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タイムカプセル
僕、ハルと、親友のレンは、学校の裏手にある古びた神社の境内にいた。「よし、10年後の今日、またここで会おう。絶対に遅れるなよ」レンはそう言って、お菓子の空き缶で作ったタイムカプセルを木の根元に埋めた。中には、2人で撮った写真と、10年後の自分たちへ宛てた手紙が入っている。僕たちは、何をするにも一緒の親友だった。けれど卒業を機に、僕は地元の大学へ進み、レンは写真家になる夢を追いかけて東京へ行くことが決まっていた。離ればなれになる寂しさを紛らわせるように、僕たちは何度も拳を突き合わせて笑い合った。それから、激動の10年が流れた。僕は地元の企業でそれなりにうまくやっていたが、毎日のデスクワークに追われ、学生時代の熱い気持ちはすっかり薄れていた。一方のレンは、最初の数年こそ連絡を取り合っていたものの、彼がプロの写真家として忙しくなり始めた頃から、徐々に音信不通になっていた。そして迎えた、10年後の約束の日。僕はスーツ姿のまま、あの神社の境内に立っていた。時計の針は約束の午後5時を回っている。周りを見渡しても、誰もいない。「やっぱり、東京で有名になったレンは、こんな田舎の約束なんて忘れてるよな……」少し冷たい風が吹き抜け、寂しさが胸に広がる。諦めて帰ろうとしたその時、背後からザッ、ザッ、と落ち葉を踏みしめる激しい足音が聞こえた。「ハル! 待て、ハル!」振り返ると、息を切らし、大汗をかいた男が走ってくるところだった。大きなカメラバッグを背負い、服は少し汚れている。レンだった。「わりぃ! ギリギリまで東京で仕事が入っちゃってさ……新幹線が遅れて、駅からここまで全力で走ってきた!」レンは膝に手をつきながら、昔と変わらない屈託のない笑顔を浮かべた。「お前……本当に来たのか? 忘れてると思ってたよ」「忘れるわけないだろ。俺たちが、どんだけ固い約束したと思ってんだよ」レンは笑いながら僕の肩を小突いた。その瞬間、10年という時間の距離が一気に縮まり、僕たちはあの高校生の頃に戻ったような感覚に包まれた。2人で木の根元を掘り返すと、少し錆びついた缶が見つかった。中から出てきたのは、色あせた写真。そこには、制服姿で肩を組み、バカみたいにピースサインを掲げる僕たちの姿があった。「あの頃、俺たち何にでもなれるって思ってたよな」と僕が呟く。「今でもなれるさ」レンはカメラを構え、僕に向けた。「ハル、お前いい顔してる。今の仕事、大変だけど頑張ってるんだろ? 目を見ればわかるよ」レンの言葉に、胸の奥が熱くなった。離れていても、言葉を交わしていなくても、レンは僕の親友のまま、僕のことを一番に理解してくれていた。「よし、今の俺たちを撮るぞ。次は20年後だ!」夕日を浴びながら、レンのカメラのシャッター音が境内に響いた。僕たちの友情は、10年前のタイムカプセルの中にあったのではなく、ずっとそれぞれの心の中で、あの日と同じように輝き続けていた。
多分境内に物とか埋めたら怒られるのでそこは物語として読んでください!