択肢を取ることもできなかった。だから、杏翔くんが真っ先に動いてくれた時、正直とても安心した。自分で考えないまま全てが決まることに、安心してしまった。けど、実際には俺が生きて、時間切れになって杏翔くんが死んでしまった。後悔と罪悪感に苛まれながらも、向かいの敵に集中する。
「やっぱり、國守くんが勝ったんだね。」
「ああ。」
返事は短い。彼が刀に手を伸ばすが、手が震えていた。正直、いつも前線で戦ってくれていた彼がこうも戸惑っている様子を見るのは何だか不思議な気持ちになった。
「それにしても錦。まさかお前も勝ち進むとはな。」
「俺の場合は、決められなかっただけだから。」
懐に武器はあるものの、それを取り出すことはできず、彼と向き合う。俺は殺す覚悟も殺される勇気も持ち合わせていない。けど、彼は違う。殺す覚悟ができている。なら、自分が死んだ方がいいのではないか。そう感じていた。
「.......。なぜ武器を構えない。」
ただその場に佇む俺をみて、國守は不思議そうにこちらを見つめた。
「だって俺、みんなを、殺すことなんてできないから....。」
そして、武器を床に落とす。金属音がして、床に散らばる。それを目で追うこともなく、ただひたすらに彼をみていた。彼なら、殺せるのではないか。そんな気がしていた。
「お前も......。そう言うんだな..........。」
刀を抜く。その仕草が妙にゆっくりに感じられて、体がこわばる。だが、攻撃を仕掛けてくることもなく、刀を突きつけたままこちらを見ている。
「最後に聞く。お前の相手は、お前の手で殺したのか?」
どうしてそんなことを聞くのか、俺にはわからなかった。けど、きっと彼にとっては重要なことなんだろうと自分に言い聞かせた。
「ううん。ランダムで、殺されちゃった。」
「そうか.......。なら、この感情は知らない方がいい。」
「え?」
その言葉に疑問を問いかけるまもなく斬撃が俺の体を切り裂く。致命傷ではあるものの、まだ死には至らない。血を吐きながら、地面に膝をつく。痛い。熱い。苦しい。けど、それ以上にちらりと見えた國守くんの表情に胸が締め付けられた。
「すまない..........。今、楽にしてやる。」
そのまま再び刀を構えられる。死ぬことで解放されるだなんて考えることが来るとは思ってもいなかった。刀が体を貫く。そのまま、覚めぬ眠りについた。
第六試合 勝者 國守弓疾
準決勝終了
【最終試合 紅哀採VS國守弓疾】
部屋を出ると、そこにはすでに紅が立っていた。血濡れたナイフを持ちながら、何を考えているかもわからない表情で。しかし、俺が新たな部屋に入った音を聞いてこちらを見てきた。
「國守か。」
返事は返せなかった。彼の瞳を見た時、感情が完全に死んだような目に一瞬だけ恐怖を感じた。あれは、もう人を殺すことに躊躇いのない人間の顔だった。刀を握る手が無意識のうちに強くなる。
「お前は.......。俺を、殺せるのか?」
「ああ。」
短い返事。きっと、俺が殺してきた相手もこんな感情だったのではないか。そんなふうに感じていた。頭の中では、殺し合わなければならないと理解していても、もう楽になりたいという思いとこれ以上同じ思いを誰かにさせたくないという思いがひしめき合っていた。
「お前は、なんで人を殺すことに躊躇いがない。」
それも仲間を、と言いかけてやめた。側から見たら俺も、仲間を躊躇いなく殺した一人だ。もしかしたら、紅も躊躇いがあったのかもしれない。が、その表情はすでに死んでいて、感情が宿っていないように見えた。
「別に、いつかみんな殺そうと思っていただけだ。」
「.......は?」
自分でも冷たい声が漏れたのがよくわかる。みんな殺そうと思っていた?つまり、仲間だと思っていなかったということなのか?
