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花いちもんめ 後編
勝って嬉しい花いちもんめ 負けて悔しい花いちもんめ
あの子が欲しい あの子じゃわからん
相談しましょ そうしましょ
「で、誰にする」
「うーん…凛奈、とかかしら」
へえ…。レイって、はっきり言うタイプなんだ。
「わかった」
向こうも決まったみたい。
きーまった
凛奈が欲しい レイが欲しい
「「じゃんけん、ぽん」」
あ、レイが勝った!
「やったね」
「良かったわ」
飄々としているレイ。その姿勢がかっこいい。
でも、花いちもんめは、残酷な遊びでもある。きーまった、と言って人を選ぶとき、なんとなく最後まで残ってしまうときがある。そういうときって、すごく悲しい。
そう思いつつ、花いちもんめを繰り返していった。
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「えー!?凛奈ちゃん、1人になったんですけどぉー」
「うわ…」
凛奈は、いつも駄々をこねる。小さい子供みたいに、不利になったらこうなるのだ。一人称とかもすごく、ぶりっ子に見える。
「はあ…。あ、みんな、先に帰ってて。それと、貴方」
「えっ?」
貴方、と言ったレイの指先は、わたしに向いていた。
「ごめんなさい。名前を聞いていなくて」
「あ…由香里です」
「由香里?ふふ、いい名前ね…他のみんなは、先に帰っててほしいの」
「えー?なんで」
「ちょっと、特別な事情があって。大丈夫。次からは、わたしなしでも楽しめるから」
凛奈とレイ以外、渋々先に帰ってしまった。
グッチーをしたら、レイ、凛奈とわたしにわかれた。
レイは歌い始めた。
勝って生きれる花いちもんめ 負けて死んじゃう花いちもんめ
あの子を生かす? あの子を殺す?
相談しましょ そうしましょ
あまりにも怖い替え歌。聞いたことがない。
まあ、レイしかいないんだけど。
きーまった
レイが欲しい 凛奈が欲しい
じゃんけん、ぽん!
「わー、凛奈ちゃん、負けちゃったぁ」
「そういうこと。貴方が死ぬことは、全て最初から決まってたわ」
「えっ?」
死ぬ?どうして。
「この子、いっつも迷惑かけてたでしょ。うんざりしていたでしょう?だから、消してあげるわけ。4人だし、偶数になるわ。歌詞を、よく思い出してね。じゃあね」
またたく間に、凛奈とレイは消えてしまった。
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「うぉ」
由香里が更新しているブログに、新たな書き込みがあった。タイトルは、『不思議な子と花いちもんめしたら、Rが消えた』。
|わたし《愛菜》は、びっくりした。その出来事にもびっくりしたけど、一番驚いたのはその感想欄。ここには、記事の感想を書き込むことができる。
「わたしは、あやとりをしていたら消えました」
「わたしも。お人形遊びをしてたら」
その、「わたしも消えた」コメントは、3件もあった。他にもかごめかごめとか、関連性が見えないやつばっかだ。
レイって___一体、何者なんだろう。