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何処かの世界の兎たち
…やぁ、また会ったね。
ボクかい?
ただの“忘却の果て”にいる──うん、なんだろうね。
でも、ボクはボクだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
にしても、随分と揺れていたね。
あぁ、もちろん地震とかじゃないよ?
ルイスじゃない──此処、本来の世界のボクの心でも云おうか。
実際に心と呼んでいいのかは分からないからね。
ボク達は、人じゃないから。
さて、例の世界とやらの復習でもしようか。
アリスが夢で見た可能世界では、どうやらこの世界との差があるみたいだ。
登場人物を、一度整理してみよう。
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**ルイス(可能世界)**
或ることがきっかけで“死の気配”を纏う者を容赦なく殺している。仲間の前ではケラケラと笑ったりするが、敵の前では一切の躊躇いなく武器を振り回している。最後に見せた涙は迷ヰ兎と変わらない、本来の彼なのだろう。
**アリス(可能世界)**
探偵社を訪れ、太宰の協力を必要とした。迷ヰ兎の記憶はないが、異能力で様々な世界線を知っているのでどうにかルイスを止めようとした。その結果が“本”による現実改変。考え方はどちらかと云うとルイス(迷ヰ兎)寄りで、戦いを出来るだけ避けたい。
**アーサー(可能世界)&エマ(可能世界)**
基本的には迷ヰ兎と変わらないが、戦争後にあまり狂ってはいない。或ることで変わってしまったルイスから離れることも、止めることも出来なかった。ただ許せないのも事実で共に戦う道を選ぶ。しかし、裏ではアリスの案に乗って早く“本”を手に入れる為に“異能開業許可証”を得ようとしていた。
**テニエル(可能世界)**
或る組織で奴隷のように扱われていたが、元英国軍組に拾われてからはアッシーとして使われることもなく好きに生きられている。
**ロリーナ(可能世界)**
“或ること”に深く関わっている人物。戦争で生き残ったが、この世界でも亡くなってしまった。相手は裏社会の人物であり、“死の気配”を纏っていた。
**帽子屋(可能世界ver)**
ルイス、アリス、ロリーナ、アーサー、エマ、テニエルで構成された謎多き組織。依頼達成率は驚異の100%。拠点をワンダーランドとし、テニエルが窓口として依頼を持ってきて全員で選定していた。ロリーナを失ってから、全て狂い始め──……?
**太宰(可能世界)**
自称“民の尊敬と探偵社の信頼を一身に浴する男”。ある日、特異点が起きて迷ヰ兎の記憶を手に入れた。昼間からマフィアが騒がしくしているのを見て、少し察してはいたがアリスが現れてから真面目に動くことにした。
**中也(可能世界)**
ちょっと原作と異能が違う。何かを通じての重力操作が可能だったり、他の世界と比べて感情によって異能が暴走しやすい(痣が浮かびやすい)。本人も気をつけているが、双黒と名を馳せていた時はすぐに太宰が殴って止めていた((
**乱歩(可能世界)**
どの世界でも宇宙一の名探偵。アリスの名刺の仕掛けにすぐに気づいたが、何を云わなかった。“異能開業許可証”を発行してもらいたいというアリスを見て、どうしても止めたい人(ルイス)がいるのを見抜いていながらも伝えなかったのは太宰を信用をしているから。
**紅葉(可能世界)**
五大幹部が一人で、“死の気配”が濃いからとルイスに目をつけられてしまった。直哉を登場させたかったのもあるが、天泣なりに彼女のことを深めてみたかった。実質主人公((
**アリス(迷ヰ兎)**
夢で良かったとは思ったものの、あのようになっていたかもしれないという不安で取り乱した。しかし、ガブのお陰で何か被害が出ることはなかった。
**ガブ(迷ヰ兎)**
最後までアリスが見た夢を悪夢と言い切った人物。自身が普通の人間じゃないのは充分判っていたが、見つめ直すきっかけになった。あの後ルイスに感謝を伝えられたが、しらを切った。
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さて、登場人物はこんなところかな。
色々と酷いねぇ。
設定とかストーリーとか、ぜーんぶが最悪だ。
どの世界でも|彼女《ロリーナ》が死ぬのは、そういう運命なのだろうか。
ルイスは、アリスはどれだけ傷つけば良いのだろう。
~~__`…天泣はどこまで傷つければ気が済むんだか`__~~
キミはそう思わないかい、#親愛なる読者#。
あの最悪な小説をよく読み進めてきたね。
“英国出身の迷ヰ犬”も、“英国出身の迷ヰ兎”も。
全て、巫山戯ている。
…あぁ、悪いね。
ボクの愚痴はこの辺にしようか。
次の物語は《《こう》》ならないといいね。
幸せだけ求めているわけではない。
ただ、ボクが此処にいるのだからルイスは少しでも報われるべきだ。
#親愛なる読者#がボクの発言が分からなくて当然。
いつか分かったとしても、共感は求めていない。
さて、次の物語の予告をしよう。
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英国軍の治療技術は素晴らしいものだ。
その中でも或る異能兵の治癒能力は──彼は、どんな怪我でも救ってくれる。
彼を見つけるのは簡単だ。
特徴的な赤い髪を見つければ良い。
高い位置で結んでいる赤髪に、マリーゴールドのような黄色い瞳。
その誰からも好かれる性格をしている“コナン・ドイル”は、その異能のせいで英国軍の本部から出られない。
本人も、それを受け入れて本部内という小さな箱庭で自由に生きていた。
──しかし、そんな彼が姿を消した。
疑われるルイス・キャロル。
英国に再来した殺人鬼。
過去と現在が交差した中、|コナン・ドイル《ジョン・H・ワトソン》は何を想うのだろうか。
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また会おう、#親愛なる読者#。