「だから、何も感じてねぇ。それが今になっただけだからな。」
その言葉を聞いて、何かがぷつりと切れた気がした。そのまま勢いのまま刀を振るい、紅に切りかかる。仲間の死に、何も感じていない彼が恐ろしく、そしてどうしようもなく恨めしかった。
「あいつらの死を、侮辱するな!!!」
「侮辱してねぇ。」
ナイフで刀を弾かれる。戦闘能力はどうとか、対人スキルがどうとか、何も考えられなかった。頭にあるのは怒りと、言葉では言い表せない数々の感情が複雑に折り重なった何かだった。
フォームも何もない、乱雑で単調な攻撃が紅を攻める。気づけば頬が濡れていた。けど、攻撃を止めることはなかった。
刹那、腹部に強い痛みを感じて身を引く。紅の手には血濡れたナイフが握られており、自分が刺されたのだと理解する。
「罪悪感を感じると、人は脆くなる。」
一歩、また一歩と俺に近づいてくる。まだ動けるはずなのに、俺はそれを拒むことができなかった。首筋にナイフが当てられる。
「それがお前の敗因だ。國守」
「........そうか。」
告げられた言葉に、心が軽くなった気がした。あれだけ仲間を殺しておいて...。そんなことができるのは人間じゃないと。ずっと自分を責め続けていた。
「なぁ、紅。....俺は、人として死ねるのだろうか...」
「ああ。お前は人間だ。」
首から鮮血が舞う。確かに、俺は仲間を殺した。間違った行動をとったかもしれない。けど、それ以上に非道な俺を人として認めてくれたことが何よりも嬉しかった。感謝の言葉を発することもできぬまま、意識を失った。
仲間が待っている
優勝 紅哀採
【???】
全員を殺したあと、最後の部屋の扉が開いた。扉を抜けると長い廊下に繋がっていて、ひたすらそこを歩いた。はじめに須藤さんを殺した時、というか、須藤さんが毒薬を自ら飲んだ時、何かが壊れた気がした。哀川を殺した時にそれが明らかになった。と同時に何も感じなくなった。目の前で仲間が死んでいってる。自分の手で殺したはずなのに全てが宙に浮いたような、客観的にそれを見ているような感覚。チープなドラマを見させられてる感覚。國守と戦った時には罪悪感に囚われている彼が哀れにも見えてきた。感情なんて、なくなって仕舞えば楽なのに。
そんなことを考えていると光が見えてきた。出口だろうか。光に飲み込まれるようにそちらに向かって歩く。
そして、そこに着いた時、目の前には再び部屋があった。そこには、見覚えのある男が立っていた。
「黒井海斗...。」
「久しぶりだな。紅哀採。蜑オ菴懃・?によって生かされた気分はどうだ?」
誰かの名前を呼んだのだろうが、ノイズがかかって聞き取れない。まだ手元にあるナイフを彼に向け、切り掛かった。が、その瞬間、ナイフが折れる。
「..........は?」
「ゲームマスターに手を出すな。」
そこには鬼柳宵徒が立っていた。おかしい。本来なら彼はこのような残虐な行為は嫌うタイプの人間だ。それなのに主催者である黒井を庇うかのようにそこにいる。
「鬼柳はな、俺が洗脳したんだよ。ほら、俺一人じゃ自分の身を守るのが大変だろ?」
ヘラヘラと笑うこの男に強い殺意が芽生える。こいつは今ここで殺さなくてはいけない人間だ。しかし、彼を殺すためには鬼柳を倒す必要がある。正直、鬼柳に勝てる見込みは全くなかった。
「さて、本題だ。このゲームに勝ち残ったお前に二つの選択肢をやろう。
一つ目。お前もここで死ぬ
二つ目。全員生き返らせる。ただし、今まで関わった記憶全て無くして。」
つまり、ここで俺が死ぬか、記憶を無くしてみんなを生き返らせるか。記憶がなくなるということは、一緒に活動してたこと、過ごした日々。全てが白紙に戻る。俺以外。全員が。
「ふざけるな...!!!記憶をなくす?ここで死ぬ?何を言ってるんだ‼︎‼︎」
「死刑囚が妥当な奴らに選択肢を与えてるだけ感謝してくれよ。」
掴みかかりそうになるのを鬼柳に止められ、黒井に冷めた目を向けられる。
「それに、これはゲームだ。ハッピーエンドなんて、皆つまらないだろう?」
その言葉に我に返りあたりを見渡す。そこにはテレビでしか見たことないような政治家やどこかの会社の社長。芸能人などが座っていた。そう、俺たちは金持ちの娯楽として使われたということだ。
思わず地面に膝をつく。涙は流れなかったが、それ以上にこの不条理に対しての絶望が強かった。俺はまた、大切な人を失ったのか。そんな俺を嘲笑うかのように黒井は近づいて声高らかに宣言した
「さぁ。優秀な殺人鬼よ。選択を!!」
「俺は...........。」
【】
暗がりの路地裏。見つけた高校生三人を招き入れて殺す。
3対1だったがあっという間に決着はつき、二人は死んだ。
一人は恨むような眼で俺を見ていた。
「お前、なんで水湊を殺したんだよ!!!」
彼の叫びが路地裏に響く。が、人通りの少ない道。誰もそれに気づかない。
「なんで、**見ず知らずの人間**にあいつが...。」
その言葉を聞き、俺は最後の一人の首を掻っ切った。
あっという間に動かなくなり、倒れ込んだ三人を見おろして、その場を後にした。
俺は結局あの時七人を生き返らせることにした。
そして、記憶のなくなった彼らを今度こそ俺の手で全員殺して幸せにしようと決めたのだ。
そのまま血濡れたナイフを拭い、フードをかぶって俺は路地裏を後にした。
ご視聴ありがとうございました