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これが、愛なのかもしれない。
不破→『』
明那→「」
視点変更→---
場面転換→~~~
朝。
半分無意識に上半身を跳ね上げて起床する。
頭が痛い。倦怠感がある。
…また来てしまった。
|発情期《ヒート》だ。
俺は、「不破湊」というαと半強制的に結婚させられた。彼自体は決して悪い人ではないのだが、やはり無理に結婚させられたと言うこともあり、彼に好意を抱いたことはない。
一方彼は、「好きや。」と、地元の滲む口調で愛を伝えてきてくれる。その表情は変に朗らかで、柔らかい、優しい笑顔。でも、何処か心からの笑顔だとは言えない違和感を感じる。
職業はホストらしく、それにより手に入れた業務笑顔なのかもな、という結論をつけて今は自分を納得させている。
彼は俺のことをかなり理解してくれていて、お互いの両親を説得して、婚約はするが、番にはならない、という条件を付けてくれた為、まだ俺らは番ではない。
当時は有難いと思っていたその彼の配慮も、今考えると番になれば愛が芽吹くのでは、と思ってしまう俺はかなり醜いと思う。
番でない、そして互いに確かめ合えるような愛が無い為、俺はヒートが来ても彼には隠すようにしている。
そのせいで俺には一つ悪い癖がついた。
それが、抑制剤のOD。
俺は体質的に抑制剤が効きにくく、昔からODはよくしていたのだが、毎回、毎日という訳ではなかった。
だが、彼は少しのフェロモンでもヒートに気づいてしまうのだ。
決してそれは悪いことでは無い。
ただ、彼が本能的に興奮してしまうのが。
俺のせいで性に踊らされてしまう彼を見るのが。
胸に強く響き、辛かったから。
ただ、それだけのことなのだ。
そんな自分のこれまでを振り返っても、ヒートの辛さは変わらない。
どうやら、今回はとびきりのようだ。
身体が無意識に縮こまり、胎児のように膝を抱える。
ーやだ、見られたくない。
そう、唐突に思った。
「…抑制剤…のまなきゃ…」
おぼつかない足取りでベッドから離れ、棚の中の抑制剤を探す。たしか、ここに…
「え」
たしかに抑制剤はそこにあった。
ただし、錠剤の数は2つ。
一回3錠のこの薬は、ただでさえ効きにくい俺の体には勿論2つじゃ効きやしない。
でも、既に体調は普段のピークと同程度に酷く、これから買いに行く気力はない。
多分これからも出ることはない。
「…どうしよ」
きっと俺は可笑しくなっていたのだ。
ヒートの体調不良と、偶然の錠剤不足に。
気付けば、彼の部屋の扉の前に立っていた。
コンコンコン、と扉をノックする。
ノックなしで入ってもいいが、流石に気が引けるのでしておく。一応彼には『いらないよ』なんて言われているが、俺的にはこれが最低限のマナーだと思っている。
扉越しに、『どーぞー』と気怠げな声で聞こえてきたので、お言葉に甘えて扉を開け、一歩部屋に入る。
そこで感じた。
ツンとする匂い、心の奥底までを鷲掴みにするような誘惑的な匂い。
これが何かを理解する前に、俺の視界はぐにゃりと歪み、意識を失っていた。
『な……ぁ……ろ…!』
声が、聞こえる…?
『なぁ…ぁき……ろ!!』
何を言っているのかは分からないけど、
なんか、すごい落ち着く声…
『なぁ…!あきな!!おきろ!!』
俺を、呼んでる?
起きなきゃ、行かなきゃ。
---
『なぁ!明那!!起きろ!!』
俺の部屋に具合の悪そうな表情と共にやってきた俺の妻は、俺の部屋に入った途端パタリと倒れ意識を失ってしまった。
俺のベッドに運び、原因探しの為一応熱も測る。
38.5。普通に熱。なんなら高熱の類ではないか。
やはり、俺は彼に信用されていないのだなと感じる。いや、今日は俺の元まで来てくれたから、一応…?
