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自分のBL小説キャラにした人が実は腐男子でした!!8
いや..........この礼奈が酔う話ここまで伸ばすはずじゃなかったんだけどなぁ。
まぁ、結果的には持っていきたいところに持ってけたのでオールオッケー!!
では、お楽しみください。
~あらすじ~
酔って朝霧のマンションで介護されてたら謎の女性がいて朝霧の彼女と間違えられてる。以上。
今週のジツフダはっじまっるよ~!!(あらすじだけでもふざけ倒したい)
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とにかく、この女性が誰か確認してから誤解を解こう。そうしよう。
「あの、どちら様で?」
「あ、そうね。蓮がこんなかわいい子紹介しないから......。改めまして、蓮の姉でBL雑誌の編集長をしております|朝霧香代《あさぎりかよ》と申します」
ん?BL雑誌。聞き間違いかベーコンレタスサンドイッチ専門雑誌でもできたのかな?
それに、いつか聞いたことあるような気がする声と名前だ。
BL雑誌......何か引っかかる。
「あの、どうかされましたか?」
あ、香代さんが私の顔を覗き込んで心配している。
少し、考え事をしすぎたらしい。
「いえ、あの?何の雑誌の編集長をしているのかもう一度伺ってもいいでしょうか」
「えぇ、BL雑誌の編集長です。ボーイズラブ。」
あ、聞き間違いじゃなかったー。何、朝霧さんって兄弟そろって腐に染まってるの。
しかも、何当たり前ですよ、みたいな言い方。本当に兄弟なんだね!! 似てるよ!!
これは事実確認をする必要があるようだ。
「朝霧さん。少しお話が」
「どっちの朝霧ですか?」
すかさず香代さんが口をはさむ。
兄弟が揃うと苗字問題でめんどくさいことになるよね。
「蓮さんの方です」
「俺か?」
メンドクサイ。みたいな感じで返事をされる。
こっちが正直面倒くさいですよ。大問題ですよ。彼女と間違えられるなんて。
「香代さん少し失礼させていただきます」
朝霧さんの手を引いて少し離れた適当な部屋に入る。
「いやいやいやいや、何で否定しないんですか!?????」
意味が分からない。とてつもなく、IMIが、WAKARANAI。
仮にも朝霧さんイケメンじゃん。残念だけど。
自分でそんな認めるようなことしちゃ駄目よ。
いざとなったときに困るよ姉に見せたあの人は違いました。
自分は此方の人と結婚しますとかさぁ。困るよ!?
「......逆に否定する必要あるか?」
「what?」
否定する必要なんて私の中ではありまくりなんですが。
朝霧さん何を言っているのでしょう。
あんまりにも想定外な事おっしゃるから自分英語に全てを凝縮してしまいましたよ。
「俺は、家族に見合いに出るよう急かされてるんだよ。だけど、高槻が俺の彼女って体をしてくれたら見合いに出なくてもいい。否定するメリットより受け入れるメリットの方がでかい」
いや、私にとってのメリットは?
朝霧さん、今回ばかりは自分勝手ではないでしょうか.......。
「私にとってメリット無いですよね」
「デメリットも無いよな?」
ハイ、そうですね。ともならないんですよぉぉぉぉぉ。
いや、無いようなものだけど。ものだけども。何か、何かこうダメ!!
「そもそも俺達デートしてるし、高槻の家にも行ったし、家族とも面識あるし。付き合ってるようなものだろ」
....................そうですね!! そういえばそうでしたね!!
私達何かすごーいヤバイことしてることに今気づきましたよ。
「だとしてもですよ。だとしても、普通に遊びに行っただけじゃないですか。編集者と作家、上司と部下、それ以上でもそれ以下でも私の中では、無いんです」
朝霧さんが何故かいつもよりも無表情で感情が読めない。
いつもは、もう少し分かりやすいのに今は眉一つぴくりとも動かさない。
「高槻、俺の姉は確かにBL雑誌の編集長なんだがその雑誌に今度はなピヨ様が書き下ろしを出すそうだ。俺の条件を飲めばその書き下ろしもネームも見れる、しかもこれからの雑誌もボツになった企画もぜーんぶ見れる」
急に姉の事話し始めたと思ったら伝説のBL漫画家様の書き下ろしを見ることが出来るなんて.......クソ、酷い酷いぞ。ヲタクの特製を...........エリートのプレゼン力が憎い、とても憎い!!
「その、条件というのは......」
「俺の彼女という体で過ごす事。家族の前でそれをしてくれるだけでいい。外でそうするかは高槻に任せる」
それだけか......いや、それだけで十分問題だけど、でもはなピヨ様......はなピヨ様!!
