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第8話「情報収集」
【登場人物】
BTS:韓国の男性アイドルグループ
私:日本生まれ韓国在住の19歳大学生。
(家族構成)両親は中3の頃に離婚し、母とソウルで二人暮らし。
(身長・体重)身長164cm、体重✗kg
(推し)無し
(彼氏)無し
(夢)日本の小学校の先生になりたい。
(好きな色)紫
(趣味)料理、読書、掃除、散歩
(宝物)①両親と撮った最後の家族写真
②中学の頃好きだった男子からもらった腕時計。紫色。
(外見)眼鏡無し。黒髪で、ショートヘア(新垣結衣風)。大抵パーカーとジーン
ズとスニーカー。化粧無し、アクセサリー無し。
(性格)感情をあまり表に出さず、一人でじっくり考えることが多い。真面目 で頑固。滅多に泣かず一人で落ち込むことが多い。
*彼らが使う言葉は、表記は日本語ですが、実際は韓国語を使っています
「あっ!!」
「うわっ、もうびっくりした。あーテヒョンwwいきなり大声出すなよ。ヒョンびっくりして心臓が…」
「テヒョン、どうしたの?」
「…スマホがない」
「えっ」
皆ぽかんとした。私は急いでバッグの中を探った。
…ない。
「私もありません」
顔を上げてそう言うと、皆も次々に自分のリュックやポケットを漁りはじめた。
「あれ…おかしいな」
「さっきまでは確かにあったのに…」
「落としたのかな」
「いや、違う」
リーダーがゆっくりと首を振った。
「誰かが何かを仕掛けてるんだ。予めこの電車を乗っ取って、乗客を乗せず、僕らのスマホをどこかに隠して通報を防ぎ、電車を暴走させて…」
「砂漠に連れてくる?」
ジミンが言った。
「つまり、」
ジョングクが慌てて咳き込んだ。
「スマホが無いってことは、僕らは自分たちが今どこにいるかも、わからないってことじゃないですか」
「電車がどこに向かってるのかもわからないし…」
テヒョンが床を見つめて不安げに呟く。
「その上、誰にも連絡できないから…助けが、来ない…」
ジミンも途方に暮れて窓の外を見ている。
「だいじょーうぶ!」
突然ジンが大声で叫んだ。
「何をそんなに怖がってんだ。ヒョンがいるだろ?このワールドワイドハ…」
「まずはどうにかして電車を止めないとね」
ホソクがWWHを遮った。リーダーも顎に手を当ててじっと考えこんでいる。長男はしばらくその場に悲しそうに突っ立っていたが、やがて大人しく座った。
うん、えらい。
「電車を止めるって、どうするの?運転手さんもいないのに…」
ジミンが当惑する。
「うーん…」
どうしよう。私も一生懸命考える。
すると、ずっと黙っていたミンユンギが空中にぱっと手を上げて、叫んだ。
「すみません電車止めてください!!」
しーん…
ジンがユンギを見て呆れたように笑った。
「そんなんで止まるならとっくの昔にやっとるわ」
「もしかしたらと思って…」
「確かに、やらないよりマシですよ」
「ヒョンかわいいww」
六人は挑戦した次男を次々に愛でた。ユンギもまんざらではないようだった。
しかし、である。
「ねえ、なんか速度が落ちてない?」
テヒョンがぽつりと呟いた。
え、ほんと?と私達は一斉に窓に駆け寄る。
「あっほんとだ」
「止まろうとしてる」
ジョングクの隣で窓を見ていると、電車の下の方でものすごい砂埃が巻き上がっているのが見えた。
「あっ、見てあそこ。線路が…」
先頭にいたジミンが前方を指差した。電車のすぐ前で、線路の先が消えている。
電車は「キキ―ッッ!」という嫌な音をたてながらゆっくりと停車した。
私達は呆然とミン・ユンギを振り返った。
「おまえ…すごい」
「ユンギヒョンの必死の叫びが届いたんだね、きっと」
「ヒョンのおかげだ」
「ほんとにそうだよ」
「ヒョンすごい‥‥」
ジョングクは感嘆したように次男を見た。ユンギは「俺って天才」という顔で椅子に座っていた。
皆は口々にユンギを褒めながら、今度はドアから外に出ようと次々に走って行った。でも私は、しばらくそこにぽつんと立って、じっとしていた。
電車が止まったのは、すごい。とってもすごい。でもさ、よく考えると、こんな砂漠のど真ん中で停車したところで、嬉しいことは一つもないのだ。まずスマホはないし、水も食料もないし、建物もない。生きて帰れるかさえもわからないんだから。
「おっ、開きそう」
「ちょっと邪魔だよジミナ。どいてて」
ジンとホソクが顔を真赤にさせながら、砂で固まったドアを開こうとしてる。そこにジョングクが腕をまくりながら近づいた。
「ヒョン、僕にまかせてください」
「おっ、たのもしいねえ」
「筋肉モンスターが来たぞ」
「ジョングギ頑張れ」
ジョングクは、ぐぐぐ…と歯を食いしばりながら、渾身の力でドアを押している。両耳が真っ赤だ。それを見てみんな真似したり笑ったり。ジョングク本人も、押しながら笑ってる。ほんとに楽しそうだ。私はなんだか寂しくなった。
…教えてほしい。なんでそんなにはしゃげるの?なんでそんなに楽しそうなの?
ジョングクの恐るべき力で、ついにドアが開いた。明るい陽の光がこぼれてくる。
ジョングクはふーふー言いながら笑ってる。ジンとホソクが、ジョングクのまねをしながら笑ってる。ユンギとナムジュンはそんな彼らを見て笑ってる。ジミンはジョングクにいたずらしながら笑ってる。
よかったね、ドアが開いて。
ひとりあまり楽しめないでいると、こちらをじっと見ていたテヒョンと、ばっちり目が合った。私は、何?と不機嫌な顔をしてしまった。そしてすぐに後悔した。
ところが、テヒョンはにっこり笑った。
皆は、ジョングクが開いたドアから砂漠に飛び出していく。
テヒョンも私から目を離すと、黙ってドアの向こうに消えた。
「アーミ、おいでよ」
ジミンが立ちすくむ私を振り返った。優しく笑っている。私はなぜか、胸がはち切れそうになった。
「うん」
私はやっとうなずいて、急いでジミンの背中を追いかけた。
第八話「情報収集」、いかがでしたでしょうか?
あんまりbtsが魅力的すぎて、アーミーちゃん困ってます💦
寂しいんですね、きっと。
次回は、アーミーちゃんが沢山笑顔になりますように!頑張って書きますね😄
第九話は「Spring Day」です!!この題名、armyの方は思わず「ドキッ」とてしまったのでは…?😁
お楽しみに。