『頑張ったな、明那』
そう言い彼の頭を撫でると、少し身を捩らせる。
その姿が異様に可愛く見えて、自分でも少し驚いてしまった。普段から彼には普通の男性にはない可愛さを持っていることは理解している。
ただ、今日は特にそれが分かりやすく感じた。
その瞬間、部屋が甘い匂いで満たされる。
なんだ、原因は分かり易かったじゃないか。
今の匂いから察するに、彼は今ヒート。
辛かったのかなんなのかは分からないが、俺を頼ってくれたのだ。
それが嬉しくてたまらなくて、一度彼に口付けしかけてしまった。
彼は俺のことをよく思っていない。
好意はきっとゼロだろう。
だからこそ、今回のヒートで少しでも彼に好きだと思ってもらえるようにしなければ。
だが、Ωのフェロモンを、好きな人のフェロモンを間近で全身に浴びた今の俺では、そんな格好つけた様な行動、言動は取ることができないだろう。
『なぁ、あきな、おきろ』
俺が今しなければならないことはただひとつ。
普段全く俺を頼らない彼が、何故ここに来たのか。
それを問い詰め、叶えてあげることだ。
何度も何度も彼に声をかけていると、パチ、と彼が目を開けた。
嗚呼、なんと可愛いのだろうか。
フェロモンに見事に蹂躙されている俺の思考に、思わず笑みが溢れてしまう。
あいにく、そんなことをしている暇はない。
『大丈夫?』
と声をかけると、
「ぅん…」
とか細い声が返ってくる。
本当ならば今すぐにでも彼を抱きしめて、なんならソウイウことだってしたいくらいだが、そんなことしたら彼がより俺を信用できなくなるので今はしない。いつかする。そう心に誓い、もう一度明那に向き直る。
『ヒート、辛いやろ、ほんとに大丈夫か?』
「だいじょーぶじゃないよ…」
涙目でこちらに訴えかけるその姿は、座高も相まって完全に上目遣いになっている。かわいい。
『ん、何して欲しい』
別に、何も。と言われてもいい。
とにかく、彼がどうしたいからここにきたのかを遠回しに聞こうとしているだけで。
「ょくせいざい…かってきて…」
予想を遥かに超えた彼の願いは、抑制剤の購入、であった。なくなってしまったのだろうか。でも、このままじゃ買いに行けないから、と思い俺のところまで来てくれたのだろうか。そういうところも本当に健気で可愛い。
『分かった。辛かったな、よく頑張ったな』
そう言い、手を差し出し彼を撫でようとすると、彼はほぼ脊髄反射で俺の手を払った。そして
「ぁ、ごめんなさい!!悪いことしません!!良い子にします!!ゅるしてくださぃ…」
と言いそのままの流れで土下座をした。
正直、何が起こったのか理解できなかった。
丸々3分ほどの時間を要して、やっと思い出す。
本人曰く、彼はバツ1で、そちらも半強制的な結婚だった。だが、相手がDV気質で、普段からよく罵られたり叩かれたりなどしていたと言う。
その流れで片腕を骨折したこともあるとかいうことも言っていた。
それに耐えきれず、時間をかけて親を説得しなんとか離婚することが出来た。
と過去に発言していたことがある。
俺らがまだ結婚していない頃、2回目のお見合いで彼はそう言った。その後、
でも、特に後遺症とか、精神病とかに罹ったりした、というのはないんです。なので、気にならないとは思いますが、一応言っておきます。
と付け足した。
全然これは後遺症の類だと俺は思うのだが。
そんなことは今はいい。とにかく今は彼のメンタルケアをしなければ。やってしまった、と言う罪悪感とヒートの辛さとで、彼の負担は今最高潮に達しているはずだ。
それを少しでも改善してあげなければ。
『大丈夫、明那。俺は大丈夫やで。
俺も、何も言わずに手を伸ばしちゃってごめんな。
もう一回、撫でてみてもええ?』
そう聞くと、
「いいよ…おねがい…」
と、控えめに返ってくる。
許可を得ることが出来たので、改めて彼と向かい合い、手を伸ばす。
今度は拒否されずに受け入れられた。
そのまま彼の頭を撫でると、彼は心底幸せそうな表情に変わる。それがまた可愛くて、その流れで彼を抱きしめてしまう。
「ぇ」
という彼の困惑の声を聞いた瞬間正気に戻り、手を離すと、なんで…?、とでも言うかの様な表情に変わった。その表情の変化に疑問を抱きつつ、改めて外出用意をしようとベッドを立つと、彼から衝撃の言葉が発せられた。
