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十字架
ひたすら歩いた。何を求めているのかも分からずに。
この世の中はどうなっているのだろう。神に救いを求めれば、
きっと救われる?そんなことが実際にあるのならば今私は
こんなことになどなっていないはずだ。何のために私は
歩き続けているのだろう。神を信じる者にただただ追われ
続ける。もう私に生きる道は無いのだろうか。しばらく
すると森が見えてきた。町に行っても見つかるだけだ。
そうして森に入っていくと、何者かに腕を掴まれた。
しかし私には逃げる余力もない。ただ私は立ち尽くした。
|煤《すす》で汚れた|牢《ろう》に入れられ、座り込む。
宇宙は美しい。何を信じれば私は救われるのだろうか。神か?
いや、違う。私は私と家族を信じるだけだ。私にもう、
生きる意味はない。これでいい、空はこんなにも
美しいのだから。朝日が昇った頃、そっと眼を開いた。
外に出て、目の前の十字架を眺めた。