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夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする?第9話
莉好菜さんとのリレー小説9話です。
もうすぐ10話で終盤も近いから頑張るぞ
私は、生まれ持っての、いや、『生まれる前』からの殺人鬼なのだから____。
「私が消えればもう、この街が危険に晒されることはないわ…。でも、そのトリガーが分からない。私には未練なんてものはないし…」
「…ちょ、ちょっと待って。どうして一人で勝手に話を進めてるの、ゆうちゃん…!」
何かを諦めたように窓の外を眺めるゆうちゃんの目から、完全に生気が失われていた。
たった一人の少女の命と、たくさんの一人の命。それらを天秤にかければ、結果は一目瞭然である。しかし、久蘭々にはその選択が取れなかった。
「他に方法を探したの…!?まだ、方法があるかも知れないし…!」
「違うのよ、久蘭々…。これは私の「願い」。全ての人にとって生きることが救いとは限らないでしょう?」
うっ、と口をつぐむ。
「死ぬことが…存在が消えることが、その人にとっての救いだということもある…。たまたま、私が後者だっただけよ…。はぁ…。」
久蘭々はそこまで物分かりが悪いわけじゃない。でも…。それでも。私がこの子に、やってあげられることはーーーーー。
ゆうちゃんの白い髪の毛がふわっとなびいて、夜明けの朝日に照らされる。小さな少女をきゅっと抱きしめて、久蘭々は涙をこぼした。
「ごめんね。何もしてあげられなくて…。ゆうちゃんが自分が消えることを望むのも私、わかるから。それでも、抱きしめてあげなきゃいけない気がしたんだ…。」
ゆうちゃんは、黙ってそれを聞いていた。微かに、啜り泣く声が聞こえた。
「ゆうちゃんのこと、私絶対忘れないよ。この街の歴史もゆうちゃんのことも、全部全部忘れないから。」
その瞬間、ゆうちゃんの体がパキ、と割れ始めた。そして次第に、ゆうちゃんは姿を消していく。
そうだった。未練なんてないと思ってたけど、本当はあったんだ。それが私の本当の願いだったんだ。
誰でもいい、他の誰かにーーーーーー
ーーーー優しく抱きしめて欲しかったんだ。
ゆうちゃんはこっちをみて微かに微笑みながら、静かに消えていった。
もうすぐ終わります…………
あとは後日談ですね。