「いかないで」
いかないで。そう言った彼からは、より強く甘いフェロモンが感じられた。
要するに、彼は俺に発情しているのだ。
ヒートだから発情するのは至極当たり前なのだが、俺らはまだ番ってはいないので、彼が発情するのは好意を抱いている相手の筈。
と、言うことは、彼は俺に好意を抱いてくれたということになる。そんなの、応えるしかなくて。
『明那、好きや。』
そう伝えると、普段は茶化されるか、話題を変えられて終わるのだが、今日は。
「おれもすき。みなとさん、すきだよ」
そう返ってくる。それと同時に、また彼の身体から甘い匂いが放出される。
フェロモンは、発情すればするほど甘く、多く出てくる単純な仕組みだ。
噂によると、相思相愛の番が行為をすると無限かと言うくらい常に大量の極甘フェロモンが放出され続けるらしい。
そんなことを考えていたその瞬間。
彼の事を抱きたい。
彼と番になりたい。
一生を添い遂げたい。
そう思った。
これが、フェロモンのせいなのか、本心なのか。
今の俺には、分かりやしないのは確かだ。
---
今、俺は彼のことが好きで好きでたまらない。
大好き。湊さん大好き。愛してる。
湊さんにだったら抱かれてもいいし、
湊さんとだったら番にだってなりたい。
湊さんの隣に居たい。
そう思ってしまうのは、
やはりヒートの所為なのだろうか。
ヒートでないときも、
これだけ彼に好きと思えたら。
その時は、どれだけ幸せなのだろうか。
でも、一つ言えるのは。
心から、彼と幸せになりたい。そう思ったことだ。
フェロモンが止まらない。体が明らかに熱を帯びてきた。先程までより、はるかに。
それと同時に、自然と口に出してしまった。
「抱いて。」
正直、引かれると思った。
好き、なんて言ってくれるが、本当は好意など持っていないのではないかと思い込んでいた。
だが、彼のその言葉は本当だったのだ。
刹那、俺の視界は湊さんから離れぬまま、背景に映る景色が変わった。
壁から、天井へ。
ベッドに座っていたのに、気づけばベッドに寝転んでいた。
そう、俺は今湊さんに押し倒されたのだ。
なんで、ではない。そりゃそうだ。
俺が抱いてと言ったのだから。
彼は俺のことを気持ち悪いと思わないだろうか。
フェロモンに流されているだけで、本当は拒んでいるのではないか。
今、俺は願いを叶えてもらって幸せなはずなのに。
どんどんと思考がネガティブになっていく。
湊さん、本当にいいの?
そう言いたいが、俺の口は動いてくれない。
自身と格闘している俺を気にしないまま、不破さんは口を開けた。
『なあ、明那。はじめて?』
ここで彼の言う“はじめて”はきっと行為についてのことなのだろう。
ここで嘘をつく意味も特にないので、正直に。
「うん、湊さんが初めて。」
『それじゃあ、ダメなこととかある?』
ダメなこと…要するに、“地雷”というやつのことなのだろうか。
俺的には、特に地雷はないのだが。
それはあくまで見る時の話。
ヤるとなると、大丈夫か否かは変わってくるだろう。そういう意味での発言なのだろう。
「わかんない」
そう、正直に答える。
『本当に無理ってなったら、俺のこと“不破”って呼んで。まぁ、明那も不破やけどさw』
頭に浮かんだのは、Dom/Subユニバースの“safeword”。あれはSubの体に生まれつき染み付いてみる仕組みらしいので、少し違うところはあるが、同じ様なものと思っていいだろう。きっと。
「わかった」
『んじゃ、明那。ヤろっか。』
「うん…//」
やばい、俺今絶対顔赤い。
気付かぬうちに脱がされていた服が横に投げ捨てられるのが見える。
改めて、俺は湊さんに向き合った。
---
『なぁ、明那は俺にどうして欲しい?』
「へ、なに、どういうこと…?」
俺の質問に理解出来ていないらしく、こてん、と頭を傾げる明那。
それが随分と可愛くて、キスをする。
『チュッ…ん…ぅ…』
「ッへ、んむっ…んっ…」
舌で唇にトントン、と何度かノックすると、「しょうがないな」とでも言うかの様にゆっくりと口が開く。
…これは…いいよね?
