公開中
虚珀の夜 #2
「虚珀(こはく)」中学2年。美術部で、透明感のある神秘的な絵を描く。
余命宣告されていて余命は「1年」
〈澄玲(すみれ)〉美術部の部長。3年生で、水彩画専門で暖かみのある絵を描く。
無口だが、思いやりのある素敵な先輩。
【きはだ】琥珀の同級生。バスケ部で、明るい性格。
たまにふざけすぎて女子にうざがられる。
『時生(とき)』ソフトテニス部。元気いっぱいで、きはだに突っ込みを入れる役
ショートボブで肌も白いためモテる。
《空羅(そら)》水泳部。爽やかで、男女共に人気。
しかし恋愛経験は0で、異性が怖い。
――――助けないと。
誰かは、また私の夢で呟いた。
「誰を?」
⦅空色を、助けないと。⦆
――――空色?
そう問いかける前に誰かはいつもどおり夜の背景に吸い込まれていった。
――――――――――――
「…」
いつもと変わらない通学路。周りに咲く木々がさらさらと音を立てている
吸い込まれてしまいそう。 毎日そんなことを考えながら通る。
《ね、こはくさん、だっけ?》
「ぇ、あ うん」
《私今日誰とも通学できそうになくてさー(笑)》
「一緒に、行く?」
《え!ありがとー!助かったぁ(笑)》
「ううん、気にしないで。」
――空羅side――
真っ黒なストレートの髪が、遠くからでも見える。
いや、正しく言えば「探している」だ。
《ね、こはくさん、だっけ?》
本当は名前だって知っている。
《私今日誰とも通学できそうになくてさー(笑)》
わざわざ「予定がある」と断ってきた。
そう、私は…
――――――虚珀が好きなのだ。
こんなこと、家族にもましてや友達になんて言えるわけがない。
だってこれは許されない恋だから。
私は、(僕は、)女だから。(女に生まれてきちゃったから。)
間違った人間だから。
こんな人生、いらない。
――ん?――さん?――空羅さん…?
「空羅さん…?」
《えっ、あ!ごめん(笑)夕飯のこと考えてたー》
「ふふっ、そうなんだ。」
あなたの、こはくさんの笑顔は僕には強すぎるみたいだよ、
ねぇ、、こはくさん
「空羅さんって何組?」
《え、あ、B組》
「隣のクラスだ、私C組」
《へ、へぇそうなんだ!》
知らないわけがない。
「一限目数学かぁ」
《あ、ワタシ地理だ》
「私が苦手な先生だ(苦笑)」
《そう、なんだワタシ¿も、だヨ》
あぁ、なんだろう、この感覚
「空羅、、さん?大丈夫?」
ぽろぽろ ぽろ
《へ、あ。》
ふいに、涙が出た。
――大丈夫だよ
聞こえた。こはくさんじゃなくて
透き通った、澄んだ声がした
あなたの好きな人は誰ですか?