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第参章
「まずは…あの巫女のところへでも行こうかしら」
「どの巫女ですか?」
「|紅白《霊夢》か、|現人神《早苗》か」
「異変目的なら霊夢さんですし、情報収集なら早苗さん、って感じですかね」
妹紅の言われたとおり、まっすぐ歩く。確かに出口に着くことが出来た。何処か遠くを眺める妹紅の姿。
「妹紅さん、次はどこへ行ったらいいと思いますか?」
「さあ?慧音のところは子どもたちが…いや、そんなことないな。阿求にでも…小鈴…いや、忙しそう」
妹紅も見当がついていない様子で、「すみません」と礼をしてから妖夢はふたりのもとへ駆け寄る。
「どうします?」
「ね…」
すると、咲夜の右足からナイフが落ちた。咲夜は時を止めて、ナイフをさっと拾う。
「…あら?」
いつもなら、5秒ぐらい止められるはずだ。だが、少し短い。また止めてみると、3秒ほどしか効かない。
「どうしたのよ咲夜?」
「いえ…いつもなら、5秒時を止めれるの。でも、今日は3秒しか止められないわ」
「これも異変、ですかね?」
「でも…なんだか、|大事《おおごと》みたいね。冥界は何かあった?」
妖夢は幽々子らのことを思い出す。
「いえ、とくになにも」
「あとは…月、は、今日は関与していないと思うわ」
「本当に?」
「ええ」
いつもなら、何か胸騒ぎがする。だが、今日はしない。月が関与しているわけではなさそうだ、と永琳は推測する。
「となると…」
咲夜は思い出す。妖夢も、だ。
「地獄、とか?」
「さとりとかが怪しい、と?」
「いや…旧地獄のほうじゃないとは思います」
「誰だったかしら、あの鬼よね」
「残夢とか、のほうよ」
新地獄に行くには、妖怪の山の裏側に行かなければいけない。そこから中有の道、三途の川、彼岸と続く道を歩む。四季映姫・ヤマザナドゥと小野塚小町に、事情を説明して案内してもらえば突破は容易い。
「えぇ、またあの閻魔の説教を受けるの?私、嫌よ」
「あはは…」