『クチュ…レロッ…チュパッ…』
「ゃんッ…ぁ…ぅ…んッ…」
キスだけでこんなに喘ぐのは、ヒートのせいなのか、それとも明那自身の感度が高いのか。
出来れば後者だと、俺的には嬉しいが。
そんなことを考えながら明那とキスを続けていたら、胸板をトントン、と叩かれた。
明那の「もう無理」というサインだろう。
それにしてもかわいすぎる。
そうして口を離すと、耳まで真っ赤に染まった顔で涎を垂らし、どろどろの目で俺のことを一点に見つめる明那が居た。
刹那、ぶわりとフェロモンの匂いが鼻腔をくすぐった。
『明那、顔真っ赤♡』
「へぇあ!?ち、違うし…//」
どう考えても違わない。かわいすぎる。
眼福でしかないよ、こんなの。
『フェロモンもいい匂いだよ♡
すっごい興奮する♡』
「…ッは、ふぅ…やめ、て…//」
口では「やめて」と言う癖に、どんどんフェロモンが溢れ出してゆく明那。
今、明那は俺に発情してるんだ。
そう思うと、興奮してやまない。
まぁいいだろう、今日は普段と違いこの興奮を受け止めてくれる子が居るのだ。
新妻という特別な存在で、
俺が番になりたい大好きな人。
そんな彼に向けて、『これからお前を抱く』という心を込めてフェロモンを出す。
αのフェロモンはΩに強く効き、主によりΩを興奮させる効果、Ωの意識を弱くさせる効果がある。
俺は、前者である興奮させる効果が強く、なぜだかわからないが後者はほぼない。
だからこそ、意識は確実にあるのに、なぜか興奮してしまうという素敵な現象を引き起こすことが出来るのだ。
さ、俺のフェロモンを受けた明那の調子はどうかな。と、彼の方を見てみると…
「すきぃ…♡はゃく、はやく挿れて…♡」
なんだ、この天国は。
俺が世界一愛している素敵な妻に、「はやく挿れて」なんて言われたらもう今すぐにでも挿れるしかなくて。
はじめてだって言ってたから、穴解さなきゃいけないんだけど。
でも、今の俺にはそんなことはできない。
呑気に解していられるほど、一旦ステイ出来るほど、彼のことをどうとも思っていないわけではない。その逆である。
『ごめん、明那、我慢できない』
そう言い、解されてないハジメテの状態の穴目掛けてずぷ、と俺のモノを差し込む。
「ぃ゛た゛ッ⁉︎」
かくかく、と体に突如走った痛みを逃す様に腰元から震える明那。
「い゛た゛ぃ゛ッ!!む゛り゛ッ!!」
『ごめん、ごめんな明那、無理やったらなんて言うんやっけ?』
「ぁ゛!?ぅあ゛!!ぃ゛た゛ッ♡」
『痛がってかわえ〜』
「ぃ゛た゛い゛ッ♡抜い゛てッ♡」
言われた通り中からモノを抜くと、腰を下ろして深呼吸をする明那。
「先に解かしてからにして…♡
俺はじめてなのに、初っ端からこんな激しくするとかありえない…♡」
『ごめんな、じゃあ煽るのやめような♡』
「無理♡すきだよみなとしゃんッ♡」
『はいはい、指、挿れるで?』
「きてぇ…♡はぁく♡」
煽るな、これ以上されると今夜本当に止まれなくなる。
『煽っちゃって…♡生意気やね♡』
つぷん、と指が入る。
さっき俺のモノを入れたからか、緩く感じる。本当に初めてなのか、と疑ってしまうくらいに。
「みなとさ、♡すき♡めっちゃすき♡」
『俺も好きやで♡』
ぐちゅぐちゅと穴を解かし、くぱぁ…と穴の中でピースをする。
「ぉ゛ッ♡」
随分といい声でるな…そう思った。
実際、明那の感度が高すぎる。
指を動かす度に出る可愛らしい喘ぎ声は俺のアソコを大きく、反り立たせるだけで。
『はぁ…明那、明那♡』
流石の俺にも一瞬だけ挿れていて、尚且つ煽られ、喘ぎ、フェロモンを無限に放出する明那が前にいる状態で大人しくどろどろになるまで解かせなんて言うのは無理なお願いだ。ごめん、明那♡
『これから本番だぞ』と言うように激しく指を動かし、抜く。
