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隠れスパイは、そこにいる。#4
前回を見た方がわかりやすいとは思っているのですが…
そう伝えると、りなさんは「プロフィール」と書いてある薄っぺらいファイルを開いて「中鈴利亜」という紙を取り出し、「認定紙」というファイルから「依頼認定」という紙を出して、ハンコを押して、プロフィールの番号をじっくり見ながら「5121」を書き写して、「依頼認定」という紙に重ねて、「おめでとう」という言葉だけ残して、渡してくれた。
「あ、ありがとうございますっ…」
--- そういえば、中鈴さんにも、手紙出してもらわなきゃね… ---
りなさんが衝撃の言葉を言った。
--- え… ---
呆然としてしまった。
「は、はい、わかりました。」
そう返事をすると、またりなさんは引き出しを開けた。
黒い封筒と、蛍光ペン、金色のシール。そして、封筒の二分の一のサイズの銀色の封筒と、折り畳まれた黒い紙とホチキス、白い紙、ロックのボタン、キーボード。
これは…私が招待されていた時の黒い封筒の内容品だ。
そのあと、新しいメンバーのパスワードと名前が書かれたメモをもらって、
「ほら、もらった封筒と同じように書いてみな。」
それだけ言い残して、パソコンに目を向けて、関数的なものを打ち込んでいた。
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(どうすればいいの…)
私は心の中で苦戦していた。だけど、材料があれば簡単なことだと思い、
まずは黒い封筒に、筆記体で文字を書く。
筆記体の横文字は慣れていた。前のバイトでは、お菓子屋さんで、筆記体文字をチョコペンで書く練習の奮闘期があったから…。
慣れた手つきで、間違えたらいけないと言うプレッシャーを抱え、震えながら筆記体を描いてから、白い紙に取り掛かった。
「メモにはー、えっと…」
『2022//𝒮𝒽𝒾𝓏𝓊𝓀𝓊 𝒮𝒽𝒾𝓇𝒶𝓉ℴ𝓇𝒾』
白鳥しずくさん、っていうのか。
その下には、《《番号》》を書いた。
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銀色の封筒の中に取り掛かろう。
ロックボタンを取り付け、あの時の数字と記号のキーボード。記号がこの前は「*」しかなかったけど、「#」や「=」など、いろんなものが追加されていた。しずくさんの《《番号》》は、「376°」だった。なんだか、不思議…。
そういえば、番号を打ち終えると、手紙がキーボードの下からレシートのように出てきた。これは…あ。レシートの下に穴がある。ここに差し込むのか。まずは、紙…
「よくここまで辿り着きましたね。おめでとうございます。あなたは、スパイにふさわしい。さて、[ ]さん、『プラススパイアカデミア』ご入会を考えてほしいのです。直感のスカウトで、あなたの机の中にこっそり封筒を入れました。もし興味があったら、電話をかけてもらえると嬉しいです。」
[ ]と言うところに「白鳥しずく」という名前を書き込んで、下に電話番号を書いて…封筒を閉めて、ひとまず銀色の封筒は完成。
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名前の筆記体の白いかみを、黒い紙の上の部分だけ開いているところを開けて、そこに白い紙を入れて、全体にホッチキスをつける。これで黒い髪が完成、銀色の髪と一緒に黒い大きな封筒に入れて、最後に金色のシールで閉じる。完成…!
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次の日。
りなさんの方からあの声が聞こえてきた。
「現在この電話番号は悪戯や悪用を禁止しています。1の番号でいま受け付けているのは白鳥しずくさんだけです」
次回もお楽しみに〜