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私のお兄ちゃんは【国宝級イケメンアイドル】!?
ここなっつ
プロローグ:我が家の日常は、画面の向こうと違いすぎる。
「キャーーーッ! 蓮くんこっち見てーーーっ!」「拓実ーーー!」
「柾哉くん今日もビジュアル最高ーーー!!」
テレビの画面から、鼓膜を突き破らんばかりの黄色い大歓声が響いている。
ステージの上で、一糸乱れぬ完璧なダンスと、カメラ目線の鋭いウィンクを決める男たち。今をときめく超人気グローバルボーイズグループ、JO1とINIだ。
「……はぁ。画面の中では、あんなにキラキラしてるんだけどなぁ……」
私は手元のスマホを消して、大きなため息をついた。
世間の女子たちが「結婚して!」「尊い!」と絶叫しているあの22人の国宝級イケメンアイドル。
実は、全員が私の「お兄ちゃん」である。
正確に言うと、親同士の再婚やら何やら(大人の事情)が重なりに重なった結果、私たちは今、信じられないほど巨大な一軒家で一緒に暮らしているのだ。
「おーい、ここな? テレビ消して何してんの?」
背後から、眠そうな声がした。
振り返ると、さっきまでテレビの中で国宝級の笑顔を振りまいていたはずのINIのセンター・木村柾哉が、髪を爆発させた寝癖だらけの姿で、首元がよれよれたスウェットを着て立っている。
「あ、柾哉にぃ。今、お兄ちゃんたちの歌番組観てた」
「えっ、観ててくれたの!? 恥ずかしいなぁ、でも嬉しい。……あ、そうだ。瑠姫くーーーん! ここなが俺たちの番組観ててくれたってーーー!」
柾哉にぃがリビングに向かって大声を出すと、ドタバタと地響きのような足音が廊下から迫ってきた。
「ちょっと待って、俺のウインクのところ観た!? ちゃんと格好良かった!?」
勢いよくドアを開けて入ってきたのは、JO1のプリンスこと白岩瑠姫。ただし、手にはなぜか食べかけの激辛スナック菓子の袋を持っている。王子様のイメージ崩壊である。
「観た観た。めっちゃキザだった」
「キザって言うな! 画面の前の全姫たちが気絶したやつなんだからね!?」
ふくれっ面をする瑠姫にぃの背後から、今度はエプロン姿の與那城奨と、寝癖を帽子で隠した西洸人がひょっこりと顔を出した。
「ほら瑠姫、ここなを困らせない。……ここな、学校の準備はできた? 今日は雨降るみたいだから、ちゃんと傘持ったか?」
「奨にぃ、過保護すぎ。ここな、もし荷物重かったら俺が学校まで送ってこうか?」
「洸人くん、それ絶対に学校の周りがパニックになるからダメ!!」
朝から22人分の視線と愛情(と、ちょっとのウザさ)が、一気に私に集中する。
世間の皆さん、騙されないでください。
画面の向こうの王子様たちは、家ではただの「超絶過保護なシスコンお兄ちゃん」なんです――!
(第1話 へ続く)