俺は見逃さなかった。抜いた瞬間、明那が足りない…なんで抜くの…?とでも言うかの様に上目遣い、涙目で熱い視線を送ってきたのだ。
そんな彼の期待に応えるように、ずぷん♡と勢いよく挿入する。
大丈夫かな、痛くないかな。と心配していたが、そんな心配は消し飛ぶ様な現象が起きてしまった。
「ぁ、来たぁ♡ん゛ッ♡ぉお゛ぉ゛ッ~~~」
びゅるる、と明那のアソコから液が射出される。
『ちょ、明那、挿れただけでイったん?』
要するに、“ところてん”ってやつやな♡よくイけたな、偉いぞ♡なんて言ってやろうと思っていたら
「い、うな♡ぁ♡きもち♡」
なんて答えにならない言葉が返ってきた。
俺からの質問に答えている間にも、自分から腰を振り、快楽を求めに行く明那。
そんな明那を目にしたら、もう。
『今夜、眠らせないから♡』
~~~
「ぉ゛ッ♡んやぁん♡みなとさ、♡きもち♡おかしくなりゅ♡ぁう、イくッ♡んぁあ゛~~~♡ぁ、まだイってる♡まっれ♡しゅき♡すきすきすきすき♡みにゃ♡とぉ♡ぉ゛♡いくいく♡んぁッ~~♡きもちぃ♡おくきもち♡もっとついてぇ♡ごちゅごちゅしてぇ♡きもち♡ぁ、いく♡いくいくいくッ♡ぁ、♡ん♡おほッ♡あいしてりゅ♡」
なにこれ。ほんとに昨日まで俺のこと断固拒否してたあの妻なのか。
俺のピストン一回一回に過剰なくらい反応し、喘ぐ。そして、感度が高すぎるので、少しの間で何回もイく。
『はぁ…かわい♡』
思わず愛を溢すと、
「かわぃく♡ないっ♡ぁ♡いく♡~~~♡」
と、可愛いを否定しながらまたイく。
そんなところが可愛いのだ、と奥に何回もピストンしてわからせる。
『何回もイっちゃって、ほんまにかわええな、明那は♡』
「だから、♡かわいくない♡ぁ、♡いく、いっちゃ♡ぉ゛ひゃッ~~~♡」
締め付け的に明らかに明那は今イった。
だが、彼のソレから精子は出ていない。
…要するに。
『なぁ、明那、中でイった?』
「ッは!?違う、し♡」
そう言いながら、中イキの残りでかくかくと軽く痙攣する明那。
『じゃ、まだまだいけるね♡』
明那のメスさを明那自身に受け止めて欲しくて、沢山奥を突く。
ごちゅ、ごちゅん、と激しい水音が鳴る。
突かれる度に身を震わせ、イく明那。
…そろそろ可愛いって認めてくれないかな
『なぁ、明那』
「ん、なぁに♡」
明那の蕩けた瞳から熱を帯びた視線が、俺に注がれる。
それと同時に、今までの比にならないくらい強いフェロモンが鼻を掠める。
『…期待してんの?』
そう聞くと
「ぅん♡しちゃらめ?♡」
と言われる。あ〜エロい。本当にそういうところなのだ、明那は。
『もっと気持ち良くなりたい?』
…分かりきった質問。絶対彼はYESと言うに決まってる。
でも、揶揄いたくて。
明那の口から「気持ち良くなりたい」が聞きたくて。
つい、言ってしまった。
「うん…♡きもちよくなりたい♡
もっとおくどちゅどちゅして♡
おれのこともっときもちよくして♡」
返ってきたのは、俺の予想に反して何十倍もエロい回答で。
あれだけツンだった、俺に冷めていた彼に、「気持ちよくして」なんて言われたら、それはもはやもう“止まるな”のサインではないのか。結腸までは少なくとも行くとして、それより先。
トんでも、止めない心持ちでいこう。
俺は、始める時に言ったのだ。
『今夜、眠らせないから』と。
この決意はまだ変わらない。
俺らの夜はまだまだ終わらない。
明那が可愛いを自覚するまで。
明那が今の自分を受け止め切れるまで。
明那が心から俺を愛してくれるまで。
俺は、止まらないだろう。
そんなことを考えながら、必死に絶頂を耐える(全て虚しく終わるが)明那を目に焼き付けておく。
これでしばらくはオカズには困らなさそうだ。よかった。まあ、出来れば欲は全て明那にぶつけたいが、そんなことをしたら明那の体が死んでしまう。それは避けたいので、あまり無理はさせないつもりでいる。
え、今はって?
