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もし平賀源内が令和にきたら…?
「……なんじゃあ、この眩い光の箱は!」
令和の秋葉原。
歩行者天国の真ん中で、奇妙な格好の男が叫んでいた。着物はボロボロ、髪はボサボサ。
「おい、そこのお主! 聞いておるのか!」
ナンパの待ち合わせをしていた大学生は、面倒臭そうにスマホから目を上げた。
「……え、僕? 何ですか、そのコスプレ。めちゃくちゃ気合い入ってますね」
「こすぷれ? 戯言を抜かすな! 拙者は平賀源内であるぞ! 」
「はは、平賀源内って、あのエレキテルの一発屋の? ウケる。おじさん、YouTubeの企画か何か?」
「ゆーちゅーぶ?その薄い板は何じゃ! 常に表面が怪しく光り、文字や絵が目まぐるしく動いておるではないか!」
「これ? スマホだけど。あ、スマートフォンね」
「すまーと・ふぉん……。もしや、これ自体が巨大なエレキテルの一種か!?」
「いや、電気で動いてるけど、エレキテルとは比べ物にならないっていうか……。これで世界中の人と連絡が取れるし、何でも調べられるんだよ。ほら、検索すればおじさんの教科書の顔も出てくる」
「な、何だと……!? 拙者の顔がその小さな箱の中に!? 」
「大げさだなぁ。今の時代、小学生でも持ってるよ。ほら、指でこうやってスクロールするの」
「動いた! 拙者の指の動きに合わせて絵が流れる! おお、おおお! これぞ究極の『風来山人』の戯作、いや、天界のからくりじゃ! 面白い、面白すぎるぞ!」
「ちょ、引っ張らないで! 壊れたら弁償だよ!」
「お主、これを作ったのはどこの天才じゃ!? 幕府の御用職人か!? 紀伊国屋か!?」
「いや、アメリカの会社だけど……。っていうか、みんな普通に使ってるから、誰も天才とか意識してないよ」
「何という事だ……。これほどの奇跡の道具を、当たり前のように懐に入れて歩いておるのか。おい、あっちの巨大な壁に映る動くおなごは何じゃ! 壁から音が出ておるぞ!」
「あれはただの街頭ビジョン。広告だよ」
「あっちの、車輪もないのに勝手に開く門は!?」
「自動ドアね。センサーが人を感知して開くの」
「せんさー! 人を感知するとな! 姿なき妖術師が中に潜んでおるとしか思えん!」
「潜んでないって。科学だよ、科学」
源内は、ぜえぜえと息を切らせながら、周囲のビルや行き交う人々を見回した。
その目は、驚愕からやがて、深い歓喜と嫉妬の混ざった複雑な色へと変わっていく。
「……素晴らしい。素晴らしいぞ、令和の世は! 拙者が夢にまで見た、いや、夢にすら見られなかった『からくり』が、街中に溢れ返っておる!」
「喜んでもらえて何よりだけど……。おじさん、これからどうするの? 警察行く?」
「警察? 奉行所など行くものか! 拙者にその『すまーと・ふぉん』を貸せ! 拙者なら、この仕組みを半日で解き明かし、さらに面白い『新・エレキテル』を作ってみせるぞ!」
「無理だって。現代の半導体技術、なめたらダメだよ」
「ハハハ! 拙者を誰だと思っておる! 天下の平賀源内ぞ! 面白きことなき世を面白くするのが、拙者の生業じゃ! 令和の職人どもよ、首を洗って待っておれ!」
源内は高笑いを残し、自動ドアの開閉に大興奮しながら、コンビニの光の中へと突き進んでいった。
「あ、ちょっと待って! それ自動ドアのセンサーに引っかかって遊んでるだけだから! 店員さんに怒られるって!」
咄嗟に思いついたものを書きましたww