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記憶4
病室に戻った私は、しばらく病室の外に出ようとは思わなかった。
結局、なにも分からないし、なにも話されなかった。
ただ、あの床にあった血が印象に残っている。考えられるのは、「誰かが怪我をした」「手術用の道具についた血が垂れてきた」それか…。
でも、ただひとつだけ、はっきりと分かることがある。ここは、普通じゃない。
だけどあと何日入院するのかとかもわからない。もしかすると、ここから出ることができないのかもしれない。
もし本当にそうなら、ここから逃げないといけないということも考えておかなければならない。
廊下に出てから、看護師が定期的に病室の前まで来て様子を見に来ている。
もしかすると、この病院には見られたくない何かがあるのかもしれない。
これら全て、考えすぎだということを願いたい。
できることなら、この病院から早く離れたい。いろんなものが新しい割には、なんだか、不気味な気がする。
周りが少し暗く見えるのは、電気のせいだろうか。
それとも、太陽の光が入ってこないからなのだろうか、沢山ある木のせいで、太陽の光が入ってこない。
あれこれと考えているうちに、もう22時になっていた。看護師は、早く寝ろと言っているかのように、ベッドを綺麗に整え始めた。
考えていても仕方がない。私は布団の中に潜り込んだ。これが夢だったらよかったのに…。
いつの間に眠っていたのだろう。よっぽど疲れていたのだろうか、気がつくと朝になっていた。
朝になっていたというより、朝になった《《気がする》》の方が正しい。
太陽の光すら見えないなら、はっきりと今が朝だ、と言うのは難しい。
誰かが歩く音が聞こえた。音からして、2人いるらしい。
それから、この病室の近くで、歩くのをやめた。どうやらこの部屋に入ってくるらしい。
看護師が入ってきた。それから、1人の女の子。歳は10歳くらいだ、そう見える。キャラメル色のハーフアップになっている短い髪の毛ををふわふわと浮かばせながら、歩いてきた。
どうやら、この子もここに入院するそうだ。私以外にも病人がいたんだな。こんな山奥の病院に小さい女の子が来るなんて、。
聞いた話によるとこの子もやっぱり記憶喪失だそうだ。だけど、彼女は明るく、初対面の私にもなんの戸惑いもなく話しかけてくれた。
彼女と話していると、嫌なことも忘れられる気がした。これがコミュ力というものなのか、
その後、私たちは、いろいろと話した。
もうどこで区切れば良いかわかんない!!!
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