明那の吐くほど甘いフェロモンのせいで歯止めが効かないんだよ、許してくれ。
「ぁへッ♡ひ゛ぅッ♡あ゛へッ~♡」
『ぁ〜…かわええ♡明那、こっち向いて♡ピースして♡』
「ッんぇ♡ぉ゛ッ♡アヘッ♡」
カシャ
『ありがと、かわええね♡』
「かわいく、なッ♡」
何度イっても、何度腰を振っても。
アヘ顔ダブルピースをハメ撮りされても自分は可愛くないと信じてやめない明那。
もはや、分かってるけど理解したくないのではないかと思い始めた。
じゃあ、理解らせるしかないんだね♡
明那の体に、全部教え込んであげるよ♡
ぐぽっ♡と、人体から鳴ってはいけない音が鳴った。
「ぁ゛〜♡イってるぅ゛♡ずっとイってる♡きもち♡きもちーの♡とまんな♡おほッ♡あ゛ッ♡みにゃ、♡とぉ♡すきすき♡だいすき♡ぁ♡ぁんっ♡ひく゛ッ♡ぃく♡いくいくいくいく♡おほっ♡ぁ♡いくッ♡とまッ゛♡て♡イってる♡きもちい♡から♡とめて♡ぉ゛♡むぃ゛ッ♡ッは、♡すき♡」
『…エロ』
「えろく♡にゃ♡ぁ♡いく♡でる♡びゅるびゅるするッ♡ぁッ~~~♡ぁれ♡でな♡ッひ♡いってる♡でにゃい♡せーしいってるのにでないッ♡ぁもっかいいく♡」
体に頭が追いつけなくなるほどの快楽に襲われて、逃げることもできなくて、ただ俺からの愛を一身に受け止め続ける明那。
何度も何度も何度もイって、メスイキが体に染み付いてしまった明那。
エロい、可愛いと言う言葉を全力で拒否し続ける明那。
はじめてなのに異常なまでの激しい行為を頑張って受け入れ、それでもなお好き、と愛を伝えてくれる明那。
大量の甘いフェロモンを出して、俺を興奮させてくる明那。
俺は、健気で可愛く、エロい明那の虜になっていた。
---
ぐぽっ♡と俺の穴から音が鳴った。
流石の俺でもわかる。結腸とかいうところに入った音。
あまりに気持ち良くて、頭がふわふわしてきた。
危機感を感じたときにはもう遅い。
声が抑えられない。
とにかく気持ち良い。
湊さん、好き。
愛してる。
声も、感情も、フェロモンも、何一つ制御が効かない。
『…エロ』
ほら、彼にエロいとまで言われてしまったではないか。
俺がエロいんじゃない。あなたがエロくしたのだ。そう言いたいが、口からは喘ぐ音しか出なくて。
なんて思っていたら、また快楽がやってくる。もう何度目かわからないほどたくさんイった。外でも、中でも。
Ωではあるけど一応俺は男だから、中イキは認めない。俺だって中でイってるのは分かっている。ただ、流石に男の俺が中でイって痙攣しているだなんて認めたくない。
「イく♡」と言い射精しようと腰を上げると、やってきた快楽はお腹に向かい、きゅんと腹が締まる。
…また中でイってしまった。
でもこっちの方が気持ち良いし、締め付ければ締め付けるほど湊の表情に余裕がなくなってくるのが好きなので良い。
ぁ、またイく…
結腸ってこんなに気持ち良いんだ、と思っていたが、改めて考えてみれば湊のテクニックがすごいからなのかもしれない。
どんなところでも、ずっと俺の気持ち良いところを見つけてそこを中心に攻めてくる。逆にあまり気持ち良くないところも見つけて、焦らしてくる。
その二つの匙加減が上手過ぎて、永遠に喘ぎ続けてしまう。
普段シコる時とは比べ物にならないペースでイき、しかも萎えない。
湊のトンデモテクニックに、俺は魅了されていた。
---
『明那、俺もイく♡』
何度もメスイキし、ぎゅうぎゅうに穴を締めてくる明那。
