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守るために戦え、若葉【如月羽音過去編】
羽音「うぅ…」
身体を震わせながら歩く山道
歩くたびに落ち葉の音がカサカサと鳴る
羽音「もう少し明るくできなかったのこの山道!!」
そんな文句を大声で言うと驚いたように鳥達が飛び立つ
羽音「大体、こんな真夜中に明かりのない山道を1人で進むとか、」
羽音「怖すぎて帰りたいよもう…」
文句をぶつぶつと言いながらしばらく歩くと、
山の中に一軒の家を見つけた
羽音「こんな山の中に家…?」
少し不安になり家に近づくと、
__「きゃああああああああ!!!!!」__
家の中から悲鳴が聞こえた
それと同時に窓が赤く染まった
羽音「…血の匂い、!!」
全速力で家に向かい、家の扉を思いっきり蹴飛ばした
羽音「うわああすみません!!壊すつもりはなかったんです!大丈夫ですか!?」
鬼「ああん?」
中に入ると一匹の鬼が少女と母親、父親を襲っていた
父親は何ヶ所か怪我をしていて、あの血は父親のものだったと確信する
鬼「鬼狩りか?弱そうな鬼狩りだなぁ…ったく」
少女「お、お姉ちゃん助けて!!」
鬼「うるせぇ!!」
そう叫ぶと鬼は近くにあった花瓶を割った
ガラスの音が響く
少女「きゃあ!!」
少女は涙を溢し、震えていた
鬼「助けなんか求めて何になる?」
鬼「お前ら人間なんて、生きてていいこと何にもねえんだからよぉ」
なぜか、強い怒りが腹の底から湧いてきた
羽音「…そんなことない」
鬼「ああ?」
羽音は刀を抜き、自身の前で構える
羽音「生きてていいことなんて沢山ある」
羽音「あなた達みたいな鬼なんかよりも、沢山!!」
鬼「だからなんだよw」
馬鹿にするような笑みを浮かべてこちらを見る
鬼「生きていても俺たち鬼に、人間は殺される運命なんだからよぉw」
羽音「そんな運命を壊すのが私たち鬼殺隊の役目なの!!」
羽音「この人たちの未来は、私が守る!!!」
鬼「やってみろよ、弱っちい鬼狩りがよぉ!!」
そう言うと鬼は手から針のようなものを出してきた
羽音「ぐっ!!」
斬ろうと思ったが、その針は変形し
懐に潜り込むようにして羽音を突き刺してきた
致命傷は避けたが、左の横腹を掠ってしまった
鬼「どうだよ俺の術はw」
鬼「針を自由自在に操れるのさ…お前もあいつらと一緒に串刺しにしてやる!!」
羽音「んな事、させるかよ…っ!」
羽音「葉の呼吸…」
刀を横向きにして構える
鬼「ふん、葉の呼吸がなんだ!」
そう言うと鬼は何百本もの針を羽音に向かって放った
羽音「弐の型!!」
刀を握り直し、大きく振り無数の針を斬る
羽音「|銀杏の黄海《いちょうのこうかい》…!!」
鬼「あの量の針を全部斬りやがった…」
鬼は舌打ちをして、消えた
羽音「消え…っ」
その瞬間、胸ぐらを掴まれ外に飛ばされた
羽音「なっ…!?」
鬼「俺が本気を出したらこうだぜ?」
鬼「全然反応できていなかったじゃないかw」
そう言っているが、反応はできている
できていなかったら、今頃背中を強打して動けなかった
咄嗟に受け身を取れて良かった…
少女「お姉ちゃん!」
駄目…こっちに来たら危ない!!
鬼「うるせえって何回言えば分かんだよ…!!」
羽音「逃げてっ!!」
少女「え、?」
言うのが遅かった
鬼はすでに私の元からいなくなっていて、
少女の首を後ろから絞めていた
少女「っが…ぁ、!?」
羽音「っ!?」
立ち上がり刀を構えて近づこうとしたが、
鬼「おーっと、動くなよ?」
鬼「動いた瞬間に、こいつの命はないと思え」
そう言われ足が止まってしまった
母親「須江!!」
羽音「動かないで!!」
母親と父親を大声で呼び止め考える
どうしたらあの子を…!!
脳裏にふと一つの考えが浮かんだ
だが、一歩踏み外せば少女に重傷を煩わせてしまう
それでも、、
私ならできる、
《《あの方》》に認められた剣士であり、
柱である如月風華の妹、
如月羽音だから。
**葉の呼吸**
羽音「すぅぅぅ…」
鬼(なんだこの音は…呼吸音?)
**陸の型**
葉の呼吸の中でも最速の技
あいつの速さなんかに負けるか、
シュンッ
鬼「消えた!?」
羽音「どこを見ているのですか?」
鬼「後ろ!?」
鬼が振り向いた瞬間には羽音は鬼の首に刀を当てていた
**|新緑開花・一閃《しんりょくかいか・いっせん》**
鬼の首を高速な2連で斬った羽音だった
少女「あ、、ぁ…」
父親「須江!!良かった無事で…!!」
羽音「はぁぁ怖かった!!あの鬼なんなのよ針なんか出してきてさ!!」
力を抜くと手や足がガクガクと震えていた
羽音「あ、大丈夫だった!?大声とか出しちゃってごめんね!!」
少女「ううん、ありがとう!お姉ちゃん!」
母親「本当にありがとうございます…!」
父親「ありがとうございます!!」
涙を流しながら感謝を述べる家族達に、
羽音は優しい笑みを浮かべた
羽音「…そうだ、これどうぞ!」
羽音は小さな袋から紫色のろうそくを取り出した
母親「…これは?」
羽音「藤の花を練り込んだろうそくです!鬼に襲われた方には毎回これをあげているんです!」
藤の花は鬼にとって弱点だからだ
父親「こんなのいただいていいのですか?」
父親「高いものなのでは…」
羽音「いえいえ!私が作っているものなので大丈夫です!」
そう言い残し、羽音は去っていった
彼女は今夜も人を守るため、鬼と戦ったのだった
羽音「なんか横腹痛いなって思ったら…」
羽音「そういえばあの時針に当たってたんだったあああああああああ!!!!!」
※ちなみに止血していなかったので、この後蝶屋敷へとお世話になりました
如月羽音過去編 完
次は由羅ちゃんですね!!
由羅ちゃんだけはちょっと特殊な過去編になっているかもしれないです!
おつなこ!!
あ、ちなみに羽音ちゃんは物語では今回のようにギャグキャラとして活躍します(?)