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花いちもんめ 前編
花いちもんめ、が最近わたしたちの中ではやっている。
|萌美《もえみ》、|瑠夏《るか》、|愛菜《あいな》、|凛奈《りんな》、|由香里《ゆかり》の仲良し5人グループ。
花いちもんめ。2つのグループにわかれて、誰を仲間にしたいか相談して指名する。指名された者同士でじゃんけんをして、負けた人は勝った方のグループの仲間になる。
でも、どうしても2対3になって不平等になってしまうのだ。これは致命的だ。他に誘おうも、着々とグループが出来上がっていて、今、「1人必要なんだけど」と言える状況ではとてもない。
下校中、また公園で集合の約束をした。はーあ、とため息をつきながら下校していると、
「花いちもんめ、楽しいわよね」
と女の子があらわれた。全然知らない子。引っ越してきたのだろうか。つやつやにおろした黒髪ロングと、白いブラウスに青いスカートは、上品でマナーがきちんとしている、優等生な女の子を思わせる。変に髪を結んでいないところとかが、王道というかんじがする。
それはそうと、なんで花いちもんめがブームを知っているのだろうか。あれって、だいぶ昔からあるタイプのやつだよね?見たかんじ、他に人はいないみたい。
「うん」
「でも、奇数人だとできないのが欠点よね」
「そうだよね」
「しかも、1人じゃできない」
「確かに」
1人じゃできない、のは当たり前だ。取り合うもなにもないのだ。
「わたしも、一緒にやっていいかしら?」
「もちろん」
時刻を伝え、「また後で」と言ってわかれた。
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あの女の子の名前を聞き逃した、と思い出したのは、公園へ向かう最中だった。
公園へ向かうと、凛奈以外の全員が揃っていた。
「ねえ、この子、誰?」
と、愛菜が強めに聞いた。
「この子…。名前はまだ聞いてないんだけど、一緒に花いちもんめをしてくれるんだって」
「本当?やったね」
「わたしはレイ。よろしく」
レイ。かっこいい名前だ。無駄がない、キリッとしたかんじの名前。
「ごっめ〜ん!遅くなっちゃったっ」
「もう、遅いよ、凛奈」
萌美がつっこむ。いつも凛奈は遅く来て、悪びれる様子もない。でも、ちゃんと髪型はセットしてあるのだ。
「始めよ!」
「わかったわ」
レイと、わたしと、愛菜のグループ。凛奈と、萌美と、瑠夏のグループ。グッチーで決めたし、何より3対3で不平等さが一切ない。
レイが、どこか不満げなかおをしている。まあ、気にすることないか。