ここ30分ほど吐精感と必死に戦い続けたが、もう限界だ。流石に。
「なか、だして♡」
と言い、大量のフェロモンを出す。
…はぁ。
明那は本当に煽り上手なΩちゃんなことで。妻が本当に明那で良かった。
だが、今の明那はヒート。
このまま中に出して仕舞えば、子供が出来てしまう。
それは避けたいので、なんとか彼を説得しなければ。
「すきッ♡だしてだして♡おなかさみし♡きゅんきゅんしてやまないの♡すきだよ♡ねぇ、だしてよ♡」
そう言ってめちゃくちゃに中を締めてくる明那。やばい、抜けない
『だめだよ、明那…ッ、赤ちゃんできちゃう』
明那&吐精感&締め付けVS俺(VSダークライ)という構図。
だがこちらは勝たなければいけないのだ。
「あかちゃ♡つくろ、?」
こてん、と頭を傾げ、「逆になんでダメなの?」とでも言うかのようにする。
これはヤバい。俺ダメになるかも。
『いや、でも、』
「おれはみなととのあかちゃんつくりたい♡いっしょにそだてようよ♡ひーとなんてさんかげつにいっかいしかないし♡
おやだって、きっとこづくりしろってうるさくなるよ♡」
『3ヶ月に一回ならまだ大丈夫やん。もっと、シラフの2人でしっかり考えよう。そんな簡単に決めて良いことちゃうで。分かってくれるか?』
そう聞くと
「わかんにゃい♡」
と言い、だいしゅきホールドしてくる。
本当に、彼は俺との子供が欲しいみたいだ。
よくよく考えれば、Ωのヒートは発情期。
αと子供を作るための体の機能なのだ。
だからこそ、ヒートに侵されている今の明那は“俺との子供を作りたい”という思考で埋め尽くされているのだろう。
正直俺だって、明那との子供が欲しい。
このまま中に出して、一生を誓いたい。
『…ッ、』
「みなと♡みなとはおれとのあかちゃ、♡ほしくないの?」
上目遣いでそう問うてくる明那。
どうしよう、嘘をつくべきか。
嘘をつけば、引いてくれるかもしれない。
俺主義の明那は、きっと…
『欲しいよ♡明那、中出していい?』
無理。やっぱり無理。嘘はつけない。
中で出したい。明那、アキナ♡
俺との赤ちゃん作ろうな♡
「うんッ♡好きッ♡だして♡」
より甘いフェロモンが明那から香る。
『明那、ッ♡イく♡孕んでッ♡』
孕んで、なんてエロめの言葉を使ってみれば、顔を真っ赤にする明那。
最初に言い出したのは明那だからな。
俺は知らないぞ。
「ッは、♡おれもぃく♡」
そう言い腰を上げがくがくと痙攣する明那。俺より先にイってんじゃん、と言いたいが俺ももう限界なので後にしよう。
『ッく…♡』
「ぁ♡きたきたきたぁッ♡きもち♡おにゃかあったか♡どくどくするッ♡」
お腹をさすりながらそんなことを言う妻を、俺はどう言う目で見れば良いのだろうか。そう悩みながら、少しづつ抜いていく。すると
「ね、一回で赤ちゃんできるの、?」
といい、腰に足を絡めてくる。
所謂だいしゅきホールド。
あれ、さっきも同じ様にしてなかったっけ。まあいいか♡
というか、ヒート中のΩの妊娠率はアホみたいに高いらしく、事後のものは全て効かないレベルらしい。
事前の物は相当強ければ効くらしいが、市販のピルでは到底敵わないとのこと。
明那と結婚する上で一応調べておいたΩの情報がまさかこんなところで活きるとは。
『大丈夫やで、明那♡
明那は可愛いΩちゃんやから、
もう赤ちゃん出来たと思うで?』
と、伝えておくと
「んへぇ…そっか…♡