でも、流石に長時間香代さん待たせても怪しまれるし、それにフリをするだけだったらいいか。
うん......私、今まで無理させたこともあったし......これは~そう、決して恋愛的な意味じゃない。
意味じゃないからね。大丈夫。ウン。大丈夫。
「分かりました。絶対見せてくださいね?」
「あぁ、嘘はつかない」
ドアを開けて先程のリビングに戻る。
「すみません。お酒が入ってたのとお姉さんがいるのを聞いていなかったので朝霧さんに聞いてました」
それっぽく取り繕っておく。これから、フリをするならこれぐらいフォローしておかないと。
というか、私に彼女のフリを頼むとかどんだけお見合い行きたくないの朝霧さん。
「はぁ、蓮は家族の事嫌ってる節があるから......というかお酒って事はもしかしてお楽しみの時間に押しかけちゃったかしら」
誤解に誤解が重なってく......どうやったら建て直せるんだろう。
小説だったらこのまま本当の関係になっちゃえば全部オッケーだけど現実なんだよなぁ。
「香代、あんまり高槻を困らせるな。取り敢えずこれで分かったろもう自分のホテル戻ってくれるか」
香代さんの言う通り嫌いなのか、苦手なのかさっきからイライラしてたけど今は余計声にも出ている。
「もー、しょうがないわね。本当にすみませんね。えと、高槻さん? 失礼しました」
香代さんは言ってる途中ながら朝霧さんに引っ張られて遠ざかっていく。
......今日の朝霧さん本当にどうしたんだろうな。
「高槻も今から送ってくから自分の家帰れるか?」
香代さんは外に既に追い出されたらしい。
私もそうだ。帰らないと。
「あ、ハイ。別に送らなくてもいいんですけど.....」
「もう、深夜だから送ったほうがいいだろ」
朝霧さんはそこら辺に置いてあったコートを掴んで家を出る準備をする。
正直、私もここがどこか分かってない辺り従ったほうがいいかもしれない。
鞄と、春先だから羽織って来た薄めのコートを手に持つ。
流石に春と言っても深夜は冷える。
ここまで遅くなるつもりじゃなかったからこのコートだけじゃ寒い。
朝霧さんが扉を閉めて鍵をしっかりとかけたのを見たらエレベーターが上がってくるのを待つ。
「そういえば、朝霧さん何でそんなにお見合い行きたくなかったんですか。良い人かもしれないのに」
夜の静けさに落ち着かなくて疑問をぶつけてみる。
面倒事に巻き込まれてあげるのだから少し位事情を知る余地はあると思う。
別に拒否されたらそれ以上聞きだすつもりもないし。
「お見合いって言っても行ったらほぼ強制なのは目に見えてる。相手はどっかの重鎮のお嬢様らしいし色々馬鹿騒ぎできる今の方が大切だと思ったからな。高槻の編集者もやめられないし」
こっちは相変わらず見ないで前を向いたままだけど答えてくれた。
いつにも増してぶっきらぼうだけど最後の方で何か思い出したのかふっと朝霧さんは笑った。
それが、少し嬉しくて私も笑ってしまう。
「何だよ」
「いや、やっと笑ったなって」
朝霧さん、笑った顔はいつもよりイケメンだからその顔を見せてくれるのが凄い嬉しいんだ。
ゲームのスチルを解放した時みたいな......。
「別に、いつも、高槻と一緒に居たら笑ってるだろ」
「確かに、そうですね。来戸さんとか面白いですもんね!」
そう考えると、朝霧さんがお見合いで結婚して、私達と一緒に居られなくなるのが嫌って気持ちも分かるな。
朝霧さんは来戸さんの事を思い出して嫌になったのかはぁ、ってわざとらしくため息をついてる。
来戸さんが可哀想だな。心の中で苦笑いする。
「今日、俺イライラしてただろ」
話が急に変わったけど、多分これって香代さんと一緒に居た時の事だろうな。
何かあったのかもしれないけど家族はやっぱり仲良くしてほしい。
「確かに、してましたけど。でも、来戸さんと一緒に居る時もそんな感じなので大丈夫ですよ」
ちょっと相手が違うだけでこんなにも周りの空気は違うのかと思うけど。
「それならよかった」
背伸びをして体の力を抜く朝霧さん。
多分、アサガオから朝霧さんの家までとか私の寝てる間の介護もしてただろうしそりゃ疲れたはずだ。
多分、この時間まで心配で起きてただろうし。
「ありがとうございました」
私は改めてお礼を言う。
「別に、酔った部下を介護するのは上司の仕事だろ」
面と向かって礼を言われて照れたのかそっぽを向かれる。
「あれ、私は彼女じゃないんですか~?」
少しからかってもみる。
「言ってほしかったのか?」
にやっと意地の悪い笑みを朝霧さんは向けてくる。
なんつーしっぺ返し!?
「いや、そんな訳じゃ、決して」
今度は私がしどろもどろになってそっぽを向く番だ。
「はぁ、いい年した大人が何をやってるんでしょうね」
正気に戻って呟く。
「別にいいだろ。今は誰もいないし」
確かに、楽しいしいっか。
「朝霧さんの彼女、いいかもしれない」
楽しいし。フリだし。私ももう少しでアラサーの仲間入りだけど親に何か言われそうにならなくなりそうだし。
「いや、高槻それ!?」
朝霧さんが珍しく驚いている。何があったんだろ。
「どうしました?」
「いや、俺の彼女いいかもしれないって言ったから」
「あ、いやフリですよ?フリ」
言葉に出てたか。危ない。変な誤解また重ねる所だった......
「まぁ、そうだよな」
朝霧さんはまたため息をついている。
「どうかしました?」
「いや、何でもない。大分歩いたけどもうそろそろだろ」
何か、凄い分かりやすく話題を変えられた気がする。まぁ、いっか、家には着いたし。
「じゃあ、また明日」
「ああ、また明日」
私は、朝霧さんと挨拶を交わして家の中に入って今日を終わらせた。