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ここはどこだ
どこかのお話と繋がっているかもしれないし、繋がっていないかもしれない。
ここは何処だ。気付けば椅子に座っていた。
というか何か忘れているような。
「あっ、猫どこいった」
猫がいない。猫を追いかけて来たのか。
「オヤオヤ、オ呼ビデスカ?」
探していた猫は私の目の前にいた。お前、二足歩行だったのか
はぁ。私は疲れ過ぎているのかもしれない。知らない場所、猫は立ち上がって喋りだし、帰り方もわからない。完全に詰んでいる。
諦めた方が早そうだ。
「何モ 答エナイノカイ?」
「いや、すまない。知っている事でいい、ここは何処だ、教えてくれ。」
「此処は |アッチ《アノ世》ト |コッチ《コノ世》ノ 狭間。アーシハ ココノ 住人。 〈フーチェ〉トデモ 名乗ッテ オコウ。」
「フーチェか、よろしく。」
アッチとコッチって何だ?
もしかしてあの世とこの世か?そしたら私はもう死んでないか?
「安心ナサレ、貴方ハ、此処ノ|客人《ゲスト》トシテ招カレタ。《《マダ》》死ンデハ イナイゾ。此処デ少シ休ンデ帰エルイイ。紅茶ヲ淹レヨウ。」
この猫考えてる事分かるのか?
「そうか、ありがとう。」
平然を装っているが、流石にあり得なさすぎる。とりあえず、ありがたく紅茶を飲んで帰ろう。
テチテチと足音を立てながらフーチェは紅茶を淹れにいった。
私が《《まだ》》死んでいないというのはどういう事なのか。
そんなことを考えている間にフーチェはティーセットを持ってやってきた。
「今カラ紅茶ヲ淹レルガ、ミルクティー ノ方ガイイカイ?」
「いや、ストレートでいい。砂糖はいらない。」
フーチェは慣れた手付きで湯気のたつポットに茶葉を入れ、トポポと湯を注いでいる。どこから持って来たのか分からない懐中時計で蒸らす時間を計り始めた。
猫って紅茶淹れられたっけな。気にしたら終わりか。
「少々時間ガアルノデ聞キタイ事トカナンカナイカ?」
「ならば聞こう。此処は現実なのか?ちゃんと元の場所に帰れるのか?」
「正確ニハ此処ハ現実デハナイ。チャント元ノ場所ニ帰レルヨウニハシテアル。夢ダト思エバイイサ。」
フーチェは器用にポットを持ってティーカップに紅茶を注いだ。白いティーカップに鮮やかな紅い紅茶。まるで宝石のように輝いている。
「オ茶菓子ニクッキーヲドウゾ。」
どこからかクッキーの入った缶を取り出した。どこから持ってきているのか。謎だ。
「あ、ありがとう。」
クッキーを1枚つまみとって食べる。
「うまっ」
サクサクしていて、優しい甘さが広がる。
そして紅茶を一口。
「アツっ、けどおいしい。」
暖かさと華やかな香りが広がった。
「ソウカ、ヨカッタ。サッキノ質問ノ答エデモ答エヨウカ。」
そうして話を聞いた。
分かったことをまとめると
・此処はこの世とあの世の狭間である。
・|主《マスター》が認めないと訪れることができない。《《|主《マスター》って誰だ》》フーチェではないらしい。
・変な音楽と変な集団は|夜行《ぱれー ど》であること
・巻き込まれると存在ごと消され、存在が
なかったことにされること
つまり死ぬのである。
こわっ設定もりもりじゃん。
「どうしたらいいんだ?」
あれ?フーチェが何か言ってるけど聞き取れない。
「◎▼◤◼◌◁○◐…………」
目の前が白くなってきた。何か聞こえるような。
ピピピッピピピッピピピッ
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「んぇ?ここは?」
意識が覚醒する。見知った部屋の中、何か聞こえたと思ったら携帯のアラームの音だった。
「んー何か知らない所に居たような気がする……」なんだったっけ?
まぁいいか。朝の準備しないと。
後日、夢の中の出来事によってめんどくさいことに巻き込まれることになろうとは知るよしもなかった。
夢オチ………かもしれない。
いろいろと不確定なお話。