おれとみなとさんのあかちゃん…♡
ココにいるってこと…?」
そう言ってお腹をさする明那。
あ゛〜、エロ。
流石にエロ過ぎる。
でも、妻から妊婦になった明那の体に無理はさせたくないので、これでおわりにしよう。
「ごめ、寝る…♡」
『うん、お疲れ様、明那♡』
すやすやとすぐに寝息を立ててしまった明那。ひょこっと覗いてみれば、天使の様な寝顔がお見えになった。
最早御尊顔の類。
嗚呼、神様。
俺にこんな素敵な嫁を頂きありがとうございます。
責任を持って一生をかけて幸せにします。
…あんなに激しくして、中にも出された後にこの破顔で寝れるとか本当にどうしてるんだ。
…あ、元はと言えば抑制剤がなくなったんだっけ。買ってこなきゃ。
値段どんくらいなんやろ、わからんけどカードあるしなんとかなるか
保険適応とかなんとかって俺じゃ無理なのかな…………なるほどね。
要するに番である証拠があればαでも保険適応する、と。
……あれ、そういえば俺、明那と番じゃないんやっけ。
寝室へ戻り、再び明那の顔を覗く。
首元は傷ひとつない綺麗な姿で、少しのフェロモンによって流されるままに口を近づける。首筋歯を立て、そのまま…
「みなと?」
『ぁ』
危ない、そのまま寝ていたら番になってしまっていたかもしれない。よかった、そう思っていると
「つがい…なる?」
そう言ってくる明那。
『いや、でも』
俺が次の言葉を言い淀んでいると
「…みなとは俺のこと妊娠させたくせに責任取らないんだぁ」
なんて言われてしまう。
まだ妊娠したと決まったわけではないのにね。まぁしてるだろうけど。
『取る。全然取る。寧ろ取らせてくれ。好きだ明那。番になろう。』
矢継ぎ早に喋る俺は醜いとは思う。でも、これしかないのだ。
「はい、責任、とって。」
そう言って首を差し出す明那。
遠慮なく、と言おうとしてやめ、そのまま口を開けて明那の首元にかぶりつく。
「ぃ゛ッ…」
じわり、と明那の首元に血が滲む。
やっべ、深くまでやり過ぎたかも。
痛みに耐え、目に涙を溜める明那と目が合う。
『ごめん、深くなっちゃった』
「大丈夫…ずっとのこるかな、湊のこの愛の証。」
“愛の証”なんて素敵な表現をする明那に、スタンディングオベーションをしたくなる。明那って詩的な表現をする人なんだな。そんなところも好きだよ。
『ね、明那。』
「ん、どしたの」
『抑制剤、買いに行きたいんだけどさ』
「ぁ」
『どれなのかとか、俺わかんないから』
「うん、一緒にいこ」
『ありがとな』
「湊も、わざわざ覚えててくれてありがと」
『だって俺、明那の夫やし』
「そっか、ダーリンかぁ」
『ハニー♡』
「ッ、w…ダーリン…♡」
『イタイな、俺ら』
「うん、ほんとに。」
あぁ、今俺、最高に幸せだ。
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ほんとにイタイ。
しっかり婚約しておいて、番にもなって、ダーリン、ハニー、なんてハートつけて呼び合うなんて。新婚さんかよ。愛情的には新婚さんだな。
でも、幸せだな、俺。
湊さんのおかげで、今俺は人生で1番幸せだ。幸せ者だな、俺。
ねぇ、湊。
俺さ、誰かのことを心から好きだなって、愛して欲しいって思ったの、これが初めてなの。ヒートだったからとかじゃない。
本当に、心から。
だからさ、こう思うんだ、俺。
これが、愛なのかもしれない。 ってさ。