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雨のち遊園地のち涙
新シリーズ開幕
なんとなく思い付いたお話です
「なんで今日は雨なんだよ……」
最悪の目覚めだ。
今日という日をずっと楽しみにしてきたのに…
今日は俺にとって特別な日……俺の…誕生日だから…
俺の誕生日、2月29日。今年はうるう年。
人生で4回目の誕生日。4年に1回の特別な日。
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「つぎの誕生日はなにがほしいの?」
「ん~遊園地!」
「遊園地ね。よし!ママが遊園地をプレゼントしたる!楽しみにしててね。」
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前の誕生日のとき、ママと遊園地の約束をした。
あれから、今日という日をずっと楽しみにしていた。
「あら、おはよう」
階段を降りると、ママの声がした
「…うん」
テキトーに返事して椅子に座る
「今日はあなたの誕生日よ。うかない顔してどうしたの?」
「……知るかよ」
本当は雨のせいだけど。それを言ったら笑われそうだし………
「ねえねえ、遊園地、さっそく見る?」
子供みたいな笑顔で近づいてくる
刹那、胸がドクンとなった気がした
「え……見るって…どこにあるの?」
「うふふ。じゃじゃーーん」
そう言って後ろに回していた手をこちらに差し出す。と同時に甘い香りがふわっと漂った。
ママの手にはケーキがのっていた
「ママ…これ遊園地?」
「ええ!遊園地よ!」
どーゆーこと?
「ほら。ケーキの上、よく見て♡」
いわれたままに見てみると、メリーゴーランドの形の飾りがちょこんと居座っていた。
「………これが…遊園地……?」
「そうよ。約束通り、遊園地のプレゼントよ」
「え……遊園地で遊べるんじゃないの……?」
「え?!遊びたかったの?!」
「あっそっか!この上で遊べと!」
「だめよ!そんなことしたらケーキがつぶれてしまうわ!」
くっ……悪あがきは無駄か……
どうやら食い違いがあったようだ
ママも……間違ってはないんだけど……流石天然
ああ…期待して損した……
思いもよらぬプレゼントに、行くあてもなく家を飛び出した。
今日が雨でよかった……
読んでくれてありがとうございます